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257.食べちゃったよ……。

お待たせしました。


ロトワ加入以降、矛盾しないよう更に物語の細部を気にする必要が出てきて、何話か見返してたら時間がどんどん過ぎて行って……遅くなりました、すいません。


ではどうぞ。

「ふぅぅ……お疲れ、レイネ」



 シルレ――の姿をしたルオが何でもないように息を吐く。

 あれだけ素早く、そして激しく動いていたにも関わらず、全然疲れを感じさせなかった。



「おう、ルオもな!」



 そして主にアタッカーを務めていたレイネも、笑顔で答えていた。

 凄いな、ラティアに一度も魔法を使わせず、二人で大ネズミの群れを片付けてしまうなんて……。



 いや、まあある意味俺やリヴィル達の班も、空木やロトワがいる分、2人で頑張る比重は大きかったけども。


 それでもルオとレイネの働きは目を見張るものがあった。

   


〈Congratulations!!――ダンジョンLv.13を攻略しました!!〉


〈Congratulations!!――“ダンジョン間戦争 攻略戦”に勝利しました!! ――当該ダンジョンを総代表“ハルト・ニイミ”の直轄へと組み込みます〉 



 同時に、1つ目のダンジョン攻略を示す音声が流れた。

 


「……何だか、不思議な感じです。実際に自分も戦闘して、で、攻略の場に立ち会って……」 

 


 空木はそれを嬉しがるとか、高揚感を覚える、という感じではなく。

 まだ現実感が湧かずにいるみたいにそう呟く。



「うーん、まあもう少しモンスターにダメージを与えられるようになったら、もっと実感湧くようになるさ」


「そうそう! これが始まりっしょ? これからどんどんツギミーもダンジョン攻略の最前線で戦うようになるんだから」


「そっか……」



 それを聞いて初めて、何となく想像が膨らんだのか、実感の籠った表情に変わっていく……。



「……ああでもそっか、嫌だなぁ、ウチ、せっせと自分から働きアリになっちゃってるってことでしょ? うわ~夢のぐうたら生活が遠のいてくぅぅ~!!」 


 

 空木が本気で悔しそうに頭を抱える姿を見て、皆が笑い声を上げ、和んだのだった。








「――さてと……戻ってきたは良いが……これからどうすんだろう」



 京都の方のダンジョン、つまり今回の拠点へと戻って来た。

 DD―ダンジョンディスプレイの転移機能を使ったため、戻りの負担も特にない。



 ラティアや志木達に休憩してもらってる間に、この後のことを考える。


 

 未来のロトワは攻略したダンジョンを“食べさせる”って表現していたが……一体どうやるんだろうか。



 とにかく、何かできないか試してみるために台座へと向かう。

 ダンジョン機能の中で該当しそうなものが無いかと色々いじってみた。



 Ⅰダンジョン機能展開

 Ⅱダンジョン特性とDP交換

 Ⅲダンジョン間戦争




“Ⅰ”を選択してみる。



 すると――



「……あっ、これか」  



 出現した項目に目を通すと、それらしい選択肢があった。




 ①モンスター創造Lv.1 

 ②アイテム等創造Lv.1 

 ③支配下ダンジョン管理 →new!!




「これで合ってる……よな?」



 ③を選ぶと、再び選択画面に移る。

 しかし選べる項目は一つしかない。

 

 まあこのダンジョンの支配下は1つしかないんだから当たり前か……。

 


「――へぇぇ、ツギミーやっぱし胸おっきくなったね! 去年から大分成長したんじゃない? ニシシ、このえちえち・わがままボディーめ!」


「……梨愛ちゃんに言われてもな~。そっちだって、あれでしょ? “世のお父さん方が感謝するアイドルランキング”入りした癖に」


「ちょ!? それ深夜番組でやってた奴じゃん!? 何で知ってるし!?」



 ……休憩中だしガールズトークしてても良いんだけど、もうちょっと話題は選んでくれないかな。

 

 普通に同じ空間にいるんだから、聞こえてるんだけど。


 手を休めずに進めながらも、耳に届く声で想像が膨らんでしょうがない。




「もう、オカズ候補にされてるのアタシだけじゃないし! かおりんなんて、ネットとかで何て言われてるか知ってる!? “その(けが)れ無き白さを白で汚したい!(意味深)”って言われてんの!」


「ちょっと、梨愛さん!? もらい事故なんですけど!? もう……そんなこと話してないで、さっさと着替えちゃったら? アンダーが汗でベトベトだって言い出したの、美桜さんでしょ?」



 いや、うん……肌着、着替えも大事だよね。

 ただ一応俺もいるんすけどね、良いけど別に。



「…………」


「…………」



 ラティアは笑顔でこっち見んなし。

 リヴィルもこっちに見せつけるようにシャツを着替えない!



「……ねぇレイネ、あっちに何かない?」


「へっ、いや何もないだろ……っっ!!」


 

 あっ、くそっ、リヴィルの奴、悪戯(いたずら)しやがって、仕返しのつもりか?

 着替え中のレイネをこっちに向かせるな!

 

 ったく……。

 




 ・

 ・

 ・

 〇モンスター配置

 〇ダンジョン経験値化  



「あっ、これだこれだ……」



 

 雑念・煩悩を振り払って“管理項目”を見ていくと、ようやく該当箇所を発見。

 多分、この“〇ダンジョン経験値化”だろう。



〈当該 番号“1”被支配ダンジョンを支配ダンジョンの経験値へと変換します。よろしいですか?〉



 選択すると、そんな確認の音声と共に変換結果を予測したものが映し出される。




 □支配ダンジョン:ダンジョン名“ハルト・ニイミ 管理下ダンジョン No.23” 


 

  ダンジョンLv:17  階数:3 貯蓄DP:0 食前

  ↓

  ダンジョンLv:21  階数:6 貯蓄DP:650 食後

  


    

  

 □被支配ダンジョン:ダンジョン名“ハルト・ニイミ 管理下ダンジョンNo.31 ※備考:No.23直轄地→番号1


  ダンジョンLv:13 階数:2 貯蓄DP:0




「一気に階数は倍か……“食前”“食後”って……生々しいな」



 そんな感想を抱きながらも、俺は最後の確認に対して頷いたのだった。




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



「――えっ、うわっ、何々っ!?」


「っっ! 入口が……閉じてく!」

   


 俺の選択後、直ぐに現れたダンジョンの変化に皆が驚く。

 リヴィルなんかは真っ先に気付いて警戒心を露わにしていた。 

 


「皆、落ち着いてください!! ただのダンジョンの機能、ですよね?」



 ラティアに確認され、俺も確信は持てないながらも頷いた。

 そりゃあの選択の後に起こったんだから、今正に経験値化を進めてるってことだと思うんだが……。



「……食べてる、最中なのか?」

 


 俺達がさっき攻略した一つ目のダンジョン。

 ダンジョン間戦争に突入する際にできた、その入り口の穴があった場所。


 

 そこを注視していると、穴は不規則に伸び縮みする。

 かと思うと、まるで口の中で噛み砕かれている最中のように、穴はドンドン小さくなっていった。



 そして最後、人どころかネズミ一匹入れそうにない程小さくなると――



 ――ゴクリッ




「穴が、消えた……」




 飲み込む音が聞こえた気がした。

 それと同時にあの機械音が届いてくる。




〈被捕食ダンジョンの捕食が終了――経験値化が完了しました。当該No.23ダンジョンが“Lv17→Lv21”にレベルアップしました!〉


〈当該No.23ダンジョンが“階数3→階数6”に強化されました!〉



「……終わったらしい。強くなって、階数も増えたってよ」


「そう……」


 

 流石の志木も、スケールの大きさに言葉が無いという感じだった。


  

「……ダンジョンの強化って、こういう感じなのか。どうだ、ロトワ、面白かったか?」


「……初めて見ました。ゴォォってなったかと思ったら、いつの間にかバクバクってなってましたですね!」



 一方のレイネやロトワは、あまり圧倒されている様子はなく。

 むしろ絶叫マシーンにでも乗った後のように、興奮しながら感想を言い合っていた。


 ……ウチの女子たちは(たくま)しいな。 



「……とりあえず、方向性はこれでいい、ということですね?」


 

 ラティアに確認され、今回は確信をもって頷き返す。



「ああ。こうやってダンジョンのレベルを上げていって、ダンジョンを強化しろってことだろう」



 そして3つ、攻略したダンジョンを食べさせたら、ロトワの問題を解決できる機能が追加される……ってことだと思う。




 

 

「良しっ、じゃあ後二つ、頑張ろうか――志木達はどうだ、大丈夫そうか? しんどかったら無理せず言ってくれよ」


「いえ、私は全然疲れてないから大丈夫です……梨愛さんと美桜さんは?」



 志木が呼びかけると、逆井は元気よく手を上げて答える。



「アタシも大丈夫だよ~! ほらっ、この通り――」



 ああいや、元気一杯で動けるのは分かったから!

 飛び跳ねなくてもいいって!


 その格好、ただでさえ色々際どいんだから、動くと余計にそれが目立つんだよ……。



「うぅぅ……ウチも夏休み明けの学校くらい行きたくないけど、一応行けます」



 空木は正直者だな……どんだけ行きたくないんだよ。



「ミオ殿!! そんなことをおっしゃらず、頑張りましょう!!」



 ロトワに励まされ、一瞬表情に生気が戻り……かける。

 


「でも……ウチ、足手纏いじゃない?……モンスターにダメージ与えられないままだし」

  

「……10日後か、それくらい先だっけか? お前も合同のダンジョン攻略参加するんだろ? 今やっとけば後で楽だぞ?」


「ん……だよね。あぁぁ、分かってはいるんだけどな~。ダメージ与えるだけなのにね、0から1にするのってこんなに大変なんだ」



 空木を立ち上がらせるためというよりは、純粋に思ったことを告げる。


 空木自身もそれは分かっているようで、少しずつだがやる気にはなってくれているようだ。



 ……仕方ない、もうあと一押ししてやるか。




「……美桜ちゃん、やめる?」


「は? ……お兄さん、その、名前呼びとか、え、いきなりどうしたの? いや、やめないけど……」 



 よしよし、やっぱりこう来たらやる気になるよな!

 若干キョドってはいるけど、感触は悪くない。


 行くぜ――

 


「そう来なくっちゃ! ――0から1へ!! ア〇ア~サンシャイィィン!!」



 …………。



 しーん……あれ?




「……えっ、梨愛さん、彼いきなりどうしたの?」


「偶にあるんだよね、新海、謎の行動取るの。アタシも良くは分からないんだけどさ……」



 ……やめろ、ヒソヒソ話の方が相手は傷つくんだぞ!!



「はぁぁ……まあ、お兄さんが励ましてくれてるってことは分かりましたから。もう一頑張りしますよ。――もう、いきなりでビックリしたこっちがバカだった」


 

 ……すいません。

 以後気を付けます。



「……ちなみに今の、この中で分かったのウチだけっぽいです」    



 うぅぅ……有名どころだと思ったのに。

 空木の最後のフォローもかえって傷つく。





 1つ目のダンジョン攻略自体は、殆ど無傷の大成功だったにも関わらず。

 俺は心に深い傷を負いながら、2つ目のダンジョンに宣戦布告をしたのだった。



後1話で2つのダンジョンを攻略(たべる)?

ハハッ、知~らない!(白目)


……勿論頑張りますが、もしかしたら2話使うかもです、すいません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 先生、なるべくして成る。話数とは 有って無きものですぞ! やはり、空木どんのヒロイン力は侮れない 軽く他者を食ってくる。。これもババ様の力なのか
[一言] > 「ふぅぅ……お疲れ、レイネ」  お疲レイネ!(あいさつの魔法。的なノリ) > 「……ああでもそっか、嫌だなぁ、ウチ、せっせと自分から働きアリになっちゃってるってことでしょ? うわ~夢の…
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