砂漠地帯の地下通路
砂漠地帯を歩き、案内された場所は岩のドアの前で……その先は地下へと続いていた。
砂漠地帯の暑さに耐え、会話もなく進み続けて十五分程が過ぎたころ。
「なあ、コトハ。お主は強いのか?」
プラムがそう声を出した。
「……強さはひけらかすものではないですよ?」
「そ、そうじゃな。所で帝都が近くにあるはずなんじゃが、どの辺りか知らんかの?」
プラムが、会話をつなげようと元々の目的の場所を聞く。
「真逆ですね? かなり距離があるかと思います」
その言葉に「な、何じゃと……」と声を出しプラムは地面に手をついた。
火傷しないか心配だ。
コトハは気にした様子はなく、むしろ見ていないのか歩く速度を落とさない。
俺はすぐにプラムをわきに抱えて、その後を追う。
「放せ、離すのじゃ。妾を物みたいに運ぶ出ない」
「だが、このままだと見失うぞ?」
コトハはついてこれないなら置いていくとばかりに速度を上げて、飛ぶような走り方で先を急いでいる。
「う~、仕方ない。せめて、おぶるのじゃ」
いったんプラムを下ろして、背中に載せて速度を上げていく。
・・・・・・・・・・・・
「着きました。よくついてこれましたね」
「案内してくれてたんじゃないのか? しかもここ何もないぞ?」
俺は疑問に思って聞きながら、辺りを見渡す。
「そこの砂のくぼみに、石のドアがあるようなのですよ」
俺の疑問を完全に無視して、コトハがそう説明をくれる。
「なるほどなのじゃ、地下に何かあるという事じゃな?」
「そうだと思います。ただ、行くなら死ぬ覚悟をお願いします」
調査隊が戻らなかったからか、またくぎを刺してきた。
「ま、何とかなるだろう」
「そうじゃな! 行くぞ。ゼロ、コトハ」
プラムを先頭に俺たちは中へと入っていく。
扉の先は階段になっていて、かなり下まで続くようだ。
一列になって降りる必要があるため、プラム、俺、コトハの順で降りていく。
砂の中に交じった苔のようなものが光っていて足元はよく見えた。
「何か妙に光っているな」
「光苔ですね。このあたりの森で取れます」
「そうなのか、コトハは物知りじゃな」
「そ、そんなことありません」
少し照れたのか声に詰まりながら、コトハがそう言う。
「いや、そう卑下するもんでもないだろ。少なくとも俺たちは知らなかったんだし」
「あ、ありがとうございます」
それ以降は特に会話なく進んでいき、下にたどり着いた。
下には鉄のドアがあり、そのドアの先には何かの研究施設のような場所が広がっていた。
「ここは……」
色とりどりの薬品が並ぶテーブルを横目に進んでいく。
「何か研究をしているみたいですね?」
コトハが薬品を片手に俺の独り言に返事を返す。
「少し魔物の匂いがするのじゃ。それとこれは人の血かの?」
赤い液体をスンスンと嗅ぎながら、プラムが教えてくれた。
「こら、プラム。危ないから顔を近づけない」
危ないと思ってつい注意してしまう。
「すまないのじゃ」
そう言って薬品を素直素に戻して、謝るプラムも可愛いと思った。
「その言葉が正しいなら、ますます怪しいですね……先を急ぎましょうか」
一番奥に見えたドアを開け、さらに下のフロアーに進む。
「おや? 大臣……ではないですね? 何者ですか?」
扉の先にいた、白衣姿の異様に鼻の長い男が俺たちに視線を向け聞いてきた。
「妾達は、ここが何なのかを調べているのじゃ」
堂々とプラムが腕を組んで言う。
「そうですか……仕方ない。また邪魔ものですね」
男はそう言って、手元にあったレバーを下ろす。
ガ、ガ、ガガっと壁面の鉄扉が軋み上がっていく。
「またとはどういう事ですか! ここに先に来ていた仲間をどうしたのですか?」
コトハが怒ったように、静かながら迫力のあるを出す。
「すぐ会えますよ……さて、今日はどのようなデーターが取れますかね?」
鉄扉が完全に開き、中から三体の異様な生き物が出てきた。
「う、ぼあが?」
一体目は大きな目が一つで、手が斧になっている。
「グルルルル」
二体目は獅子のような見た目だが、体格もさることながら、口が異様にでかく端から異臭のするユダレを垂らしていた。
そして、三体目。こいつが一番ヤバそうだ。黒い袴姿で、見える肌すべてが包帯を巻かれている。
両手で大きな鎌を持って、俺の方を警戒しながら見ていた。
「く、臭いのじゃ。何じゃあの生き物は!」
「分かりません。見たことがありません」
プラムが鼻をつまんで騒ぎ、コトハは背中につけている小太刀を握り構えながらそう答えた。
「さあ、存分に逃げてくださいね」
男の声とともに、一つ目の男と獣が俺たちに向かって走ってくる。
「コトハ、プラムをを頼む」
「え、貴男はどうするんですか?」
「屠る(ほふ)!!! 一の型、紫電一閃」
俺は地面を蹴り、少し体を浮かせたまま回転を入れて、一つ目の男を斬る。
「ぐじゃぁぁぁぁ」
男は悲鳴のような声を出して、後ろによろめく。
確実に殺すはずだったのだが、どういうわけか少しずれてしまった。
「後ろじゃ、ゼロ」
プラムが、教えてくれる。
後ろから異臭を放つ獣が、跳びかかってきた。
「二の型、雷鳴迅雷」
寸前のところで横にかわして、一太刀あびせる。
紫色の粘液が飛び散った。
「く、何だこの臭さは」
俺は顔についた液を腕で拭う。
「ぐしゃ、ばあびあじゅあ」
「意味わかんないから死んでろ」
再び襲ってきた、一つ目の男の首をはねる。
「ぶぶぶぶふ」
男はそのまま絶命した。
「バカな? 見切ることに特化させたのに。まあ、いいでしょ――クワルク、後始末よろしく」
白衣の男がそう言うと、獅子の獣が男の死体を食べ始める。
あの異様にデカい目はそういう事だったのか……。
「な、味方を食べ始めたのじゃ」
「う、気持ち悪い」
二人が各々感想を言う。
「次は、屠る」
俺は獣に斬りかかる。
「グガー!」
獣は爪で応戦してくるがそれをかわし、腕を切り落とし最後に頭を落とす。
「バカな? この間の人間はすぐ死んだのに……」
「その言葉は、聞き捨てなりません!」
「おい、まって」
その言葉にコトハが白衣の男に斬りかかったので、慌ててその後を追う。
何だか体が熱い気がするが今は気にしていられない。
「ひーぃ」
「覚悟――ぉぉ?」
その刹那、コトハの首のあった場所に鎌が振り払われた。
「ひっひっひ」
「く、あと少しだったのに」
既の所で俺が後ろに引っ張たため、コトハを助けることができた。
「す、すみません」
目を白黒させて、謝ってくる。
「いや、無事ならそれでいい」
「……はい。あれだけ生意気を言ったのに、私が助けられてしまいましたね。すみません」
少し顔を赤らめて、今になってばつが悪そうに謝罪の言葉を重ねて言う。
「それもお前なりの優しさだろ? 謝ることじゃないさ」
俺はそう言って、刀を鞘に戻し構えた。
「……そういう事にしておきます」
コトハは小太刀を抜き、顔の前で構える。
残すところは、鎌を持つ男と白衣の男のみ。
俺とコトハで数は同じ、油断せず俺は体勢を低くし構える。
「一の型、紫電一閃」
鎌の男に斬りかかる!
続く
最後までお読みいただきありがとうございました。
少し作品の事について触れようと思います。
まず、五英と最初にでてきた領主。要は敵キャラなのですが、ある食べ物で統一しています。
統一性のあるほうがいいと思って、そうしております。
分かってるよって方はすごいです。
正解は……そうチーズです。調べると意外と種類も多くキャラに合わせて、変えられるのがいいなってなりました。
さて、では雑談と行きましょう! おい。
夏なのに無性に豚まんを食べたくなるのですが、エアコンのおかげですかね? 鍋とかもいいなって思いながら過ごしております。 季節感がない。 だって、社畜だもん。 気が付いたら一日が終わって、小説を休みに書いての繰り返し、私、リア充に進化したのかな笑
さて、雑談は終わりです。次回予告をします。地下の所で出会った敵とのバトル。そして、ゼロがまたもやピンチに!? そして、ゼロの願いが一つ叶います! 次回もよければお読みください。感想やご意見随時受付中です。くれると嬉しいなって。 では最後に改めて、最後までお読みいただきありがとうございます。次回もお会いしましょうです




