§:新しい惑星
「どうだ。新惑星の調査はどのくらい進んだ?」
宇宙監査庁最高司令官が中央メインモニター室に現れる。室内はいくらかパニックも収まり、今は普段と変わらぬ作業風景を見せていた。
「はっ。詳しくはまだ分かっておりませんが、観測データによると、太陽からの距離、惑星の直径、公転速度、自転速度など、極めてテスに近い星である可能性が高いとのことです!」
いまだ一人で興奮している無人探索課長官が早口で説明する。
「…詳しい位置まで把握できたのか?」
「いえ。シズマによる空間の歪みのため、正確な位置まではわかっておりません!」
「ふむぅ…」
司令官は顎に手をあて、その作業風景を眺めた。一人の亜種に目がとまる。
「…文化的な生活を営んでいる生き物の存在は?」
「まだ確認できておりませんっ。さらに、その無人探索機ではそこまで調べることはできませんっ!」
「…惜しいな」
司令官の視線がもう一度、亜種にとまる。
「宇宙監査庁には、今現在何人の亜種がいるのだ?」
「はっ、恐れながら、本官にはそこまで把握できるほどの権限は許されておりませんっ!」
「…次の査定を楽しみにしておくんだな」
「はっ! って、ええぇ…」
長官の悲しいまでの声が、室内に響き渡った。