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169.もう一度、攻略したダンジョンに戻ろう!

意外に早く予定を片付けることが出来ました。


ではどうぞ!


「――ふ~ん……お前がカズサの妹か?」


「……そう、“(あずさ)”。“要川(ようかわ)(あずさ)”」


「そか。あたしはレイネだ。その、よろしくな?」



 レイネと梓が手を握り合う。

 二人は互いに自己紹介を済ませ、軽く雑談に入った。


 

 レイネは初対面ながらも、5分もすると、もう梓と打ち解けつつあった。


 カズサさんから頼まれたということもあるだろうが……。

 多分梓の“妹”という要素が、レイネに無意識的にそうさせるのだろう。


 桜田の妹さんの時もそうだったが、レイネはかなり妹想いのところがあるからな。



「……二人とも、仲良くなるのは良いが、これからダンジョン行くってこと、忘れないでくれよ?」



 俺は腕時計に視線を送りながらも、一応念を押しておく。

 時刻は既に“19:33”。

 

 真冬の季節を過ぎたとはいえ、もう周囲が暗くなっている時間だった。



「うん……。予定を合わせてもらったのは私。無駄なことはしない」



 短く応答し、梓はレイネとの話を再開させる。


 今日行くのは、既に攻略済みのダンジョン。

 以前に白瀬たちを連れて行った、あの親子ダンジョンだった。



“風の精霊”の件や、攻略済みダンジョンの特性かDPか選ばないといけないということもある。


 なので、二人の顔合わせも含め、今日にやってしまおうということだった。



「…………」



 公園のベンチに腰かけ、少し待つことにする。

 忙しい身ながら時間を作って来てくれたんだ。

 

 レイネと積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれているようにも見える。


 そんな梓を尊重しての気遣いだった。




「……レイネ、それ本当? ハルトの下着姿、見たことあるの?」


「い、いや! だから違うって、そうじゃなくて! ただ隊長さんの風呂上りに脱衣所で、その、ばったり鉢合わせたってだけで」


「? だから、下着姿を見たんでしょ? それと何が違うの?」


「だから! そうじゃねえんだって! あたしだって、別に見たくて見たわけじゃねえんだからな! ただ、その目に入っちゃっただけで……」




 ……君らは何の話をしてんの?

 もうちょっと他になかったの、打ち解けるための話題……。


 

 こらっ、梓も、執拗に俺のパンツの柄を知ろうとしない。

 お前さっき“無駄なことはしない”とかキリっとした表情で言ってたじゃん。


 ……レイネも渋った末に、教えんなよ。


 ってか、ただ目に入っただけなのによく覚えてんね、俺の下着の柄なんて……。




 君ら、本当どんな会話してんだよ。



 

□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆




「――ふぅぅ……」


「……ここ?」


「ああ。隊長さんとあたし達が攻略したダンジョンだな」



 DD――ダンジョンディスプレイのテレポート機能を使って転移した。


 攻略済みのダンジョンに飛べるという転移機能そのものよりも。

 梓はダンジョン自体に興味を持っているような様子だった。


 自分の知るダンジョンとの差異が無いか、グルっと一回りし周囲を観察している。



「……じゃあ、頼めるか?」



 俺はそれを見てから、宙に浮くその歪な存在に話しかける。 



『――パコ~! パコが“風の精霊”を連れて来たらいいんだパコね!』



 レイネにベッタリの愛の精霊は、弾むような声で答えた。



「ああ、そうそう……」


『分かったパコ! 一っパコりして来るパコ!!』



“一っ走り”じゃないのかよ。

 それじゃただ卑猥なことして来るみたいにしか聞こえないんだけど……。



「お願いな、パコピー!」


 

 だが理不尽にも、レイネには普通にちゃんとした言語として届いているらしい。

 ……何なの、この差は。


 

 何とも言えない不条理さを感じながらも、愛の精霊が飛び立っていくのを見送る。 



「……精霊? 他の子を探しに行ったの?」



 そこに、入れ替わるように梓が戻ってくる。

 愛の精霊が飛んで行った方を見て、そう口にした。



「ああ。梓は……見えているんだよな?」


「うん。でも、はっきりとした姿は分からない。ただ存在を感じられるだけ。私には把握できないほどの上位の精霊なんだと思う」


「そうか……」



 そんな梓の返答を聴き、心の内で溜め息。

 若干肩も落としたかもしれない。


 もし梓にもハッキリとその姿が見えていたら、同士が出来たかもしれないのに。

“愛の精霊”という言葉の印象と、醜悪な見た目との乖離(かいり)を知る者は、やはり俺一人なのだろうか……。 




 



 愛の精霊が戻ってくるまでの間、また軽く雑談で時間を潰すことになった。



「――そう言えば……ハルト、レイネ。今度の“シーク・ラヴ”の握手会、行く?」


 

 そんな中珍しく、梓が私的な事柄に踏み込んで尋ねてくる。

 内心で驚きながらも、俺達に気を許してくれている証だと嬉しく思い、レイネと共に頷き返す。




「ああ……そっちは?」


「私も行く。アスカに誘われた。“来て”って」

 

 

 そう言って、梓は自分の荷物から一枚の紙を取り出す。

 

 

 薄い黄緑色をした長方形の短冊のような物。

 そこには“シーク・ラヴ セカンドシングル付属 第一回握手券”と印字されていた。



「へぇぇ……“アスカ”って、白瀬だよな? そうか……」



 白瀬と梓の親しい関係・繋がりを打ち明けてもらえることに、素直に驚く。


 以前白瀬には、最初に梓と接触する際に協力してもらった。

 その後、梓に俺の着替えを渡しに行った時にも出くわしたっけか。


 それらの経験から、二人に何らかの交友関係があっても、さして不思議ではないとは思っていたが……。


  

木田(きだ)は“逆井(さかい)梨愛(りあ)”に、龍爪寺(りゅうそうじ)志木(しき)花織(かおり)に会いに行くって言ってた」


「え゛っ」

     

 

 いや、そんな“Rays”の内部事情まで打ち明けてくれんでもええんやで……。


 木田は、そうか……逆井の所に行くのか。

 まあそれはある意味驚きはないな。


 前提として、梓も木田達も、変装はするんだろうが……まあ大丈夫か。


 梓に至っては普段から変装してるようなもんだしな。


 

「でもそうか、龍爪寺って、実は志木狙いなんだな……」


 

 まあ志木の奴、黒かおりんを伏せてたら完璧な美少女アイドルだもんな……。



「“俺様のパートナーに相応しい! 一つ、今度の握手会でサプライズでもしようかな、ふはは!”……って言ってた」

 

「…………」

 

 

 梓の龍爪寺の真似があまりに似てないことも絶句物だが。

 それを本当に言っていたとして、その龍爪寺本人に対してもドン引きです……。



 お前、ゴッドかおりんの逆鱗に触れてア〇ガミ化すんぞ……。



「レイネは? 誰のところ?」


「あたしか? あたしはチハヤだな。前会った時、しつこく来い来いって誘われてさ~」



 レイネがリヴィルと出かけた時のことだろう。

 多分その時に赤星もリヴィルを誘っているはずだ。



「確か……隊長さんも、そっちで行くんだよな?」



 レイネが思い出したように俺にそう確認する。


 

「ああ。俺も握手会にはちゃんと行くぞ?」



 だが、レイネが想定しているように、当初の方法ではないがな。



 つまり、俺は“番号0の会員カード”を使っての午前の部には、行かない。

 梓やレイネ達と同じく、俺は午後の一般の部に参加するつもりだ。



 フフフッ。

 

 

 確かに赤星たちを前にして“行く”とは明言したが、その方法をどうするかまでは言っていない。

 セカンドシングルを今から10枚ほど買えば、握手券は足りるだろう。

 


 それで、午前の部に来ると思ってるアイツらを一度がっかりさせ、その後の午後の部で驚かせるという寸法よ。



 フハハハハッ。

 策士としての自分の才能が恐ろしいぜ……。




『――パコ~! 連れてきたパコ~!』





 っと。

 心の内で、そんな高笑いを浮かべていると、精霊がもう一体を連れて戻って来たようだ。


 さて、じゃあ切り替えるとするか……。  

ふぅぅ……。


何か今日、なろう関係でやらないといけないことがあったと思うんだけど、思い出せないです……。


感想の返信はちゃんとしたし……。

更新も今したし……。


まあ、思い出せないってことは、そこまで大した用事じゃなかったんでしょうね。


偶にこういうの、ありますよね。

別に記憶力が衰えたとかじゃないと思うけど、物忘れをしてしまうこと。



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― 新着の感想 ―
[一言] きっとわすれてたのは ヘンタイ(ブレイブ)カンナの 真人間改造計画だよ だから忘れてていんだよ
[一言] > 「……レイネ、それ本当? ハルトの下着姿、見たことあるの?」 >「い、いや! だから違うって、そうじゃなくて! ただ隊長さんの風呂上りに脱衣所で、その、ばったり鉢合わせたってだけで」 >…
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