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24.助けていいんだろうか……。

投稿時間がぐちゃぐちゃで申し訳ないです。


後、書いていたらやっぱり1話で描き切るより分けた方が分かりやすいかな、と思って分けることにしました。

次話、つまり今日の夜か日を跨いだ辺りに投稿できるもう一話が、対決・解決話になります。

なので2話にはなりますが、間隔としては間を置かず、お読みいただけると思います。


よかった……2話ありうるって言っておいて。



「――大まかな事情は把握したよ」


 再びDD――ダンジョンディスプレイで通信を繋いだ。

 すると、そこに織部はおらず――

 

『そうですか――“ニイミ”様』


 


 ――エルフの少女、“サラ”がそれに答えた。



 事前に、織部からそうメッセージで連絡は受けていたが。

 実際に織部以外の相手が出る、となると少し不思議な感覚だ。



『必要なことは、カンナ様よりお話しいただいています。ここからは、私が説明を』


 織部は今、席を外している。

 解放した元奴隷たちに、リヴィルを買った人物を探してもらうよう協力してもらっていた。


 ただその必要がなくなったため、それを伝えにあちこち駆け回っているのだ。


「じゃあ、頼む」


 コクリと頷いて、サラは語りだした。




『――リヴィルちゃんには、難儀な呪いが、掛かっています』



 最初、それは何かの例え・比喩だと思った。

 しかし、一切表情を崩さない彼女を見て。


 それが単なる事実を述べたのだということが分かった。


「呪い……ねぇ」


 一瞬、それだけなら丁度【解呪】を取ったばかりで、しかもLv.10だ。

 何とかなるんじゃ、と思ったが。


 サラがわざわざ“難儀な”と表現したのだ、一筋縄ではいかないのだろう。


『リヴィルちゃんがマスターを手にかけた時、そのマスターがリヴィルちゃんに憑りついたんです』

  

「“憑りついた”……」


 幽霊が人に憑りついている、みたいなイメージでいいのだろうか。



『それも錬金術の一種で、依り代のエネルギーを元に、自分の生を保ちます』


 ……どうやら違うらしい。


「それ……もしかして、最終的に宿主乗っ取っちゃったりする?」


 俺の問いかけに一瞬、サラは驚いて訝しむ表情になった。

 

「いや、錬金術師のイメージって、そんな感じじゃない?」


 単に殺した相手を――リヴィルを苦しめるためってよりは。

 何が何でも生き延びて真理を探究してやる――そんなイメージだったから。



 そう言った趣旨を説明すると、サラは納得したようで、頷いてくれる。

 そして、スッと目を細め、過去を振り返るようにして――




『――あれは、地獄です。術師が死んでなお、地獄がありました』



 サラは言う。

 


『魔術側が検証するために訪れたそこは、死体の山でした』


 それは別に死体を分けて置いておく専用の場所に、というわけではない。


『“研究施設”その場に、恰もゴミのようにして、ホムンクルスたちが積み上げられているんです』

 訪れた魔術師たちが見たという光景は、それだけにとどまらない。


『例え生きていても、彼女たちは獄鎖に繋がれ、まともな食事も、与えられず――』


 痩せ細り、知識も碌に与えられず、抵抗する術全てをもがれていた。

 


 ――そんなこの世の地獄みたいな光景が。

 リヴィルが行動を起こすまでずっとなんの疑問も持たずに放置されていたのだ。




 サラはその後、言い得ぬ絶望を感じ、教会で神官になったと語った。

 その後色々あって、今に至るという。  



『――今もリヴィルちゃんは一人で、その再来を防いでいるんです』


「“防ぐ”ってのは……」


 言葉の意味を質す。

 

『“導力”です』


 端的に、そう述べた。


『転生に必要な肉体を得ようとする術者の侵攻を、導力によってかろうじて拮抗している――そうお考え下さい』


 その説明で、何となくをイメージする。 

 先ずは、俺や他の奴みたいに普通の人間。


 真っ黒なオーラというか、霧みたいなものが体に、薄い衣のように纏われる。

 それがどんどん体を蝕んでいく。

 

 ゲージみたいなのが有るのかは知らんが、それがMaxになると、肉体の主導権が完全に奪われる、みたいなもんか。


 

 逆に、リヴィルはそのオーラと自分の体の間・境目に、導力の鎧を纏っている。

 なので、吸収されるのをかろうじて防げている、ということかな。



 俺がそんなイメージで大丈夫かと聞くと、サラは頷いてくれる。



『大体そんな感じで合っています』


 そして、後幾つか付随的なことを語って、説明は終わった。





『――ニイミ様、リヴィルちゃんを、どうかよろしくお願いします』


 まあ、俺がやらないといけないんだろうな、とは思ったが。

 ここまで詳細に説明したんだ。

 

 それにリヴィル自身がコチラの世界にいる。

 

 俺が何とかしないと、いけないんだろうな……。



「ん……まあやれるだけのことはするよ」


 それが、“彼女の人生を買った”という主人の役目みたいなものだと感じた。

 俺の返答に満足したのか、サラはようやく笑顔を見せる。


『ありがとうございます。やはり、カンナ様が心から信頼される方だということがよくわかりました』


「……いや、そうか?」

 

 お互いに相手のことを気にはかけているだろうが。

 なんだかサラのニュアンスとは違う気がする。 



『そうですよ――上手くいきませんでしたが、私は今回カンナ様に、リヴィルちゃんを助けていただこうとしました』


 確かそれに挑戦してみる、ということが織部の行う対価だったはず。

 逆にサラは――


『私はカンナ様に“解毒”に関する持ちうる知識を差し出すこと――その二つが、私達の取引でした』


 アイツ……。


『確かカンナ様は……“ニイミ様”のお名前を口にされて、私の“解毒”に関する知識・知恵を特に欲しているようでしたよ?』


 まだあの“薬草食い過ぎちゃった事件”を引きずってるのか。

 あれは俺のアホが出てしまったということで片付けたはずなのに。


「……まっ、リヴィルの件は、何とかやってみるよ。織部にはよろしく伝えといてくれ」


 俺がそう締めると、サラは小さく笑った後、恭しく頭を下げた。



『フフッ……はい。では、よろしくお願いします』




 通信を切った後。

 俺は、しばし、その場でじっとして気合を入れ直していた。


 そして――



「――うっし、じゃあ行きますか!」




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



「――あっ、ご主人様!」


 勢い込んで家へと戻ると、待ち構えていたらしいラティアがいた。


「おおう、ラティアどうした?」



「あの、その、申し訳ございません……リヴィルと――」



 







「――そっか……やっぱり」


 俺がいない間に、ラティアなりにリヴィルと仲良くなろうと頑張ってくれたらしい。

 ただ、そこで不運なことに、ラティアは目にした。


 リヴィルに死後まだ憑りつく、生みの親の影を。

 

「あれは、一体……」


「うーんと……まあ要するに“お邪魔虫”だな。あれがある限り、リヴィルの態度は今後もああだろう」


 簡単に、リヴィルの事情を説明する。

 ラティアはそれを聞き、言葉を無くしたように黙ってしまった。


「…………」


「えっと、ラティア的にはどう思う?」


 しばらく、ラティアは難しそうにして考え込んでいた。

 俺もそこは急かさず、ラティアが考えを纏めるまで待つ。



「……えっと、リヴィル本人は、助けて欲しいと、思っているんでしょうか?」



 ……そうか。

 確かに、何とかするとサラ達には言ったが、リヴィル本人の言葉を、俺はまだ殆ど聞いていない。

 それにいくら憑りついている外道みたいな奴とは言え、リヴィルからすると一応生みの親だともいえる、か。


 逆に俺が考え込むような仕草を取ると、ラティアは少し勘違いしたように慌てて付け足した。 


「も、勿論!! 私はリヴィルと仲良くしたいです!! 一緒にご主人様にお仕えして、お支えしたいと思っています!!」


「大丈夫、そこは別に疑ったりとかはないから」


「……とても仲良くなれると、思うんです。本当に短い時間ですが、彼女が細かく気遣ってくれていたことが、分かるんです。ですが――」



 ラティアは迷っているのだろう。

 本当に手を差し伸べていいのか。


 また、助けようとしたところで、実際にリヴィルが抱えている問題を解決できるのか。


 頭の中で色んなことが沸々と湧いてきて、ぐちゃぐちゃしている。

 そんな感じか。


 なら―― 




「――じゃあ、聞いてみようか」




 俺は気軽な感じで、そう答えた。



「それで本当に、マジに、助けてほしくない、関わってくんなってことなら……その意思をできるだけ尊重しよう」


「ご主人様……」


「逆に、ちょっとでも本音みたいなのがあって、それが漏れたら――全力で助ける、後はそれからだ。……どう?」



 しばらく、その意味を噛み締めるようにして、ラティアは口を動かしていた。 

 そして――



「――はい!! そうしましょう!! 助けましょう!! 全力で!!」    



 ラティアはそう言って力強く何度も頷いた。



 いや、それもう助けること決まっちゃってるじゃん。

 

まだ俺のことがキモくて助けてほしくない説存命中なんだけど。 


“アンタのこと殺しちゃうかも”がそのまま生みの親と同様にして。

嫌いな奴に手を掛けたいって本音吐露しちゃってる可能性もあるんだけど。



「絶対良い子なんです……一緒にご主人様にお仕えするんです……」



 だが、まあ。

 短時間ながらも俺よりは接した時間が長いラティアの方が、リヴィルについて分かることもある、か。



 そうして、やる気をメラメラ燃やすラティアを横目に、俺は準備を進めるのだった。



投稿の間隔だったり、感想の返信などがぐちゃぐちゃになってて申し訳ないです。

夜には、何とかどちらも対応できると思いますので、今しばらくお待ちください。





ところで、ご評価いただいた数がとうとう500人を超えました!!

ブックマークに至っては5000件超えですよ5000件!!


いや~本当にありがたいことです。

ご声援、ご愛読ありがとうございます!!


次話も何とか今日・日付が変わって間もなくくらいには上げられると思いますので、もうしばらくお待ちを!!


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