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282.頭痛い……熱中症?

お待たせしました。


健康管理の一環と思い久しぶりにまともな運動をしたら、筋肉痛だらけに(涙)

感想返しをちょこっとしただけで寝ちゃいました、すいません。


ではどうぞ。


「お待たせしました。ご主人様、ロトワは大丈夫でしたか?」


「おっす。おう、むしろ気を遣ってもらったくらいだ」



 合流をしたラティアと、何でもない会話を交わす。

 しかし一方で、周囲にそれとなく目を配るのも忘れない。



 こちらに対して何かアプローチをしてくるかもしれない……。



 ――っと、レイネか?



「……もしもし」



 鳴っているスマホの通話ボタンを押す。

 目ではラティアに、ロトワといてくれと頼む。


 ラティアは頷き返すと、二人で話し始めた。

 ……いや、それは良いんだけど、何故にスポドリが話題に上がるのか。


 ラティアさん、君は今日スポーツドリンク持ってきてたよね?

 俺の飲み物、貰う必要ってある?


 ……うわっ、凄い勢いで自分の飲み干した。



『――もしもし、隊長さん? 大丈夫か? 途切れたけど……』



 レイネに心配され、意識を戻す。


 ……自分のを飲み切っても喉が渇いたんなら、もう多くは言うまい。

 うん、あげるから、ロトワと仲良く飲んでね?



「いや大丈夫。ラティアと合流したよ」


『ああ。あたしのいる所からも見えてるよ。で……特に動きはないな』


「そうか……」

 


 その尾行している奴に聞こえても差し障りない答え方をする。

 尾行に気付いている、そう相手に認識させないためだ。



『見た目明らかに怪しいんだけどさ、このイベントだろう? だから結構周りに溶け込んでて、かえって不自然じゃないんだよ』


「ふーん……具体的には?」



 簡潔に、多くを話し過ぎないよう意識する。

 出来るだけレイネに説明してもらう形にした。



『まああれは“蛮族”だな。で、恰好からして“女”だ。凄い露出で、でも(ヘルム)だけはしっかりしてて……』



 レイネの言葉から、絶対に顔・身元バレだけはすまいというその人物の強い意志が感じられた。



 そんな変な奴に付けられてるのか。

 ってかそれじゃあ情報収集には向かない気がするが……。



「――分かった。ちょっとこっちでも気を付けるよ。“眼鏡(サングラス)”は付けとくからさ」



 どう行動するかのキーワードを告げる。

 レイネも分かったらしく、緊張を強めた。


 何となく、そんなに警戒しなくてもいい気はするんだが……。 



『了解――』



 レイネとの通話を切り、ラティアにちょっとの間離れることを告げる。

 ロトワを任せ、運動公園内にあるトイレを目指すフリをした。


 そして一度、忘れ物をした(てい)で、反転。

 ラティア達の下に戻る。



「いや、ハンカチ忘れてた。手を拭く物なかったらマズいよな……」


「もう、ご主人様はうっかりさんですね、フフ」



 ラティアとそれっぽい会話をしながらも、俺は遂に視界に捉えたのだった。



 ――あれか!!


 

 確かにいた。

 レイネの言った通り、コスプレイベントだからこそ出来る野蛮な恰好の女性。



 顔全てを覆ういかついヘルムに反し、体はほぼ防具無し。

 胸当てとボトムの水着、そして革製だろうブーツを履いている。



 その胸当てに収まる慎ましい果実。

 露出された肢体などから、女性だと分かった。



 ――ち、痴女や!! 痴女(おりべ)みたいなやつがおる!!   



「っっ!!――」



 振り返った俺を確認し、慌ててその女性も反転。

 関係ないイベントの一参加者を装いブラブラと歩き始めた。


 逃がすかっ!――



 俺は早速“灰グラス”を取り出す。

 周囲に自分を見ている人物が他にいないか、気を配りながら装着。

 

 薄い膜が張ったように視界が少し見辛くなる。

 その代わりに、1分間のボーナスタイムを得た。



「こんのっ!!」



 走って追いかける。

 周りから存在を認識されないのと同時に。

 

 追いかけている人物のステータスを、副次的に見ることができた。

 逃げられない内に捕まえることが目的だったのだが、俺はそこで思わぬ真実に直面したのだった。

  






[Ⅰステータス]

名前:白瀬(しらせ)飛鳥(あすか)

種族:人間

性別:女性

年齢:17歳

ジョブ:――



[Ⅱ能力]

Lv.9

体力:67/67

力:30

魔力:6

タフ:25

敏捷:26


[Ⅲスキル]

無し



[Ⅳ装備]

頭:偽兜(フェイクヘルム)

胸:作り物の胸当て

上:無し

下:コスプレ用肌着・革ブーツ

手:無し




「なん、だと……!?」



 この人物が白瀬だということにも驚きだが、もっと驚愕すべきところはそこではなく――



“胸:作り物の「胸」”ではなく、“胸:作り物の「胸当て」”……。 




 ――“胸:パッド(大)”ではない、だと!?




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



「……もしもし」



 1分経って、灰グラスの効果がなくなり。

 だが俺は、その効果を使って尾行者(しらせ)を捕まえるようなことはしなかった。



 ラティア達の所に戻り、レイネに放置していいということを伝え。

 その問題の白瀬に電話をかけた。


 

『……はい? えと、何?』



 出てくれるかどうかは五分五分だったが、ちゃんと出てくれた。

 白瀬は疑い深そうな声で応じてくる。


 ……バレてるとは思ってないんだな。



「……何で見てたんだ? ってかもう少ししたらイベントだろうに。んなことしてて大丈夫なのか?」


『――っっ!?』



 通話口の向こうから息を飲む気配が伝わって来た。

 驚きや戸惑いに、しばらく言葉が出ない様子らしい。



 白瀬は最初、小さな声で途切れ途切れ話し始めた。

 それ以上、俺が言葉を重ねず待っていることで、どうやら言い逃れ出来ないと判断したようだ。


 

『その、気付いて、くれたんだ。私、絶対に誰にもバレない自信、持ってからしたのに……ハー君、気付いて、くれたんだ』 



 何がそんなに良かったのか、白瀬は“気付いてくれた”という言葉を何回も繰り返していた。


  

 いや、そりゃ気付かれない自信装備してないと出来ない格好だもんね。

 白瀬一番のコスプレたる“パッド”が無いのだから。



 普段“巨乳”という印象が強い“虚乳”の白瀬だ。

 その最大の装備を取り外したのである。


 ヘルムもそうだが、そりゃそもそもの認識のトリックで、俺じゃなきゃ白瀬だとは気づかなかっただろうさ。



『その、志木さんから、聞いてたから。ハー君が、その、“織部さん”? っていう居なくなった同級生の人に縛られてるかもって』


「志木からそんなことを……」

 


 こんなところにも、“るおりんスク水「お、おしっこ……」事件”の余波が……。


 いや、それは良いんだけど。

 織部に“縛られてる”って言い方は、ちょっと嫌だな……。



 ああ、脳内で織部が抗議の声を上げる声が聞こえてくるみたいだ。

“縛るのは新海君! 縛られるのは私! ここ、重要ですよ、試験に出ますよ! 間違えないでください!!” 



 ……いや、出ねえよ。

 頭の中の織部を振り払い、白瀬に先を促した。



『で、六花さんからハー君達が、その、今日イベントに来るかもって、聞いたから。ちょっと様子見て、まだ気にしてるようなら、元気出してあげたいなって……うん、はい』



 気を遣わせたのか……申し訳ないな。


 ってか、だから俺は別に、織部に片想いしてた不憫(ふびん)な奴じゃないんだけど!


 寂しがって落ち込むどころか、奴からとんでもない話が飛び込んでこないか日々戦々恐々としてんだけど! 


 

 クッ、どこもかしこも織部の影がチラついていやがる……!



 再び脳内に現れ、“ニチャア”と粘着質に笑う織部を特製ゴミ箱に放り込み。


 白瀬に、感謝の言葉を一応述べておく。



「そうか、うん、ありがとう。志木にも言ったけど、大丈夫だから、本当に」


『そう? なら良かった……。私も、ちょっと勇気出して、思い切った格好してみたからさ、うん。少しでも伝わってれば、嬉しい』



 そりゃ白瀬にしてみればとても大胆な恰好だったんだろう。

 何しろ着脱可能な自分の体の一部を装備せず、コスプレに挑んだのだから。



「ああ、大丈夫、覚悟というか、頑張りみたいなものはちゃんと伝わったから」



 シーク・ラヴは今や大人気で、アプリゲームもあるくらいだ。

 アプリでのキャラ衣装を、実際のメンバーたちが着て撮影し、それをゲーム内でのご褒美として反映させている。



 そうした活動の副次的効果で、白瀬が公的にコスプレをする機会も増えていた。

 バラエティー番組でも、ダンジョン関連の広報としても。


 だから、白瀬が自分の趣味を隠すことなく。

 胸を張ってコスプレ出来る下地が出来つつあったのだ。



『やっぱりハー君は、凄い、カッコいい……――あ、えっと! これからイベントの準備に戻るから! ダンジョンのこととかライブのこととか、沢山告知したりするから、絶対見て行ってよね!?』 


 

 いきなり素に戻った白瀬が矢継ぎ早に告げ。

 返事も待たずに切ってしまった。



 俺は切れたスマホをしばらく見つめながらも、周囲に目を配る。

 探索士のコスプレをした人たちがチラホラ増え始めた。


 イベントの設営場所へと向かうのだろう。



 こうしてコスプレとして着られる程に、探索士という概念が広がって来たように。

 白瀬も自分の“好きという想い”に近いコスプレが出来始めている程に、それを受容する社会の認識が作られてきた。



「それは喜ばしい、んだろうけど、なぁ……」



 そう口にする反面、重くなる気を吐き出すように溜め息を吐いた。

 





 ――痴女(おりべ)とのシンクロ率が高まってるぅぅぅ!!



 そもそもがパッド仲間だったのもあるが……。


 思い切ってパッドを使わないコスプレをしてみた大胆さ。

 それだけでなく、レイネに“蛮族”と評された裸族っぽい恰好そのものもまた、とても大胆なものだった。


 そしてそれは、織部との親和性を感じずにはいられないもので……。



織部(アイツ)、何で地球(こっち)にいないのに影ながら凄い影響力を行使してんだよ……」 



 

 今後の地球の将来を(うれ)い、熱中症ではないはずのに頭が痛くなったのだった。


  

うーん……既にブレイブとしての潜在的な素質が開花した赤星さんや、開花しそうな皇さんとは違って。

白瀬さんは素で織部さんに近しい物が顔を覗かせてますな……(白目)


主人公としてさぞかし頭が痛いことでしょう。

安心してください、熱中症ではありませんよ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 白瀬さんのステータス画面なんですが、200話で≪ダンジョン修練士≫になったはずなのにジョブに反映されてないんですが?
[一言] え?普通に試験に出ますよ? 三級ブレイブ技能検定の まぁ虚乳族だから あの一族の結束は血の繋がりより強いしね 似通うのも仕方ないよ
[一言] 熱中症の方がまだましだった(顔を覆う)(性癖は直せない)(ミーム汚染)
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