18.2人目!? とうとう2人目の影ですか!?
もしかしたら、ちょっとエッチに感じる部分があるかも……。
いや、でもこれはどうなんだろう……。
自分でもちょっとどう感じられるかは自信がないです。
ちなみに私は推敲の際、一切卑猥さとかは感じませんでした。
大丈夫と思うんだけどな……。
「“ダンジョン捕獲のアピールに使用”って、何、どういうこと?」
まあ述べられた音声の内容からして。
《ダンジョンマスター》のジョブがあったから、この項目が出てきたってことは分かる。
だがダンジョンを捕獲ってところは意味わからん。
「なあ、ラティア――」
俺は今の内容がわかるかどうか、ラティアに尋ねた。
だが流石にラティアも首を傾げる。
「申し訳ありません……私も初耳です」
「うーんそうか」
なら仕方ない。
まあ言葉の意味内容からして危ないものじゃないだろう。
「なら試してみるか――“ダンジョン捕獲のアピールに使用”を選択っと」
すると……お?
『――ふーん、私を寝取ろうってわけ? そんなに上手くいくと思ってんの?』
「……何か生意気な声が聞こえてきたんだが」
どこからともなく。
そしていつもの機械的な音声とは確実に異なる。
感情のある若い少女のような声。
「え? ――私は何も聞こえませんが……おっしゃった《ダンジョンマスター》のジョブの効果でしょうか」
ラティアは俺の言葉に一瞬戸惑いを見せた。
だが、俺が別に嘘をついているわけではないと分かって、推測したことを述べる。
『――はんっ、いいわ、やってみなさいよ? 絶対感じたりなんかしないんだから!!』
聞こえる声は何故か無茶苦茶に強気で。
「……えーっと、とりあえず、ダンジョンの人格的なものの声ってことでいいのかな?」
誰に聞けばいいのか分からなかったので。
とりあえずラティアに聞いた。
「えーっと……それでいいんじゃないでしょうか」
ラティアがこんなに困っている様子を見るのも珍しい。
スマン、俺もどう対応していいか分からん。
『私は……――えっ!?』
初めて。
その戸惑うような声が耳に響く。
『な、何!? どういうこと!? “ダンジョン攻略7番目”:10000Gradeですって!?――ぁんっ!!』
……今度は多分、ダンジョンなりの色っぽい悲鳴。
『“攻略時間 3時間”:8000Grade!? そ、そんなの嘘よ!! そんなに早く――いやぁん!!』
「…………」
「ご主人様?」
無言の俺を、ラティアは心配そうに見つめてくる。
「大丈夫、うん。大丈夫だ」
無の表情を貫く俺。
その間にも、俺の耳にだけ、ダンジョンの嬌声が届き続けた。
『“魔法一掃5回”:1000Grade!?“パーティーメンバーノーダメージ”:800Grade!? あっ、ダメ!! そこは、弱い所――』
『“ボーナス攻略報酬ゲット”:10000Grade!? もう、止めて!! これ以上は、私――』
『“ダンジョンノーミス攻略5回”:10000Grade!? やだ!! 嫌なのに!! 感じたくないのに!! いやぁぁぁぁぁぁ――』
〈被所有ダンジョンへのアピール率……100%。ダンジョンの捕獲に成功しました〉
一際大きな叫び声で耳が痛くなった後。
あの機械音が、続いて鳴った。
『はぁ……はぁ……ゴメンなさい、気持ちいい所一杯突かれちゃったよ……』
何かビクンッビクンッ言ってるけども、もう気にしない。
こんなアホみたいなこと、ラティアが聞こえてなくて本当に良かった。
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
『フ、フンッ!! 仕方ないから、アンタのダンジョンになってあげる。感謝しなさいよね!』
「はいはい……典型的なツンデレ乙」
もうまともに対応するのも疲れる。
俺は一先ずどうでも良さそうなところは省き、ラティアに経緯を伝えた。
「なるほど……今までのダンジョン攻略で得られるGradeは。一つ一つがそのダンジョンへのアピール要素なのですね」
「多分な……それで――」
どこへ向けばいいか分からず。
仕方なしに台座に向けて、俺は話すことに。
「お前は、というかダンジョンは、何ができるんだ?」
俺の言葉を聞き。
呆れたような溜息を吐く声がした。
『はぁぁぁ……あんた、そんなことも知らないの? 全く、今度の奴は随分手が焼けるわね』
「…………」
「ご、ご主人様!! どうして急にコメカミがひくついて――お、お怒りをお沈めください!!」
ゴメンよラティア。
こんな時、どんな顔をすればいいか分からないの、俺。
――笑えばいいと思うよ。
スッとそのフレーズが、頭に浮かぶ。
「――は、はは」
「ああ……ご主人様が物凄くお怒りに!? 笑いながら物凄く怒られている!?」
ハハッ。
何を言ってるんだい、ラティア?
俺が怒っているわけ無いだろう。
何にも関心を示さないボッチを怒らせたら。
そりゃ大したもんッスよ。
『――ダンジョンは、それぞれあんた達と同じで、色んな特性があるわ』
「……ふぅぅぅ。――それで?」
何とか深呼吸して、怒りを鎮め。
そして先を促した。
『DPは言うなればダンジョンの生命そのもの。あんたが持つDPを幾らか渡してくれれば、特性に応じて色んなものと交換できる』
「……例えば、お前は何と交換できるんだ?」
『そうね……今はこれくらいかしら?』
――ピリンッ
「あっ――」
先に声を上げたのは、ラティアだった。
目の前にある台座の上に、半透明の薄い紙が出現したのだ。
それはラティアの目にも見える形で、幾つかの文章が書かれていた。
“①【回復魔法Lv.1】:1000DP”
“②【解毒Lv.1】:500DP”
“③【解呪Lv.1】:250DP”
“④ノーマルジョブ≪ヒーラー≫:5000DP”
「……見事に回復系統ですね」
「ああ……お前、回復関連の特性なのか、意外だな」
ラティアの純粋な言葉に、俺も同意する。
すると――
『バッ、バカ‼ 勘違いしないでよね!? べ、別にあんたが心配だから勧めてるわけじゃないんだからね!? 怪我してほしくないとか、全然そんなこと思ってないんだからね!?』
「…………」
「……ご、ご主人様?」
そんな恐る恐る、様子を窺うようにしなくてもいいんだよ、ラティア?
本当に今は怒ってないから。
ただ俺も、流石にダンジョン相手にどう反応すればいいか、全く分からないだけだから。
「――じゃあ、とりあえず①~③を一式、交換してもらおうかな」
意図的に気持ちを切り替えて。
俺はDPが少なくて済むそれらを選択した。
どういうものかを試す意味もあったし。
『ん。了解――』
――台座が、徐々に、白い光を帯びる。
俺のDD――ダンジョンディスプレイが、また勝手に出現した。
110101DPから、3つ分のDPが引かれ、108351DPになる。
――光は、時間をかけて台座の中央に集まる。
「わぁぁ……綺麗」
その光の神秘的な輝きに、ラティアは目を奪われていた。
――そして、光の塊が、俺の中に入って来た。
「――うん、確かに」
その後、俺の中で。
どうすれば発動できるのか。
詠唱はどのように行うのか。
そうしたスキル・能力の使い方が、勝手に理解されていた。
『――うん、これでいいはずだよ? 後で確認してみて』
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
「はぁぁぁぁ……疲れた」
自宅へと戻ってきた俺は、即座にソファに体重を預けた。
あの後、帰る前に。
更に必要なDPが上昇するということもないので、追加して交換してもらった。
何に使うかは分からないが、【解呪Lv.1】を10回交換。
つまり2500DP使うことにはなったが【解呪Lv.10】になってるはずだ。
何でもいい、何か一つをMaxまで上げておくのも何らかの参考になると思ったから。
「しかし、凄いですね。ダンジョンとは」
ラティアも俺に倣ってソファに腰を下ろして、息をつく。
先程ラティアが言っていたが。
本来なら。
Lv.1からLv.2になるには、より高い経験値が必要になるはずなのだ。
だが、そこがダンジョンの凄い所。
そのダンジョン毎の特性、個性といった方がいいか?
兎に角、あのダンジョンは回復系統に優れていて。
回復系統のスキルを交換する場合、必要なDPが変わらないのだ。
そしてLv.1にLv.1を足していって、単純にLv.2に。
Lv.2にLv.1を足すとLv.3になってくれることがまた凄い所で。
「ああ……今後は、ダンジョン攻略するにしても、考えないとな」
DPは必要だ。
でもDPへの変換を選択してしまうと。
二度とそのダンジョンの特性に合わせた能力・スキルを交換する機会は訪れない。
そうかといって。
でもその交換に必要なのはDPで。
だからDPへの変換を怠ることもできないわけで。
むむぅ……悩みどころだ。
「――ご主人様、夕ご飯、作ってしまいますね?」
すくっと立ち上がったラティアが、献立は何がいいかと聞いてきた。
来た当初こそ料理など全くできなかったが。
プロみたいに上手くなったというわけではないが、今では多分俺よりはおいしい料理を作れる。
「今日はゆっくりしててもいいんだぞ?」
偶には出前でも――そう言っても、ラティアは作りたい、と。
「――少しでも多く作る機会を頂いて、一日でも早く、ご主人様に美味しいご飯を食べていただきたいですから」
もう……十分美味しくいただいてるんだがな。
まあその向上心に水を差すのも悪い。
冷蔵庫の材料も痛むのが早いしな。
「じゃあ何かさっぱりしたものを。少し疲れてるから、簡単に食べられる物がいいかな」
「はい、では、直ぐに準備します――」
ラティアは嬉しそうに台所へと向かう。
間もなく、包丁で野菜を切る音が聞こえてきた。
「本当に、俺には過ぎた子だよ……」
だからこそ、早いとこラティアの話相手を一人でも、作ってあげないと。
でないと夏休みがもうすぐ終わってしまう。
幸いまだ105851DPあるし。
やはりまた奴隷の少女を一人――
――ビビビッ
「お? これは――織部か!」
何もない空間から、音がした。
すぐさま、俺はDDを出現させる。
その画面には、やはり織部からのメッセージの受信を告げる表示が出ていた。
その分105849DPに。
まあ2ポイントならほぼ誤差だが。
『次の街に着きました。後で連絡してもいいですか? それか都合のいい時に通信してください』
「あれ? もう?」
確か2日かかるって言ってたのに。
まああっちの時間とか距離とか――そういう尺度って結構いい加減らしいからな。
そしてメッセージはそれだけで終わりではなく。
続きの文章があった。
『これで、異世界を攻略した範囲が広がりました。新海君の購入できるリストも増えているはずです。ご確認ください』
「おお!!」
俺は柄にもなくテンションの上がった声を出してしまう。
「――どうかされましたか?」
そんなラティアの声が聞こえた。
「な、何でもない。大丈夫だ」
ちょっと焦りながらそう答える。
ラティアは特に訝しむ様子もなく、調理に戻った。
「ふぅ……」
俺は即座に『Isekai』を開く。
すると――
「お、おおお……」
今度は声を抑えながらも。
湧き上がってくる興奮。
織部の言う通り、更新されていた。
見たことないアイテムや、装備品などが。
軽く前までの4倍以上はあった。
そして、肝心の――
「な、な、なななな……」
壊れたロボットみたいな声が出続けてしまう。
だって、だって――
『奴隷少女』の項目には6人との数字が。
そしてそれを進めると、嫌でも目立つ、あの三文字が――
『エルフ:7万DP 詳細:魔法使用可能。スキル所持。容姿も優れている。未だ若く、能力も高い。神官のジョブを保有。解毒に対する造詣が特に深い。※奴隷経緯:赴任した神殿の借金返済のため』
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おおお……!!
嬉しいです!!
まだまだ頑張ります!!
引き続きご声援ご愛読、宜しくお願い致します!!