80.DPと交換してみよう!! ……いや、えっと、浮気? 何のこと?
ふぅぅ……。
お待たせしました。
ではどうぞ!
[派生ダンジョン]
“①【ダンジョン脱出】:500DP”
“②【罠探知Lv.1】:500DP”
“③【モンスター探知Lv.1】:500DP”
[元ダンジョン]
“エクストラジョブ≪ダンジョン修練士Lv.1≫:0DP(※初回から3回目まで!→それ以降10000DP)”
『ほらよっ……これがあたいと娘が出来ることだ。これからはあたいの旦那になるんだから、もっと強くなって貰わなくちゃな!』
『な!』
親子のダンジョン達が俺に好意的に話しかけてくると同時に、DPと交換可能なものを記した半透明の薄い紙が、目の前に出現する。
最初は“Ⅰダンジョン機能展開”と“Ⅱダンジョン特性とDP交換”の二つに分かれていたが、直ぐにⅡの方を選んで展開させた。
「誰がだよ……」
若干うんざりしながらも、俺はその中身をザッと確認。
決して小さくない驚きを覚えつつ、周りで見守っていた皆にそれを指で示す。
「うっわ……こんなんあるんだ……」
「……へぇぇ。このDPってなんですか、先輩?」
逆井と桜田はそれぞれオーバーリアクションだったり、あるいは自分の関心を満たそうと俺に尋ねてきたり、かなり自由だ。
「ダンジョンって、やっぱり不思議がまだまだあるんだね」
「……ですね!」
赤星は純粋に不思議そうで、思った感想を口にした。
皇さんはそれを受けて、しきりに頷いている。
「これ、≪ダンジョン修練士Lv.1≫って、結構レアっぽいものよね? 後、“ジョブ”っていうのも」
志木は結構現実的な関心の下、俺や詳しそうなリヴィルへと視線を行き来させた。
そうか……そもそも“スキル”とか“ジョブ”とかって話も、彼女らにしてみれば、はじめましてな感じなんだな。
「…………」
リヴィルは考え込むように沈黙し、俺へと顔を向けた。
どうすべきか、話すとしてもどこまで話すべきなのかは俺に任せるということだろう。
俺もまた、リヴィルのようにちょっと考えさせてくれと志木の目を見て、しばらく黙る。
そして――
「――なあ、≪ダンジョン修練士≫って、具体的には、どういうジョブになるんだ?」
俺は、志木への回答を保留にし。
先ず、ダンジョンに向かって聞いてみることにした。
……逃げてないって、うん、別にどうするか考えるの面倒とか思ってないから。
「……えっ、どうしたの、彼? ちょっと独り言始めちゃったけど……でも、彼はこれが通常なのかしら……」
「新海……ラティアちゃん達みたいな女の子と暮らしてながら、そんなになるほど、欲求溜め込んでたんだ……今後はもっと優しくしてやろう」
「普段は優しくて、おかしい所なんてなくて……でも、新海先輩はいつかやると思ってました」
おいコラ、志木と逆井、それに桜田も。
お前ら俺のことどう思ってたんだよ。
犯罪者予備軍とか思われてそうな状況も一先ず棚に上げて、ダンジョンとのやり取りに集中する。
『あん? まあ、あんたみたいな≪ダンジョンマスター≫には敵わないが、今後ダンジョン運営しようってんなら、このジョブで修行しないとって感じだな』
『だな! ……あれ? でも、パパはもう≪ダンジョンマスター≫なんらよね? にゃら、もう、いりゃなくにゃい?』
『そういや……そうだな……はは!! 流石あたいの夫だ!! へへ……その、さ、今後も、あたいらに、カッコいいとこ、見せてくれよな?』
「……ええっと、うん、はい」
「うわ……今度はこのダンジョン攻略中で一番死にそうな顔してるよ、新海君」
こーら、赤星も何言ってんだか。
ちょっとダンジョンって何だっけ、とは思ってたけど、そんな死にそうな顔だなんて……。
……してないよね?
「――すいません、おそらくご主人様は、今ダンジョンと直接会話しているのだと思います」
「え!? 新海、そんなことできんの!?」
うむうむ。
ラティアが上手くフォローしてくれている。
逆井よ、もっと敬い驚きたまえ。
「ん。マスターは多才だよ? ちょっと女性関係は消極的なことが多いけど」
「へ~流石ね。まあ後者に関しては意外でもないけれど」
……リヴィルさんや、女性関係についての言及は必要でしたでしょうか?
そして志木よ、お前俺にだけ黒かおりん率高すぎない?
ぐぬぬ……!
お前、握手会とかサイン会とかあったら覚えとけよ?
ケッ、白かおりんでしか対応できない状況で、色々と鬱憤を晴らしてくれるわ!!
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
その後ダンジョンと2,3やり取りして分かったが。
どうやら≪ダンジョン修練士≫は≪ダンジョンマスター≫の2段階程の下位互換のジョブらしい。
このジョブが育てば≪ダンジョン運営士≫というジョブへと成長。
それを持っていれば俺のように、ダンジョン運営に携われるようになるという。
そしてそれが3回のみDP不要で取得できるとあって、それを逃す手はないということになった。
「――で、本当にいいのか? 2回分が俺たちってことで」
攻略自体は9人で行ったので、独占するつもりはなかったが。
志木達はそもそも遠慮して、1回分すら貰うつもりがなかったらしい。
「だって、そもそもあなたがいないと、取得することすら不可能なんでしょ?」
「それは……」
俺はまたチラッとダンジョンへとお伺いを立てる。
すると、返って来たのは――
『は? 何で≪ダンジョン運営士≫でもない他の女のために、あたいがわざわざ交換してやらないとならないんだ? ……っていうかさ、あんた、その女たち、誰?』
ちょ、最後の方、声低っ!!
怖い怖い怖い!!
えっ、何でダンジョンって皆こうヤンデレ風味薫るんっすか!?
毎回毎回これのせいで攻略済みダンジョンに寄るのビクビクしてんだけど!!
まあとはいえ、≪ダンジョンマスター≫の俺が交換して、その対象を俺以外の――例えばラティアだとか、リヴィルだとか、そういう風にすることは別に問題ないらしいが。
ダンジョンがヤンデレスイッチ入る境界線が全然分かんねぇぇ……。
「……というわけで、まあ確かに俺じゃないと交換はできないっぽい」
ダンジョンにヤンデレっぽく問い詰められていることは志木達には明かさず。
普通に交換できませんということだけを伝える。
それで、やはり遠慮をするので、今後良好な付き合いを保つ意味でも。
3回の分配は俺たちが2回、志木達のグループで1回ということにした。
この状況で俺たちだけが3回は、相手が良いって言ってても印象悪いだろうしな。
「――それで、その≪ダンジョン修練士≫の“ジョブ”の付与というのかしら? それを……“赤星”さんに対して、行ってもらえないかしら?」
「……え? 私?」
……赤星本人も驚いてるぞ。
「……へぇぇ」
ただ、意外だった。
てっきり志木自身が対象になるものとばかり思ってたが。
でも、彼女ら4人――赤星本人を除いた4人の中では、その結論は当然らしい。
志木は話していいかどうか少し迷うようにしながらも、結局は口にしてくれた。
「――今後、私が一番身動きがとり辛くなると思うの。他国からの接触も増えてきている……だから、私はそう言うあえて目立つ役割を引き受けて、実際に大事な動きを担ってくれる人は、別の方がいいと思うから」
その言葉を受け、逆井が笑顔で赤星に語り掛ける。
「うんうん!! ハヤちゃん、結構色んな所に気が回るし、アタシと違って頭もいいしさ、適任じゃん?」
「梨愛……」
皇さんと桜田も、逆井と同じ意見のようで。
言葉にはしないものの、頷きでその意を示していた。
「――うん。わかった。新海君、お願いしても、いいかな?」
赤星も納得してくれたようで、苦笑しながらも俺に向き直り、そう告げる。
「おっし、じゃあ俺たちはラティアで行くよ――大丈夫か、ラティア?」
「はい、私に否はありません」
ラティアに確認したうえで、俺はダンジョンへと話しかけた。
そして、1つは取っておくということを伝え、赤星とラティアにジョブを付与してくれるよう頼む。
リヴィルは“導士”があるし。
ルオはルオ自身の特徴からして、ジョブの付与には馴染まないだろうからな。
『……分かったよ、あんたの頼みだかんな。やることはやるさ――』
そうして、台座が光り出した。
強く強く輝いた光は大きく二つに分かれる。
そしてゆっくりと赤星、そしてラティアへと向かっていった。
「――うん、何か、ちょっと自分の中で、何かが変わった感じがする」
「……ご主人様、問題なく、無事終わったかと」
これで、二人の≪ダンジョン修練士≫が生まれたのだった。
ふぅぅぅ……。
『……ただ、浮気は許さないかんな。あんた、他に、女とか作ってないよね?』
『……よね?』
……はは、親子揃って、可愛らしく嫉妬か何かかな?
俺だけしか聞き取れないドスの効いた声を耳にしながら。
俺は白目を向き、そんな適当なことを考えたのだった。
いやぁぁ、主人公、モテモテだなぁぁぁ(※人に限定せず)。
少し溜まってしまった感想の返しはこの後行うので、後少しだけお待ちください!!
文字数の多い少ないの調整がちょっと慣れずにいますが、それこそ書き続けていけば慣れてくると思いますので、それは大丈夫だと思います。
出来るだけメンタル面で不安定な状況を起こさないよう、大きく左右してくる体調面の管理も今まで以上にしっかりしたいと再確認しました。
今後とも、頑張って行きますので、よろしくお願いいたします!




