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森の教会

天都を後にしたゼロ達は、森を抜ける途中、教会を見つけ立ち止まる……


 朝、天都の入口でアクトが、町を後にしようとした俺たちに、声をかけてきた。


「もう行くのか?」


「うむ、妾達は一刻も早く帝国を滅ぼしたいのじゃ」


 その声にプラムが返事を返す。


「気を付けてください!」


 物見台の上から、コトハが声をかけてくれる。


「ああ、ありがとう。アクト、必ず帝国を俺達が滅ぼすぞ」


「うむ、頼んだぞ。ゼロ」


 俺は背を向けて、天高く拳を上げ返事を返す。歩く足を止めず、町から離れていく。


「それじゃぁの~」


 最後にプラムが振り向き、そう大きな声で別れを告げ、俺達は旅を再開した。


 ・・・・・・・・・・・・


 木々の生い茂る森を歩き、地図に書かれ帝国の間にあるラルクという街を目指す。


 日が沈みかけてきたところで、木でできたデカい建物と、横長の小屋を見つけて立ち止まる。


「何だここは?」


「うん? ああ、教会かの? ほれ、ドアにエンブレムがあるのじゃ」


 そう言われてデカい方の建物のドアを見ると、十字の形にクロスした剣が書かれていて、その真ん中に手を合わせる女性が描かれていた。


「教会? 何だそれは」


「教会を知らんのか? いや、憶えてないだけかの? ここは人生の道に迷ったものや悩めるものが、神に祈りをささげる場所じゃ」


 俺はその説明を聞きながら、その行為に意味はあるのだろうか? と疑問がわく。


「何故、自分で行動しない? 祈りに意味はあるのか?」


 俺は感じたことを、プラムに聞く。


「人間の文化じゃしな。何より、ゼロのように強いものばかりではないぞ? 心の安寧を求める場所のはずじゃ」


 なるほど、そういうものなのか。魔王であるプラムが言うとなんだか笑ってしまうが、弱い者が救いを求めるのは仕方がないのかもしれないな。


「今日はもう日がかけてきたし、ここに泊めてもらうか?」


「うーん、妾は魔王じゃしの……」


 魔王として神の庇護に抵抗があるのか、腕を組んで悩んでいる。


「あら? どうかされましたか?」


 その教会から出て来た、女性が声をかけてきた。


「ああ、すまない。旅をしていて、この場所が気になって立ち止まっていたんだ」


 俺は、怪しい者ではないことを証明するために、そう返事する。


「あら、そうなのですね。もう日が暮れますので、泊っていきますか?」


 その女性は俺達の側に寄ってきて、プラムを見てそう提案してくれる。


 その女性は不思議なことに、肌をいっさい露出してない長袖の服に、ロングスカートで、顔も目しか出ていない被り物をしていた。


「良いのかの?」


「ここに来たのも、主様の導きでしょう。どうぞ」


「では、世話になる」


「うむ。世話になるのじゃ」


 俺達はその女性の後ろについて行き、横長の小屋に案内される。



「どうぞ。おもてなしはできませんが、お休みください」


 そう言って、ドアを開けてくれた。


「シスターその人は?」


「あれ? お客さん?」


 扉の先には、十数人の子供がいて、俺達を見て不思議そうに騒ぎ出す。


「この方たちは、旅の途中だそうです。今日はもう遅いので泊めることにしました。皆さん仲良くしてください」


 俺達の説明を手早く済ませ、シスターと呼ばれた案内をしてくれた女性は中に入り、テキパキと床に布を敷く。


「お兄さん、何で刀を持っているの?」


 短髪の男の子が俺の側に来て、不思議そうに聞いてきた。


「ああ、俺はこのプラムの刀だからな」


「??」


 プラムを側に抱き寄せて、そう説明するとますます不思議そうな表情を浮かべる。


「この子はお姫様なの?」


 今度は喋り方がゆったりとした、おさげ髪の女の子が不思議そうに、聞いてきた。


 魔王と正直にいう事は出来ないしな――


「どちらかというと、王様だな」


「変なの~」


 その子はそう声を出して、プラムをジッと見る。


「な、なんじゃ?」


 プラムは警戒した声を出す。


「どうしてフードをかぶっているの?」


「しゅ、宗教上の理由じゃ。ほれ、シスターもしておるじゃろ?」


「ふーん。そうなんだ~。ね、眠るまでお話しよ?」


 プラムのでっち上げた理由に、女の子はその話題から興味をなくしたらしく、プラムの手を掴んでそう提案する。


「しかしの……」


 横目で俺を見てきた。


「いいんじゃないか? 警戒は俺がしているし、シスターには俺が改めてお礼を言っておく」


「そ、そうか。ならそうするかの」


 どこか嬉しそうな声で、プラムはその女の子と手をつないだまま、奥の方に歩いて行った。


 もしかしたらプラムは、人間と交流をするのが好きなのかもしれないな。


「では、明かりを消しますね? 皆さんおやすみなさい」


 シスターが、部屋につるされたランプを消していく。


 部屋はそこそこの広さのため、ランプが五つ、天上からロープで吊るされていた。


「シスター。少し話をしてもいいか?」


 最後の一つをシスターが手に持った所で、そう声をかける。


「はい、大丈夫ですよ。教会の方に移動しましょうか」


 シスターはそう言って、部屋を出ていく。


 子供たちは各々寝転んで、おとなしく寝ようとしていた。


 ・・・・・・・・・・・・


 もう一つの建物に移動し、その中のシスターの部屋に通された。


 部屋の中は、質素なベッドとクローゼット。他にはは小さなテーブルとそのテーブルに向かい合うように置かれた、丸い木の椅子が置かれていた。


 ドアから一目で、すべてが視界に入る手狭な部屋だ。


「急に訪問して、悪かったな。助かった、ありがとう」


 椅子にお互いに座ったところで、まずは泊めてもらったお礼を伝える。


「いえ、神の使いとして当然のことです。ところでお名前を聞いても問題ないですか?」


「ああ、俺はゼロ。もう一人の子はプラムだ」


 訳アリの人のためか、そう確認してから聞いてくれたので、素直に答える。


「ゼロさんですね。私はここのシスターをしている、パニールといいます」


 シスター――パニールはそう言って、覗く目元が笑っていた。


「それでここは、どういうところなんですか?」


「ここは、戦争で行き場のない子供を助けている教会です。その他にも旅の人に宿を貸したり、そこの礼拝堂で、お祈りとかもしています」


 なるほどあの子たちは、戦争孤児なのか。


「帝国の援助があるのか?」


「いえ、熱心な信徒の援助と、野草で食い繋いでいます」


「それは厳しそうだな……」


「フフ、主様の救いがあるので、問題ないのです」


 含みを感じる笑い方をした。


「主って、誰なんだ?」


 気になって聞く。


「主様は主様です~。フフ、フフ」


 先ほどまでとは様子が変わり、体をくねらせて何処か呆けている。


 気持ちが悪いので、そこは流して「分かった……」と言い立ち上がる。


「戻るのですか?」


「ああ、プラムが気になるしな」


「そうですか。良い夢を」


 背中越しにその言葉を聞いて、俺はパニールの部屋を後にした。


 ・・・・・・・・・・・・


 子供たちのいる部屋に戻った俺は、ドアの近くに腰を下ろして、目を閉じる。


 警戒は怠らず、眠りにつく。


 どれくらい寝ていたのだろう、異臭がして目を覚ます。


「何の臭いだ……」


 どこか腐ったような臭いだ。


「今、行きます」


「待つのじゃ、レン。どこに行くのじゃ」


 プラムが先ほどの子供に手を引かれ、歩いてきた。


「大丈夫か? プラム」


「凄い力なのじゃ――」


 俺はその子の肩を抑えて、動きを止める。


 ただ、子供とは思えない力だ。


「どうなっているんだこれ?」


 俺はほかの子が起きないように、声を抑えてプラムに聞く。


「分からん。急に起き上がって、この様子じゃ」


 プラムも俺に合わせて声を抑えて、そう説明してくれる。


「このまま抑えていてもらちが明きそうにないな……放しておよがせるか?」


 プラムがレンと呼んだ女の子は足を止める事はなく、俺に止められているにもかかわらず歩く動作を止めない。


「うむ、仕方なかろう。ゼロ、コッソリ後をつけてくるのじゃ」


 プラムの声にうなずき、手を放す。


 外に出ていくレンとプラムの後を、少し遅れてつけていくのだった。






最後までお読みいただきありがとうございます。


レンがプラムを連れて行った場所は……次回も楽しみにしてもらえると嬉しいです!


次回はバトル描写を書きます!


ここで細かい設定とかをかきたいのですが、今言える事がないのです。


何か気になることがあれば、感想ついでにお願いします(ネタ回収です(笑))


さて、雑談雑談。枕を買いました! オーダーメイドなのですが寝起きが、メッサいいです。


寝具のこだわりが高い狸、狸寝入りにも最適(笑) そんな感じで、すっきり起きて仕事に仕事と充実した毎日を送ってます! その日々に潤いをくれるのが、小説を書くことなのです! 


皆さんの応援や感想が特に癒しです。好き勝手に書いてるのにありがとうございます!


これからの頑張って、ワクワクやドキドキ。一歩を踏み出す勇気を与えられる作品を目指して頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします!では次回もお会いしましょう



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