3.奴隷少女を、購入……遂に!!
私が確認した限りで、日間のランキング84位にランクインしてました!!
評価してくださった方がお二人も、それが最大の要因かと思われます!!
勿論ブックマークしていただくのも下から押し上げる力になってます!!
まだまだスタートしたばかりですが、ご愛読ありがとうございます!!
今回のお話で、とうとう一人目の少女を……!!
「あ゛ぁぁぁぁ……」
ソファーにうつ伏せになり、変な声を上げて存分に休む。
窒息寸前になるまで顔を上げない。
ってかこうしないと体が怠くて怠くて、体ダルメシアン。
「嫌だー、ダンジョンちょー嫌だー」
足をバタバタ。
あれから2日経った。
何もせず、2日経ったのだ。
それくらいに、一昨日の一件は俺に、目には見えないダメージを与えていた。
「はぁぁぁぁ……」
重いため息をつき、DD――ダンジョンディスプレイを呼び出す。
右上には『DP:73918』と表示されているが、全く高揚感というか、沸々と高ぶる気持ちみたいなのがない。
――だってあれだぜ、たった2体倒すのに、2時間近くかかってんだぜ?
他のダンジョンでも出てくるモンスターが2体だという保証はない。
しかもそれまでの準備がまた大変だっただけに、そのあんまり報われなかった感は凄い。
モンスターを倒したことやダンジョンを攻略したこと自体偉業じゃないか、と言われてもこの感覚はやった者にしかわからないのだ。
『〈称号……“ダンジョン攻略2番目”:20000Grade 獲得〉』
あの後、じっくり30分かけて休み、最奥の殺風景な間へと進んだ。
そこで、台座のような部分に行くと、周囲でポゥっと光が灯り、その台座へと集まってくる。
起動したことを表すかのように、何もないところから、そのような声が聞こえてきたのだ。
『〈称号……“男性で初めてダンジョンを攻略”:20000Grade 獲得〉』
『〈称号……“単独攻略”:4000Grade 獲得〉』
『〈称号……“ノーダメージ”:4000Grade 獲得〉』
『〈称号……“1ダメージ縛りを行く者”:1500Grade 獲得〉』
『〈称号……“アイテム使わず”:500Grade 獲得〉』
『〈称号……“魔法を使わず”:750Grade 獲得〉』
『〈称号……“スキルを使わず”:750Grade 獲得〉』
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その後もなんだか声が続いたが、ぶっちゃけ殆ど覚えてない。
そして最後に。
『〈当該獲得Gradeを、どうしますか? ⇒“DPに変換”or“ ”〉』
との選択肢が。
だが空白の方は何も選べなかったので、普通にDPに変換した。
『〈合計……27000DP 獲得しました〉』
大体織部の半分。
それが今、俺の手持ちに加わって、7万以上のDP保有となっている。
――もう7万超えたんだし。
――自分で2万稼いだんだし。
バッと起き上がる。
「い、いいよね……買っても」
やる気みたいなのが、回復した。
自分でやる気スイッチ押したみたいに。
俺は手に納まっているDDの画面を、震えながら操作していく。
そして――
『奴隷少女:20000DP 詳細:1人。魔法使用可能。スキル所持。※価格理由:容姿は整っていながらも長期間売れ残り。長く満足な栄養摂取していない模様。痩せ細り。戦闘不慣れ。異種族』
「良かった……まだ残ってる」
画面上には『Isekai』というサイト名が。
どこかの世界大手通販サイトの二番煎じっぽい名前だが、気にしない。
その商品を、恐る恐るタッチしようとする。
本屋でちょっと破廉恥な二次元のキャラが描かれたマンガを、レジに持っていくみたいなドキドキ感がある。
別にR-18ではないはずなのに、なぜか店員さんの目を気にする、あれに似ている。
「ち、違うから……ただダンジョン攻略の戦力として、異世界人の力を借りたいだけだから……」
本当にエッチな、いかがわしい気持ちはないのだ。
……いや、流石にそこまでは言い過ぎかも。
WEB小説とかよく読むが、やっぱりちょっと憧れはあるんですよ。
可愛い、綺麗な女の子が、自分のことを慕ってくれる。
そして一緒に胸躍る冒険をして、絆を深めていく、みたいな。
でも勿論、主目的は、あの二日前の壮絶な徒労感。
それを打開するためには、何か手は打たないといけない。
「――うん、必要性十分!! 購入分も自分で稼いだ!!」
魔法も使えるって書いてるし、容姿も整っているらしい。
他の事情は俺にとってはマイナスにはなりえない。
戦闘不慣れでも、サポートとかしてくれればいい。
役割分担で、俺が前衛すれば問題ないし。
「なので、この子を買いま~~~~~――」
――ビビビッ
「――うぉぉっ、違う違う、まだ買ってない!! まだ買ってないよ!?」
『…………新海君? 今、いいですか?』
織部からの緊急の連絡だった。
焦ったぁぁ……。
「お、おお、織部か。うん、全然大丈夫。問題ない」
『…………何か焦ってません?』
クッ、あんな卑猥な衣装に変身する所を俺に見られたドジっ子の癖に!!
なぜ変なところで鋭い!!
『…………にぃ~みく~ん?』
そんなジト目で睨まなくても。
「どうした? 何かあったか? こっちは何もないぞ」
即座に切り替えた。
『……絶対私のこと、変態とか、露出狂とか、考えてる目でした』
しばらく追及の眼差しが続いたが、知らぬ存ぜぬを貫く。
「――で、どうした? 緊急だろう」
『……はぁ、そうですね、DPもただじゃありません』
一つ溜息を吐き、諦めてくれた。
ふぅぅ。
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
「――え゛っ」
驚きで物凄い声が出てしまった。
俺ってこんな声が出せるんだ。
そのことにまた驚くわ。
「ゴメン……もう一回言って」
流石に聞き間違いかと思い、申し訳ないがもう一度お願いする。
俺の返答に、画面越しでも明らかにわかるくらい、織部はその小さな顔を真っ赤にした。
『うぅぅ……これ、お願いする方も、凄い、恥ずかしいんですよ?』
「スマン……だが、もう一度頼む」
『分かり、ました……』
俺の誠意が伝わったのか、織部は未だゴニョゴニョ言いながらも、繰り返し伝えてくれた。
『――私の服や肌着、靴下などを……買って、送ってもらえますか?』
「…………」
俺は再び思考停止。
これはあれか、俺をからかってるのか。
「悪い、もう一回……」
『――もう!! 新海君、わざと言ってませんか!?』
とうとう織部が怒った。
「いや、そんなことは……」
『絶対嘘です! 新海君、私をからかって遊んでるんです!! 新海君の目が言ってます!!“織部は変態だから、そういうエッチな感じの言葉を言わせてからかってやろう”って!!』
流石にそこまで言われると濡れ衣である。
だが織部自身にも、自分が変態だと見られている自覚はあるのか。
「いや、普通驚きもするだろう。服までならまだしも、その、何だ……異性の、下着を買って送って欲しいって言われれば」
俺の方にも言い分はある。
それを告げても、織部はなおも涙目。
『だってしょうがないじゃないですか!? 異世界の服、全然慣れないんです!! 胸のサイズとか、お尻の大きさとか、そういうの凄い雑なんです!!』
い、いや、だからね、織部。
そういうことは俺相手にぶちまけられても困るんだけど。
『それに、頼れるの、新海君しかいないんです!! 私の秘密を知ってるのも、その上で頼れるのも……新海君しか……』
うぅぅ……そこまで言われると。
まあ、協力する、って言ったし。
「……分かった。どういうのがいるか、後で書いて送ってくれ」
直接面と向かって説明するよりはまだマシだろう。
『本当ですか!? ありがとうございます!! あの、その……』
返事を聞いた織部は嬉しそうに笑顔を浮かべ、視線をそわそわとさせた。
「何だ? まだ何かあるのか?」
『……男子で、新海君、だけですからね? 私のスリーサイズとか、下着の柄、教えるの』
上目遣いで恥じらいながら、織部はそう言った。
「……おう」
『そ、それじゃあ!! よろしくお願いします!! 詳細はまた後で送りますから!! で、では――』
そして慌てたように通信を切った。
「……そういう態度、勘違いしちまうだろ」
そう呟くことで、今のやり取りを自分の都合のいいように考えないように、した。
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
「それはそうと、いいきっかけをくれたな」
織部との通話を切り、俺は再び『Isekai』のサイトへと移動。
戦力として奴隷を買うなら別に“少女”じゃなくても良いじゃないかとも思える。
しかし、この織部の頼みが、対象を“少女”じゃなければならない必然性をくれた。
「少女に、買い物を頼めばいいか、うん」
同性の、しかもデリケートな部分だ。
それに俺一人で買うよりも、女性が一緒にいた方がいい。
店から疑念を持った目で見られにくくなるだろう。
「ちゃっかり店舗も指定しやがって……」
一瞬この通販サイトのように、織部のお使いも、通販で済ませればよくないか、とも思ったが。
『○×駅から徒歩5分 △△ビル5階 女性モノ衣服売り場』
直ぐに織部から店舗を指定した連絡が届いた。
今まで織部が使っていたお気に入りの店なのだろうか。
クッ、枕が変わったら寝れませんってか?
現代っ子め。
「だが、まあこれで遠慮なく購入手続きを進められる……」
俺は早速、未だ1人しか上がっていない奴隷少女のページへ。
そしてどんどん進めていく。
画面には、移動販売で使いそうな馬車が現れる。
その前に立つようにして、東欧風の衣装で着飾った商人が。
「ふむ……『薬草』とかの時は、普通に店舗だったが」
『ひのきの棒』や『ポーションⅠ』の購入画面では、店舗の奥から店主が出てきて、商品を説明していくというものだった。
「『この少女をご購入されますか?』か……『はい』っと」
3つに分割された画面から、その項目を選択する。
すると――
「――あっ、降りてきた」
重厚に作られた荷車の中から、商人が、少女を連れて戻ってきた。
「……へぇぇ」
貫頭衣を着せられている。
普通に可愛い。
流れるような背に届く黒髪。
スラッとしていて手足も長い。
「何の種族かは分からないが……」
項目には『異種族』とあったが、何も言われず見たら普通に人間と思う。
実際に見せてもらっても、気持ちが変わることはない。
なんでこんな可愛い美少女が長く売れ残っているのか分からない。
むしろ買いたいという思いが強くなったくらいだ。
「よし、購入っと……」
最終確認の文章にも一応目を通し、購入を確定させる。
「ふむ……やっぱりDPがあっちの通貨に変換される感じなんだな」
俺のDDの画面右上――DPから、20000ポイントが差し引かれる。
それがコインの絵に変わり、奴隷商人の元へと飛んでいくような演出がなされた。
これと同じことが『ポーションⅠ』や『鍋の蓋』でもなされている。
「おおぉぉぉ、とうとう!!」
全てのコインが商人の元へ収束し終えると、商人は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
そして『ありがとうございました。またのご利用、お待ちしています』と一礼する。
そのモーションの後、奴隷少女の足元に魔法陣が出現する。
「――おおっ、マジか、来た!!」
同時進行的に、俺の部屋の床に、今画面と同じ不思議な光のサークルが。
画面の魔法陣が上昇する。
下から少女の姿が消去されるようにして魔法陣に包まれていく。
そして――
「――あ、ぁぁぁ……」
目の前に、少女の姿が完全に現れた。
フワッと、羽のように宙を浮いたまま。
だが――
「う、うぅぅ……」
少女は苦しそうに呻いた後、パタッと意識を失い、俺に倒れ込んできた。
「お、おいっ!?」
何とか床に落ちる前に抱きとめることに成功する。
「なっ!? 軽っ!! ってか細過ぎ!!」
自分の腕の中に収まった少女は、画面で見たよりも、驚くほど痩せ細っていたのだった。
ブックマークや評価を宜しければご一考くださいますよう、お願いします!
気軽にどんどん押していただければ、主人公を書く余裕がないくらいにどんどん奴隷少女が増えて、そして私が今度は収拾を付けることができなくなり……。
はい、適度にご一考いただければ幸いです。