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「ハル! どこに行ったの!?」
突然、一人になったフユは壁の中にある円柱の形をしたコンピューター室の中でそう叫んだ。でも、ハルからの返事はなかった。
「落ち着いてください。フユ」とコスモスが言った。
「コスモス! これはどういうことなの!? これが世界が終わるってことなの!?」フユは言った。
「フユ。状況はきちんと説明します。まずは少し落ち着いてください。ね?」コスモスは言う。
「……コスモス」
フユはタブレットの中にいるコスモスの姿を見つめる。
その揺らめく虹色の炎の光を見ていると、不思議と気持ちが落ちついてきた。
「……わかった。取り乱してごめん。コスモス。現在の状況を説明してくれないかな?」フユは言う。
「はい! わかりました」と嬉しそうな声でコスモスは言う。
「まず、ここは今まで私たちがいた世界ではありません。世界は終わり、新しい世界が始まりました。私たちがいるのは、その新しい世界の中。つまり、『新世界』の中に私とフユはやってきたのです」とコスモスは言った。
「じゃあ、ハルがいないのは……」
「ハルさんは消えてしまったわけではありません。残念ですが、どうやらハルさんは世界の終わる前の世界にそのまま残ってしまったようです。つまり、『旧世界』に、ですね。それがハルさんが今、私たちの前からいなくなってしまった理由です」
「旧世界」
フユは言う。
「……そして、ここは新世界の中」
フユは世界を観察してみる。
でも、そこは先程までとはなにも変わった様子はない。さっきまでの風景とまったく同じ、ただの壁の中にある狭い円柱の形をしたコンピューター室があるだけだった。
変化したのは、ハルがいなくなってしまったことだけだった。
フユはタブレットを持ったまま立ち上がり、コンピューター室の中にあるコンピューターの画面を見る。
するとそこには『ワールドエンドは正常に作動されました。ようこそ。新世界へ。Welcome to the New World』の文字があった。