人をコントロールするのは実はとっても簡単
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人の行動をコントロールする。
難しいようで実は簡単なのである。
大事なのは「相手にも利益があるような行動へ導く」ということである。
たとえば、お昼ご飯を買ってきてもらうとする。
ここで「お昼ご飯買ってきて」なんて言うと、ただの使いっ走りだ。誰も買ってこようなんて思わない。
そこでこんな風にする。
「お、咲也。今から昼飯? 悪いけど俺の分も買って来てくれない? お釣りはやるからさ」
そう言って千円札を咲也に渡す。動かなくて済むのだから出し惜しんではいけない。
「まじで? じゃあ、お前の昼飯は駄菓子一個な」
咲也はいたずらっぽく笑う。
「おいおい。ある程度まともなものにしてくれよ」
「わかったわかった。じゃあ行ってくるよ」
しばらくすると、レジ袋を持った咲也が戻ってくる。
「ありがと」
「レジ混んでいて大変だったんだからな」
「悪い悪い。お釣りあげたからいいだろ。そうだ。俺の分から一口やるよ」
ここで予期せぬ報酬を追加する。「棚からぼたもち」ってやつだ。
「いいのか? 俺のほうこそ悪いな」
「良いんだよ。買ってきてもらったわけだし。ほら、どれがいい?」
俺は自分の弁当を咲也に見せる。
「じゃあ、唐揚げもーらい」
「よりによって唐揚げかよ。まあいいけど」
それから俺と咲也は一緒に昼食を食べる。昨日のドラマや最近やったゲームの話をしながら。
『人の行動をコントロールする』なんて大げさに言ったけど、どちらかと言えば処世術だな。
――――――――
俺は人の行動をコントロールできる。
と言っても、「人を意のままに操る」みたいな大層なもんじゃない。
俺は時計を見る。
そろそろか。
俺は財布を持って席を立つ。財布はわざと見えるように持つ。これがポイント。
この後にちょっとやらなくちゃいけないことがあるが、それ以上のプラスを得ることができるはずだ。
「お、咲也。今から昼飯? 悪いけど俺の分も買って来てくれない? お釣りはやるからさ」
ほら来た。
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