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75.探索士は裏表無いとやっていけないのかもしれない……。

すいません、ちょっと短めです。


本当はもう少し進めるつもりだったんですが、気力が持たず……。


ではどうぞ。



「キモいキモいキモいキモいキモいぃぃぃ!!」


「ゲジッ!?」 


 

 探索を再開して10分程で出会ったモンスター。

 全長3mはあろうかという巨大なムカデは、無残にも桜田に嬲り殺されていた。


 頭にニョロっと生えている触角が力なくへたり込もうとも、ハンマーの振り下ろしが止むことはない。 

 

 もう既に頭部はグシャグシャに叩き潰されており、普通に見たらトラウマ間違いなしの損壊レベル。

 しかし、桜田にとってはむしろムカデの原形を保たれている方が生理的に無理らしい。

 


「どう? そっちは終わった?」


 

 ルオと俺で、同時に現れたホブゴブリン2体を沈めて戻ってきたら、この惨殺が行われていたのだ。

 今一どういう状況かを掴み切っていないルオは首を傾げているが……。


「……あはは」



 桜田と同じく大ムカデを担当してくれた赤星、そして皇さんは、珍しく何とも言えない微妙な表情をしていた。 



「ムカデ自体は……可愛らしいんですが……」



 ……Oh。

 皇さん、ライブの時も蟹を可愛いとか言ってたし、ちょっと感性が下々の人間とはずれているのかもしれない。



「……桜田、そろそろ、それ位にしとけ」



 もう既に決着はついているのだから。

 体力を無駄にするなという意味でも俺は静かにそっと近寄り、桜田の肩に手を置く。


 ……これで“いやぁぁぁ!! 先輩の方がキモいぃぃぃ!!”とか言われたら、今日の枕は夜露に濡れることになるだろう。



「はぁ、はぁ、はぁ……あれ? 新海、先輩?」


「……もう、いいんだ」



 力なく首を横に振ると、桜田はゆっくりと大ムカデだったものへ視線を落とした。



「これ……私、が?」



 信じられないといった様に、ハンマーを握り締めていた自身の両手を見つめる。



「いやお前以外に誰がいんだ……」


 

 激情に駆られてついついやり過ぎてしまった殺人犯かよ。

 怖ぇぇよ、お前って二重人格なの?


 

 志木の二面性もそうだし。

 逆井のクソ雑魚メンタルもそうだが。


 探索士のアイドルって、皆なんか凄い別の一面でも抱えてないとダメなのかよ……。




 俺はとりあえず汗をかいている桜田や、年齢的な面で皇さんを主に気遣い、給水時間を設ける。



 そして未だ余裕綽々と言った赤星やルオを中心に、攻略度合いや進行速度などを話し合った。


 

□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



「へぇぇ……2階層目って案外1階層目と大差はないんですね」



 更に10分程潜って、攻略を進めた俺たちは2階層へと到達していた。


 その間にも1度あの大ムカデ1体とホブゴブリン1体を相手取ることにはなった。

 しかし、先ほどの一件を見ていたため、大ムカデは俺と赤星、皇さんで対処。


 ホブゴブリンはルオが主に倒して、桜田はその補助に当たってもらった。



「まあ、これからまたモンスターと当たるかもしれないから、油断はできないがな」 



 桜田の感想に答えながらも。

 俺は後ろを歩く皇さんへと気を向ける。

 

 俺が気になったように。

 皇さんの隣を歩くルオもまた、同じようなことを気にしていたようだ。



「それにしてもリツヒのおかげで、随分モンスター達が怯えてくれて、やりやすいよ!」


「あの、えっと、それはその……」


「律氷ちゃんが首に下げてるペンダント? 多分それの効果かな?」


 俺が皇さんを見た限りでは分からなかったが……。


 最後尾にいる赤星でも気づくくらいだ。

 皇さんがペンダントをしているということは、女子には直ぐにわかることらしい。


 そしておそらく話に出ているのは、俺がつい先日贈ったものだと思う。

  

 ……皇さん、身に着けて、くれてくるのか。




「……はい、おそらく」

 

 

 顔を確認したわけではない。


 ただ、背中から聞こえてくる皇さんの声は、どこかくすぐったいと思いながらも嬉しそうで。

 はにかむように笑っている姿が目に浮かんだ。



 

 

 

「……ウジャウジャいるな」


「だね……」



 またしばらく進んでいると、俺たちは再びモンスターの姿を目にした。

 視認できるだけでも5体はいる。

 

 このパーティーでこの数を一度に相手取るのは、未だない経験だった。

 しかも“視認できるだけで”だ。


 それ以外にも一直線となっている通路の50m程先には、体のようなものがちらほらと固まっているのが見える。

 これと戦うことになると考えるとちょっと気が滅入るが。

 

 しかし、直ぐにこれと戦闘になることはなさそうだった。  



「……でも、この青い壁? は何でしょう?」


「うーん……壁のおかげで、モンスター達はこっちに来られない様子、だね」


 

 そう今、皇さんと赤星が口にしたように、俺たちとモンスター達との間を隔てるようにして壁が存在した。


 それは半透明の一枚板のようにして、簡単に破れそうながらも、巨体を誇るホブゴブリン達は手出しできないでいる。


 俺たちの存在に気づきながらも、襲い掛かることができない状況。

 奴らにとったら正に餌を前にして待てと言われてるようで、酷くもどかしいに違いない。


 

「……まあ、それはこっちも同様みたいですけどね。――べぇぇだ!」



 これもまた桜田の言うように、俺たちにとっても、おそらくこれ以上先に進むことはできないということを意味する。


 ここまで分かれ道は無かった。

 つまりこの先へと進むためには、この道を行くしかない。


 余程見つけるのが困難な隠し通路でもない限りは、だが。



「……ってか桜田、それ止めろ。煽ってどうすんだよ」


 

 仕舞いには、変顔までして青いバリアーの向こうのモンスター達を挑発し出すので、それは流石に止めた。   

 ……お前、バラエティー適正あるだろ。



「多分、これがいわゆる“子ダンジョン”を攻略しないと先に進めないって意味だと思う」



 ルオの言葉に俺含め、一同納得して頷く。



「まあこの障壁って形式が全部のダンジョンに共通かは分からないけど」



 留保をつけながらも、ルオは珍しい物を見るように目を細めたり、大きく見開いたりと観察を続けていた。

 


「まあおそらくルオの言う通り、こりゃ子ダンジョン攻略がなされないとこの先には行けないだろうな……」


「とすると……志木さんや梨愛達のチームが攻略してくれるのを待つしかないね」



 赤星の言葉に、皇さんも頷いて同意する。



「良かったですね、分けてて。わざわざ2度手間をせずに済みます」


「だね! ラティアお姉ちゃんとリヴィルお姉ちゃんもいるから、大丈夫だと思うよ!」



 まだ出会って日も浅いというのに、皇さんとルオの二人はもう既に仲の良さを見せている。

 ……子供の成長って早いな~。


 特に深い意味もなく、そんな純粋な感想が湧いて出たのだった。




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆




 そして、二人の見通しが正しいと知るのに、殆ど時間はかからなかった。

 この場に到着して5分と待たない内に、異変が起こったのだ。



「おっ!!――」



 あの障壁が徐々にブレ始める。

 ブレの間隔が短くなっていくと、今度は色が更に薄くなっていった。


 そして青い色がどんどん白くなり、そして最後には完全に壁が消失したのだ。



「――消えたっ!」



 ということは、ラティア達があっちのダンジョンを攻略したのだ!!

 かなり早い攻略だったんだな。


 俺達はまだ2階層で立ち往生してたってのに。


 でも助かる。

 これで俺たちも先へと進める――



「よっし!!」



 丁度桜田が挑発して、真っ黒になるくらいに顔の緑色を濁らせているホブゴブリンが突っ込んでくるところだった。

 


 未だ俺たちに気づいていないモンスター達に合流される前に、何とか片付けてしまおう。


 5体か……まあ俺がヘイト管理して、その間にルオに1体潰してもらって。

 赤星には1体気を散らすのを引き受けてもらおう。


 皇さんはあのペンダントが上手く機能してくれていて、モンスターが少なくとも1回は怯えてくれる。

 俺のヘイトと合わせると1回の行動をキャンセルするのと同等の時間稼ぎが出来るはずだ。


 桜田は……大ムカデがいないから、普通に働いてくれると思う。


 


 

 

 

 その後想像した通り、上手く事が運び。

 ホブゴブリン5体を相手にしてもそれほど苦労することはなく、倒すことができた。



 そして15分を掛けて、更に進んだ先で遭遇したホブゴブリン3体も難なく倒して、3階層へと降りる。


 

 そこで、丁度ストップがかかることになった。




 ――brrrr、brrrrr




「ん?」



 これは……DD――ダンジョンディスプレイの通信?


 こんな時に、織部か?


 ちょっとタイミングが悪いな、と思いつつ。

 でも、いつも織部からくる通信の音とは少し違う気もする。



 何か緊急のことかもしれないと、俺は思い切って出ることにした。


 

「……陽翔様?」


「ああ、大丈夫、多分他の人とご主人が連絡を取ってるんだよ」


「へぇぇ……前見せてもらったディスプレイ、新海君も持ってたんだね」


「それより、丁度いいですから、私達も一休みしませんか? 入ってから、小休止以外とってませんでしたから……」



 後ろで皆がそれぞれに話しているが、とにかく俺はDDの通信を繋ぐ。

 ……あれ?

     


 織部じゃ……ない?




 通信がかかってきた際表示される画面がいつもと少し違っていた。

 そしてそれが確信に変わるのは、その画面が切り替わった先に、つい先ほどまで行動を共にしていた彼女らの姿を認めたからだ。





『――もしもし? えーっと……こちら、志木だけど、大丈夫かしら? 繋がってる?』




 世間に疎いお嬢様が初めてテレビ電話を使ったみたいに、画面前で手を往復させている志木が、真っ先に画面に飛び込んできた。



感想の返しはおそらくお昼にはできると思います。

しばしお待ちを!!



あれですね、ランキングの滑落具合については案外冷静に見ることができています。

それ以上に、これだけ下がってもPVは結構今まで通りですね。

殆ど動揺が無いのも、それが多分大きいんだと思います。


ランキングが落ちようと、見てくださる人は殆ど変わらず、ちゃんと見てくださってるんだな、としみじみ。


ただ話が進まないのはそれとは関係なく、作者の気力・体力的な問題ですのでそこはご心配なく。

また3日以内に1日くらい更新をお休みするかもしれません。


親子ダンジョン攻略で結構話数を使っていて、長引かないよう頑張りたいんですが、無理して体調崩してもね、仕方ないんで。



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― 新着の感想 ―
[一言] ( ・∇・)毎日読むのを楽しみにさせてもらっています! 投稿は作者さんのお疲れが出ないようにしてもらって大丈夫です! ついに織部以外にも通信出来るようになりましたね〜 ダンジョンワープも使…
[一言] 投稿頻度多いのは嬉しいですけどお休みもちゃんととってくださいね。
[一言] > 「ゲジッ!?」  > 全長3mはあろうかという巨大なムカデは、無残にも桜田に嬲り殺されていた。  ゲジゲジなのかムカデなのかどっちじゃい! いやゲジゲジもムカデの仲間ではあるけどムカデと…
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