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36.動き出すダンジョン――いや比喩だからね!? 俺がしんどいから!! ほんとやめて!!

お待たせしました。


忙しくしていた間に、ランキングを滑り落ちていましたが、まだ大丈夫!

あ、焦るほどじゃないです!!

PVも露骨に減ってましたが、うん、こ、更新しなかったからだし!!


だ、大丈夫だよね……?






「――新海っ、テレビテレビ!!」


「急いで、新海君っ!!」



 風呂から上がって。

 ラティア・リヴィルと入れ替わり、部屋に戻ってきた途端にこれだ。


 逆井と赤星が表情を変えて急かすように、俺を室内に据え付けられたテレビ前へと誘導する。


 

 はぁぁぁ。

 また面倒事か?


 俺がテレビに視線を移すと――



『――先ほど、○○から避難命令が出されました。政府も対策本部を立ち上げ……』


 

 画面には、あまり見慣れない男性アナウンサーが映っており、原稿を読み上げていた。

 右上には、ダンジョンからモンスターが溢れ出たということを簡潔に示す文章が出ている。


 夜10時を過ぎた時間帯だというのに、局の社員か何かがアナウンサーの後方でドタバタしている様子が普通に流れていた。


「……どういうことだ?」


 俺が素朴な疑問を口にすると、逆井が青ざめた顔をして答えてくれた。

 

「東北と九州で、ダンジョンからモンスターが出てきたんだって……」


「しかも、さっきチラッとその映像が流れてたけど、1体や2体じゃ済まなそうだったよ?」


 赤星が付け足した情報も、何一つ事態を楽観視できないことを告げている。


 ……マジかぁぁぁ。


 空気が重くなる中、テレビのアナウンサーは緊迫した表情で続きを述べていく。



『――ダンジョン探索士を派遣して、対応にあたるということです。えぇぇ……非常に危険です、避難する場合も慎重に行動をとって、安易に現場付近に近寄らないよう心がけて下さい』



「ダンジョン探索士って――」


 そう声を出そうとした時、丁度――




 ――prrrrr……pi


 


「……はい、赤星です」


 赤星が、誰かからの連絡を受けた。

 この……遅い時間に、だ。


 

 そして、同じような音を耳にし、横を見てみると――




「えっと……え!? ちょっ――アタシが行くんですか!? マジで!?」



 逆井も誰かからの連絡が入っていた。

 そして逆井の素の驚き様から、その内容が全くの想定外なことだったということがわかる。      

「今ぁ!? えーっと、その、家の近くにはいないっていうか、泊まりに出てるっていうか……」


 現在地を聞かれ、逆井はあたふたする。


 っていうか、逆井は公には“ダンジョン攻略の第一人者”ってことになってんだし。

 発信機みたいなもんをどっかに仕込まれてそうなもんだが。


 少なくとも電話の相手はそういったこととは無関係らしい。

 










「ほんとーにゴメンッ!! こっちにまでわざわざ来てもらって、ダンジョン攻略までさせといて――」


 目の前で気の毒になるくらい申し訳なさそうな表情をして謝り倒す赤星が。

 あれからラティアとリヴィルが風呂から上がっても、ドタバタは収まらず。


 逆井と赤星は今から迎えが来るので、俺たち3人でこの部屋を使って欲しいという。 

 


「いや、まあそれは良いんだが……」


 俺は風呂から上がりたてのリヴィルを見る。

 丁度リヴィルも俺の方を向いており、視線が合って、頷き返した。


「多分、色んなところでダンジョンの活動が活発化してるんだと思う」


 リヴィルの言葉を受けて、ラティアも同意した。


「ですね。なので今回のことも、氷山の一角だったのではないかと」


 それを聞いた赤星はうんざりしたような表情で肩を落とす。


「うへぇぇぇ……探索士もアイドルも、面白そうだと思ってワクワクしてたんだけどなぁぁ。大変だ、これは」


「まあ……あんまり頑張りすぎんなよ」


 これから駆り出される彼女へのせめてもの手助けとして、俺は『Isekai』で購入したダガーを譲った。


 細かいことは知らないが、確か探索士は刀剣類の携行も条件付きで出来たはずだ。

 見た目もそこまで刃物刃物していない。

 

 まあ大丈夫だろう。


 

「ありがとう~。大事に使わせてもらうよ……」


 受け取って大事にリュックに仕舞う。

 

 トボトボと、赤星は部屋を後にした。

 そして――


「…………これ、結構アタシが重要だったりする?」


 不安気な顔で、逆井は俺にそう問いかけて来た。


 逆井は先ほど“志木”とも連絡を取っていたようで。

 そこで何か思う所というか、考える部分があったらしい。


 俺はつい先ほど攻略したばかりのダンジョンでの出来事を思い出しながら、言葉にする。


「……現状、モンスターを相手にガチでちゃんと戦えるのは、お前だけだってこと。志木や赤星、皇さんとよく話し合ってみることだ」


 勿論俺やラティア、リヴィルも倒せるが、今この場で問題になっているのは逆井達。

 つまり“世に知られている中で”、モンスターを何とかできそうな人、ということだ。

 

 おそらく、今後こういうことは何度も起こってくるはず。

 その度に、俺がラティアやリヴィルを引き連れて行ったんじゃ体が幾つあっても足りない。


 彼女らが対処できる規模なら、彼女らが対処して力を付けて貰う方が、よっぽど今後お互いが楽なのだ。

 チラッとテレビに映ったモンスターも、ラティアやリヴィルによるとGランクのダンジョンからくるモンスターだというし、危険も低い。



 


 赤星は、今さっき、正に異世界産の武器を渡した。


 志木と皇さんには『薬草』や『ポーション』を合計15個ずつ買い取ってもらった。

 今朝、ラティアとリヴィルが出かけていた用事の一つだな。

 

 まあ、俺の分の75000円は、ここに来るまでのタクシー代へと殆ど消えたが。

   

 それでも、彼女たちが微量でも魔力を体内へと吸収することは可能だ。



 そして逆井は――


「……うん、アタシ、ちゃんと自分の手で、倒したんだもんね……」


 自分の右手を不思議そうに見つめてから、逆井は自信を取り戻したように頷いた。


「――分かった! じゃ、ありがとね、アタシ、頑張ってくる!」


「おう! 行ってこい!!」


「リア様、お気をつけて」


「……無茶しないようにね?」


 ラティアとリヴィルもそれぞれ逆井を気遣い、言葉を掛けた。


 

「ハハッ、新海じゃないんだし、無茶なんてしないよ、大丈夫!」


 そう言って、笑顔で逆井は出ていった。




 ……最後のは余計だろ。


「いや、俺も無茶なんて全然しないんだが……」


「……フフッ、ご主人様。ご冗談がお上手ですね」  


「マスター。それ、狙ってる?」


 別に冗談で言ってないのに、二人に笑われた。

 酷い……。




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



 次の日。

 旅館の部屋とはいえ、流石にあんなことがあった後グッスリ眠ることもできず。


 俺たちは浅く寝て起きてを繰り返し、そうしていたら朝になっていた。



 そして、チェックアウトした後にDD――ダンジョンディスプレイのテレポート機能で廃神社跡に戻ったのだが――



『――新海、今日休校だから。学校来るなよ?』


 

 担任の男性教師から、電話がかかって来た。

 

「はぁ……わかりました」


 何が何だかわからず、朝早くで頭も回っていなかったので正直あんまり話が入ってこなかった。



『詳しいことはニュースか、県のホームページとかに書いてあるから――スマン、他の生徒にも電話しないとなんだ、じゃこれで……』


 と慌ただしく捲し立てられた。



 なので、家に戻って県や学校自体のホームページを調べてみることに。




『休校情報――本日、県内の高等学校は全て臨時休校となります』




 そのような文章が、県のホームページやSNSなどに、つい先ほど更新・掲載されていたのだ。

 ちゃんと調べてみると、公立校だけでなく私立校も同様だった。


「――ご主人様、コーヒーを入れました」


 リビングに持って降りてきたノートパソコンの前で格闘していると、ラティアが飲み物を持ってきてくれた。


「……マスター、あんまり無理しないでね」


 リヴィルはテレビの前で陣取り。

 情報収集を買って出てくれていたが、CMのタイミングでソファーから顔を覗かせて声をかけてくれる。  

 

「おう、二人とも、ありがとう。――むむむ。とすると……」


 未だ稼働しきっていない頭を、苦いコーヒーを啜って無理にでも起こす。

 普段、試験前などよっぽどのことでもないと飲まないだけあって、やはりシャキッとはする。

 

 

 ……ただ、この苦み、全く慣れない。

 これを美味しいと思える日なんて来ないんじゃないか。


 

 そんなどうでもいいことを考えていると、自然と頭も回ってくる。




『――が、今現在確認されているダンジョンからモンスターが氾濫した地域です』


 

 

 防衛省のホームページまで行くと、ようやくお目当ての情報が載っていた。

 さっきまで、間違えて関係ないのに気象庁のホームページ見てたぞ。

 それで『防災関連情報』の項目クリックして「あっれぇぇ……全然ない」とか言ってた。


 アホか、全然頭回ってないぞ、さっきまでの俺。




 

 

「どうです? ご主人様」


 ラティアがタイミングを見て、俺に様子を尋ねてくる。


「うーん、どうやら――」


 








「……そうですか。やはり私達がまだ気づいてないダンジョンが……」


「ああ……」


 

 この県内でも、ダンジョンからモンスターが出現して、外に出たっぽいのだ。

 先生の話にも“ダンジョン”とか“モンスター”とかいう単語は出てたんだが。

 

 てっきり昨日テレビで見た東北とか九州の話かと思ってた。

 

 だから「何で東北や九州でのモンスターの出現が、うちの県の休校と関係あんだよ……」と疑問だった。



 

 


 だがこうして疑問が解消すると、今度は別のことに考えが行った。



「……一番ダンジョンを攻略したり、モンスターを間引いてるのは、私達ですよね?」


 ラティアも同じことを思ったようだ。



「……ああ。なのに、うちの県も、普通にモンスターが外に出てしまってる」



「――この“国”だけじゃないっぽいよ、これ」


 そこに、リヴィルの声がかかった。

 俺とラティアは直ぐに彼女の座っているソファーへと場所を移動した。


 リヴィルはテレビ画面を指さした。




『――繰り返し、速報をお伝えします。アメリカや中国、イギリスでも同様に、ダンジョンからモンスターが出現したとのことです』 


 キャスターから画面が変わって、その各国の報道官が状況を伝えている映像が映し出される。



「世界中で、同じことが起こってるってのか……」



 昨日、日本で複数箇所モンスターが外に出てきたことは、世界でも勿論報道されていた。


 先ほどチラッと見た翻訳済みの掲示板などでは“日本が一番初めにダンジョンを攻略したこと”を、裏では妬んだり疎ましく思っていることを示すように――


『調子に乗った罰が当たった』


『一番に攻略したんだから、これくらいのことがあって当然』  


『むしろこんな程度なら、直ぐにまた攻略して見せてくれるだろう?』


 など、日本の騒動を喜んでいるようなコメントが多数散見された。

 だが、これは別に日本だけの現象ではなかったのだ。





 昨日あったことが思い出される。

 ダンジョンがダンジョンを食い。

 そのダンジョンが味を覚え、他のダンジョンを求めるため。


 ダンジョンのモンスターが外に出る。




 一方、ラティアと一緒に攻略した、あのアーマーアントのダンジョン。

 あれは純粋に、モンスターがダンジョンに収まりきらずに外に溢れたものだった。




 そして、今起こっている現象がどちらによるものなのか。

 確認することさえできない程、各地でダンジョンが、モンスターが、活動を活発化させていた。



 これは……。



 俺たちが手を貸すと仮定しても、だ。 

 




 ――逆井達だけで、手が足りるのだろうか。





 俺はそんな疑問を抱かずにはいられなかった。


  

 


物語内の事態はランキングのように急展開!


次話も最悪でも明日の正午までにはあげられるよう頑張りますので。

とりあえずこの急展開も「そういうもんか……」と受け止めておいてください。


私もランキングやPVを「そういうもんか……」と思っておきますので、お願いします!


ご評価いただいた方が739名に!

いつの間にか、ですね。


ブックマークも6976件と、もう少しで7000件に届きそうです!

後、感想ももう少しで100件に。


未だご声援・ご愛読いただいていることを実感して、何とか踏ん張っています。

本当にありがとうございます。


感想の返信についても徐々に行っていきますので、しばしお待ちを。


今後も、ご声援、ご愛読いただけましたら、作者として大変うれしく思います。

是非よろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] そういうもんか。
[一言] 自分、この小説好きっすよ。
[一言] > 『――新海、今日休校だから。学校来るなよ?』 > 「はぁ……わかりました」  来るなよ? 絶対来るなよ?(振り) >  ……ただ、この苦み、全く慣れない。 > これを美味しいと思える日…
感想一覧
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