閑話⑤.探索士でアイドルな少女達の一日……。
お待たせしました。
迷ったんですが、結局閑話を入れることにしました。
以前ラティア達がアプリで会話していたのがあったと思いますが、それの逆井さん達バージョンです。
……本当は志木さん、皇さん、それに椎名さんまで入れるつもりだったんですが、今回はやむなく見送りに。
ではどうぞ。
~アイドル探索士達の何でもないありふれた日常の一部~
【グループ名:かおりんと素敵な仲間たち※椎名さんもいるよ!!】
〔可愛いチハちゃん:皆さん、今何してますか? ち・な・み・に~チハちゃんはレイネさんとビーチに来てます!〕
呟きの後、サングラスをかけた桜田本人のスタンプが押された。
実際に売り出されているスタンプで、夏バージョンのものだ。
〔伏兵颯:へぇぇ~いいなぁ、チハ。正にアイドルが過ごす夏のプライベートっぽくって。私はリヴィルちゃんとお買い物かな〕
本人が可愛らしく手を振っているスタンプを押してそう呟く。
……ちなみに“颯”の前につけられている“伏兵”は赤星自身が望んで用いているわけではない。
このアプリのグループを開設する際、伏兵捜査官2名の強い要望に押し切られる形で、泣く泣くつけることになったのだった。
〔可愛いチハちゃん:おぉ~颯先輩も満喫してるじゃないですか~! 私達ぃぃ、忙しい日々を送る超スーパーアイドルですからね~。休みは大事です!〕
その後、“バレちゃわないかな、あわあわ!”とあざといことを口にするスタンプが。
……要するに仲間内で呟くことで、改めて脚光を浴びる自分を確認しご満悦なのである。
〔伏兵颯:あー凄いねーうんうん、そうだねー〕
……対する赤星の反応は棒読みで淡泊だ。
だがそれで仲がもつれると言うことも無い。
この二人、同じ学校の先輩後輩と言うこともあって、こうした気安い態度を取れる程には仲が良いのである。
〔純情ギャル梨愛:うぃっす~! アタシは今ゲーム中だよー〕
遅れて現れた逆井。
SDサイズの本人が、可愛らしくギャルっぽいピースをしている絵とセットだ。
……ちなみに“純情”は、“伏兵”が仕返しにとねじ込んだワードだ。
これを入れないと自分も、と抵抗され、逆井も仕方なく付けたのだった。
それは良いとして……。
やって来た逆井が連続で呟く。
〔純情ギャル梨愛:ツギミーとロトワちゃんのタッグ、マジ強敵!!〕
〔純情ギャル梨愛:ってかアタシは最初、ほぼほぼスルーされて、新海が即集中狙いされる!! 新海のモンスター手足出ずに3体ボコられてるんだけど〕
〔純情ギャル梨愛:“これがガチ勢の本気ですよ。梨愛ちゃん、お兄さん……”って! ――ぐぬぬっ! ツギミーめ、純粋なロトワちゃんに卑怯な手を教えちゃって!!〕
そこまで次々に呟いて、ようやく二人からの反応があった。
〔可愛いチハちゃん:……えっ、ちょっと待ってください梨愛先輩。今、先輩と一緒にいるんですか?〕
〔伏兵颯:えっ? 梨愛、あれ、“今日ちょっと用事で出掛けるんだ……”って言ってなかったっけ?〕
そこでしばらく呟きが途絶えた。
追及官たる二人がざわつき始めた頃、ようやく容疑者が口を開く。
〔純情ギャル梨愛:? うん、いるけど。ロトワちゃんと、新海と、後ツギミーの4人でゲームしてるよ!!〕
〔可愛いチハちゃん:“えっ、何が問題なの?”みたいな反応、白々しいにも程があります!! 直ぐ答えられず今まで空いた間が何よりの証拠です!!〕
〔伏兵颯:……普段から私のこと“伏兵”“伏兵”って言ってくるのに……自分だってちゃっかり新海君と会ってるじゃん!〕
珍しく赤星もプンプンと怒り顔のスタンプを使う。
ぶりっ子っぽくて恥ずかしいため、あまり使用率の高くないこれを使う辺り、赤星は強い抗議の意を示していた。
〔純情ギャル梨愛:え、えーっと、何のこと? えっ、普通に遊んでるだけだって! ツギミーもいるし、ロトワちゃんとも楽しく遊んでるよ!?〕
〔純情ギャル梨愛:新海なんてただのついでだって。4人で2対2のタッグバトルするための単なる数合わせだし!〕
苦しい。
あまりに苦しい言い訳である。
二人の追及官もそれを感じ取り、それぞれ画面の前ではジト目だった。
〔可愛いチハちゃん:ちなみに……さっきの証言から考えると、梨愛先輩がタッグを組んでるのって……〕
〔伏兵颯:2対2で、美桜とロトワちゃんがチームなんだから……新海君と梨愛が組んでる、って考えるのが自然だよね? ってかそう自白してるし〕
普段、伏兵裁判で被告人となることが多い赤星は、その恨みを晴らす勢いで追い詰めていく。
そしてとうとう、被告人は、罪を認めたのだった。
〔純情ギャル梨愛:うっ、うぅぅ……でも、でもさ! 本当に遊んでるだけなんだって! ――あっ、そう言えばハヤちゃんはリヴィルちゃんといるんでしょ? お買い物、どうどう!?〕
明らかな話題転換。
それは分かっていながらも、二人は仕方なくそれに応じることにした。
男女二人きりならともかく、空木やロトワがいる以上大きな抜け駆けにはならないだろうと判断したからだ。
……それに、何だか自分達が同じ状況に置かれても同じ様になりそうだと思って、追及は下策だとの判断もあったのだが。
〔伏兵颯:うーんと……まあブラブラしてるよ。ウィンドウショッピングをして、で、今は下着を買いに来てる。……うわっ、リヴィルちゃん、やっぱ大人っぽい下着、凄く似合うなぁ〕
二人はリヴィルが、黒や紫のアダルトな下着を胸や下半身にあてがっている様子を想像する。
確かに……とそれを頭に思い浮かべるだけでも納得のものだった。
〔可愛いチハちゃん:へぇぇ……それはそれで楽しそうです。私も今度、レイネさんを誘って行こうかな……まっ、ビーチでのんびりも最高ですけどね!!〕
〔可愛いチハちゃん:ちなみに、今は絶賛他の人達の視線を集めまくってます、私達! もう~チハちゃん、ちゃんとサングラスかけて変装してるのに~。やっぱりぃ、隠しても隠し切れない可愛いオーラがあるんですかね~?〕
確かに桜田自身が可愛い美少女ということはあるだろう。
ただやはり、現世に舞い降りた天使そのものの容姿をしたレイネの、その影響が大きいんじゃないか。
……そんな思いがあったので、二人は桜田の呟きにはツッコみを入れずスルーした。
〔伏兵颯:――あっ、ゴメン、何かリヴィルちゃんに試着を頼まれたんだけど。……プレゼントにお揃いのを貰っちゃった。ちょっと抜けるね〕
両手を合わせて申し訳なさそうに謝る赤星の絵が押される。
お揃いの下着、と言うことに少しだけ引っかかるものを覚えるも、まあそう言う関係もあるかとスルー。
二人はそれを了解し、しばらく適当に雑談をしていた。
――そこに戻って来た赤星は、何故だか酷く慌てていた。
〔伏兵颯:うぇっ!? えっ、ちょっ、ど、どうしよう! リヴィルちゃんに変な脅しをかけられてる!!〕
〔純情ギャル梨愛:? ゴメン、ちょっとよく意味が分からないんだけど……詳しく教えて〕
〔伏兵颯:“ハヤテが同じ下着を身に着けた姿、しっかりと記憶した。これで私が同じ下着を付けた姿を写メに撮って、マスターに送る”って!!〕
混乱しているのか、赤星が押したスタンプは志木が可愛く頭を抱えて目を回しているものだった。
……別人の、しかも志木本人が完全に商業寄りで媚び媚びにしたスタンプだ。
それを押してしまう辺り、赤星の混乱具合は相当なものなのだろう。
※“グルグル目回しかおりんスタンプ:他の5つとセットで300円”で絶賛販売中である。
〔可愛いチハちゃん:? えっと、すいません、何が問題なんですか? 颯先輩が下着を付けた姿、見られたのって“リヴィルさんだけ”なんですよね? それに送る写真もリヴィルさんの物……〕
〔伏兵颯:続きがあるんだよ!! “……ここに一文添えると、マスターどんな反応するだろうね? 「ちなみに……ハヤテにも同じ下着を贈ったんだ」って”〕
その補足説明でようやく二人は事態を察した。
つまり、リヴィルの下着写真を通して、自身のアダルティーな下着姿までも気になる異性に想像されてしまうのである。
ちょっとドキドキしてくれるとしても恥ずかしいのに、まして引かれでもしたらと思うと……要するに、乙女としては緊急事態なのだ。
〔伏兵颯:――あっ、送っちゃったって!! うわぁぁぁ……〕
その呟きの直ぐ後――
〔純情ギャル梨愛:……新海がスマホ見て固まった。ツギミーが追及したら“いっ、いやいや、何でもない何でも!! うん、ちょっとリヴィルからメールが来ただけだから”って誤魔化してる〕
〔伏兵颯:うぅぅ……恥ずかしい〕
両手で自分の顔を覆い隠す、そんな絵が押される。
現実の赤星もきっとこんな感じなのだろう。
〔可愛いチハちゃん:……あーでも何か、颯先輩を慰める気になれません。これ、結局は颯先輩一人が美味しい所持って行ってませんか?〕
スタンプが押される。
桜田が腰に手を当て、ジト目で睨んでいるものだ。
〔純情ギャル梨愛:……アタシもそう思う。何だかんだハヤちゃん、新海に自分の下着姿をアピール出来たって事っしょ。現実に、新海さっきからちょくちょくスマホ見返しては上の空になってるし〕
〔伏兵颯:ちょ!? えっ、私別にそんなつもり一切無かったんだけど!!〕
〔可愛いチハちゃん:なるほど……梨愛先輩と律氷ちゃんが“伏兵”“伏兵”って叫ぶ理由が、チハちゃんにも分かってきましたよ……〕
〔伏兵颯:だから、私別に“伏兵”じゃないってぇぇぇぇ!!〕
その後、弁明は続くも聞き入れられず。
更に伏兵の伏兵度が増したのだった……。
もしかしたら志木さん達を書くために連続して次も続きになる、かも。
……次に閑話を書く時がいつになるかわからないので、書いておきたいという感じです。
ただまだ決定じゃなく、明日次第ですので、そう言う事でお願いします。




