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次なる敵、五英ラングルを斬る前編

泉に到着し水浴びをするプラムとゼロ、そこに新たな敵の影が忍び寄る……

 砦を後にした俺たちは少し離れた木の上で眠り、朝が来るのを待って森へと入っていった。


 砦から出たのは敵がいつ来てもおかしくないと、思っての事だ。


 森の中は馬車が通れるくらいに整備された一本道で、歩きやすかった。


 しばらく歩くと二手に分かれていてそのまん中に看板があり、一方にこの先泉と親切に書かれていた。


「えらく親切じゃの」


「そうだな……まあ、生活に必要だから迷わないようにしていたんだろう」


 丁度探していたので、これは嬉しい案内だと俺たちは看板の指示に従うことにする。


 少し進んでいくと円形の広い湖があった。


「綺麗な湖なのじゃ」


 プラムはそう言って、湖に走っていく。


 その言葉のとおり、飲み水に使えそうなほど透き通っていた。


「ふぅ、これは生き返るな」


 プラムの後を追って湖の側に行き、手ですくって飲んでいく。


「さて、妾は少し水浴びするかの。お主もするがよい」


 プラムはそう言って、ローブと下に来ていたフリフリのドレスを脱ぎ捨てた。


「ああ」


 俺もタイツを脱いで、全裸になる。


「しかしお主は、恥じらったり躊躇というものがないのか?」


 お互い全裸になって向かい合いながら言われる。


「? そう言うプラムもじゃないのか?」


「妾は魔族じゃからな! それにこの見た目じゃ、恥じたりはせん」


 腕を組んで堂々としているプラムは言う。


「……」


 透き通る様な白い肌、身長はみた感じ120センチほどか……その腰まである銀髪もあまり目立たない小さなつるつるの角も、さらにあらわになった小さい胸も――すべてが好みだ。


「なんじゃ、こんな幼児体型に目をギラギラさせて、このロリコン」


 恥ずかしくなったのか背を向けて、湖に浸かってしまう。


 もっと堪能したかったが仕方ないか。


 俺も湖に浸かる。


「なあ、そのロリコンってどういう意味なんだ?」


 前に聞いたような気もするが、教えてもらってない。


「そうじゃな……妾のような者を好きな奴に使う言葉じゃ」


「そうなのか。いい言葉だな」


 俺のその言葉にプラムは何故かため息を漏らした。


「お主は全く。この容姿を褒めるような奴は、お父様かお主くらいじゃぞ」


 プラムはそう言い残して、奥まで泳いで行ってしまう。


「照れていたな……」


 俺はプラムの頬が赤くなっていたのを見逃さなかった。



 しばらく泳いで、泉の側の岩に腰掛けて体を休めていると、足音が近づいてくるのが聞こえた。


「十数人かの?」


「そうだな……」


 岩の上で全裸のまま寝転がったプラムがだるそうに声を出したので、お尻を見つめながらそう返す。


「ぬ、貴様ら何者だ?」


 姿を現したのは、青い鎧を着た兵士たちだった。


 その中でも一番老けた男が俺たちを見て、そう聞いてきた。


 プラムの姿はあまり見えない位置なので、角が見える心配はないだろう。


「帝国に向けて、旅をしているんだ」


「そうかそうか。で、後ろに見える少女は?」


 プラムの方に視線を向けたので、体で隠す。


 俺はちゃんとタイツを着ているので、問題はないがプラムの裸体は見せたくない。


「俺の連れだが、問題でも?」


 俺の言葉に兵士たちは剣を抜きだす。


「俺たちは今、戦が終わったばかりでな……その娘を差し出すなら……分かるだろ?」


 男の言葉に後ろの兵たちが、下品な声で笑う。


「何が分かるんだ? 三下」


「ほれ、ゼロ」


 プラムが刀を投げ渡してくれる。


 俺は視線を兵に向けたまま手を後ろにかざして受け取った。


「へ、やっちまえ」


「「うぉぉー」」


 一斉に剣をかまえて、突撃してくる。


「四の型、雷光一閃」


「あべっ」


「「ギャーーー!!」」


 男たちはいっせいに悲鳴を上げて、地面に倒れていく。


「終わったの……」


 その言葉に後ろを向くと、プラムはすでに服を着てしまっていた。


「……」


「何じゃ、そのがっかりした顔は」


「してないぞ」


 凄い軽蔑のような視線を向けられている気がしたので、すぐに否定する。


「ま、良いがな。しかし、お主の戦い方は作者泣かせじゃな。三行ほどで、戦のシ-ンが終わってしまっておるの」


 ため息交じりに、訳の分からないことを言われた。


「プラム、そういう発言は良くないと思うぞ?」


 そんな気がしたので取り敢えず注意する。


「ウォータードラゴン」


 泉の方からか声が聞こえ、嫌な予感がしてプラムに覆いかぶさる。


 その直後、竜の形をした水が俺に直撃した。


「ぐうぅう」


 水が通り過ぎるまで、地面に剣をさして耐える。


「大丈夫か、プラム」


「うむ、お主は平気か?」


 プラムは身を縮めて俺の胸の中から目線を上げて、そう返事をくれた。


 うん、可愛い。


「いやはや、吹き飛ばぬとはこれ如何に?」


 声の方に目線を向けると、泉の中から透明な球体に入った男が出てきた。


 男のいでたちは先ほどの兵より濃い青い鎧を着ていて、髪は薄いブルーの長髪。手には青い槍を持っていた。


「貴様、何者だ?」


 俺はプラムをかばうように立ち、男に聞く。


「これは失礼。私は帝都が誇る五英が一人、ラングルともうします」


 男は大げさに手を振りお辞儀をして、そう自己紹介をしてくれた。


「そうか、プラム離れていろ。俺はゼロ、ロリコンのゼロだ」


 ラングルはどういう原理か分からないが球体のまま、泉から地面に移動しその球体が水になって消えてしまう。


 その中かからラングルが出てきて、唐突に笑いだす。


「苦、苦、苦。ロリコン……なんと醜い響き。貴様正気か?」


「正気に決まってるだろ? 俺はプラムが好きだ」


「何バカなこと言っとるのだ! いちいちロリコンとか名乗るでない! さっさと勝負を始めんか!」


 茂みに身を隠したプラムが、野次を飛ばす。


「おっと、これは失礼。話し込んでしまいましたね? 部下を殺したことをあの世で悔やむのですよ?」


 ラングルはよく見ると、金の竜の装飾が施された青い槍を俺に向けそう言ってきた。


「ふん、貴様こそ俺に勝負を挑んだことを後悔するんだな」


 俺は柄を握り、身を低くし構える。


 続く


今回は前後編となります。

ラングルの実力やいかに……

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