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15.即席の救出隊結成!! ――なお、殆ど重要な役割はラティアが担う模様。

今日明日が忙しく、感想等を頂いても、その対応が明後日以降になります。

明日、投稿をするとしても携帯で行うことになるかと。


ご了承ください。



『……何、新海、“かおりん”が気になんの?』


 何でいきなり声低くなんの。


『そりゃ……アタシと違って可愛いし、綺麗だし、清楚でお嬢様って感じで――』


 何を言ってんだか。

 流石に急を要することなので、申し訳ないが、用件を切り出す。



「――(すめらぎ)さんが、独りでダンジョンに入っていくところを、目撃されたらしい」


 俺がそう告げると、流石に電話口の向こうで、逆井が息を飲むのが分かった。


『……それ、ほんと? ってか新海、今どこいんの? もしかして――』


 コイツは普段こそギャルっぽいし、バカみたいなキャラで通っているが。

 集中すべきところ、真剣になるべきところはこうしてちゃんとできる奴だと思う。


「ああ――“月園(つきのその)女学院”付近にいる。それに――」


 隣には、いつでも出発できるとリュックを整理し、背負い終えたラティアがいた。



『ラティアちゃんもいる、と』


 逆井は直感鋭く、俺が告げるより先にラティアの存在を言い当てて見せた。


「ああ」


 肯定すると――


『…………』


 2,3秒、考えるための沈黙が挟まる。

 そして――



『――分かった。アタシはどうすればいい?』


 直ぐに協力を申し出てくれた。


「助かる」


『ううん、今度、ちゃんと埋め合わせ、してよね?』


「ああ」


 今回のことが無くてもそれはするつもりだったのにな。


『新海、無茶しちゃだめだよ?』


「……善処する」


『もう!! 心配する身にもなって欲しいし!!』


 だが、逆井はそれ以上強くは言ってこなかった。


『……新海が頑張ったり、体張ったりするときって、なんか“誰かのため”って時、多いもんね』 


「…………逆井に頼みたいのは――」


 俺はそれには答えず。

 逆井にやって欲しいことを告げた。


 


『――うん、いいよ。じゃ、気を付けてね?』


「……ああ」



□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



「――あなた達だったのね!? 逆井さんが言っていたのは」



 茂みに隠れたダンジョンの入口前。

 今にも一人で飛び込んでいきそうな少女は、現れた俺たちを見て大きく目を見開いた。


「ああ、よろしく――って、自己紹介はいいだろう」


 つい先ほど、会っていたから。


 少女――志木花織は、ダンジョン探索士の服装へと着替えていた。

 逆井が見せてくれたものとはデザインが異なるが、これも探索士の制服の一つだったはずだ。


『――探索士の制服って、モンスター対策のための素材がちょっとだけど練り込まれてるんだって』


 休憩中読んだ、愚痴や絵文字が大半の逆井のメールに、そんな内容があった。


 これから入るダンジョンで、少しでも生存率を、救助率を上げたいとの思いでか。

 俺たちを待つ間に着替えたのだろう。 


「ええ――今は少しの時間すら本当は惜しいの」


 志木は、先ほど猫を助けた際に会った時より、随分と余裕がないように見えた。

 その分言葉にも荒々しさというか、地みたいなものが出ている。



「分かってる――皇さんのことは?」


「全部聞いた。……それで大丈夫なの、あなたたち? 逆井さんが言うから、連れていくけれど――」


 志木は本当に俺たちに気を配る余裕がないくらいに、焦っている。

 それほどダンジョンに入っていったという皇さんが心配なのだろう。


 それでも大丈夫かと聞いてくれる辺り、無意識的な、本質的な部分でこの子は甘いというか優しいというか。


「――俺たちのことは一切配慮しなくていい。皇さんを救出することだけ、考えてくれ」

 

 俺が大丈夫か、という意味でラティアに視線を送る。

 ラティアもそれに対して、力強く頷いた。


「はい、私も、ご主人様とおりますので」


「そう――じゃあ、行くわよ?」


 ラティアが今まで偽装のために殆ど使わなかった“ご主人様”という単語を用いても。

 志木は一切反応しない。


 ……それだけ余裕がないのだろう。



 

□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆



 Fランクダンジョン。

 今までのGランクダンジョンと何が違うか。

 

 ラティアが言うには、モンスターの強さ自体はそう変わらない。

 では何が異なるかというと、“複数階層”の可能性がありうる、という。

 

 つまり、今まで攻略してきたダンジョンは入ったフロアーそれだけで終わっていた。

 だが、今正に進んでいるダンジョンは、地上か地下かはともかく、2階層以上の可能性があり得る。



 なので、あまりに時間を置き過ぎると、どんどん距離が開くこともありうるわけだ。

 もっとも、複数階層の“可能性がある”だけで、複数階層“である”というわけではないのだが。






 ――キャァァァッ




「悲鳴!? これは――“律氷(りつひ)”のものじゃない!? 別の誰かがいる!?」



 俺を先頭に、ダンジョンの入口――グニャグニャと伸び縮みする穴に飛び込んで5分もしないうちに。


 女の子の甲高い叫び声が、耳に飛び込んできた。


 それに志木が一番に反応する。


「別の!? ってことは――」


「律氷は、もしかしたらその人を追いかけたのかも!!」


 俺たちは誰からともなく走り出す。

 悲鳴はそう遠くないところから聞こえた。



 

 

 ――そして、人ならざる者の声も。


 


 走り始めて1分もせず。



 少し開けた場所に出た。

 歪な四角い広間のようなその場所で。

 

 目の前に、飛び込んで光景――





 二人の少女が、いた。




「――い、嫌!! 嫌だ!! 離してぇぇぇ!!」


「ギィィッ!!」


「ギャィィ!!」



 ――そのうち一人は、ファンタジーの定番、ゴブリン2匹に今正に組み敷かれたところで。

 


「あ、いやっ!! なんで、上手く、いかない――」 



「ギシィシィ!」



 ――もう一人、皇さんは、ゴブリンと1対1で対峙していた。


 そして見るからに、皇さんの旗色が悪い。    


 丁度守っていた少女をゴブリン2匹に引き剥がされ、どうすればいいか分からず。

 そうして頭の整理もつかないままに、持っていたカバンで防戦一方を強いられている。


 ――そんな感じに見えた。



「えっ、あ――」



 隣にいた志木の、そんな声が漏れた。


 飛び込んできた光景・事態があまりに衝撃だったのか。

 それとも、どう動くのがいいか、どちらの方へ先に向かうのがベストなのか、一瞬だけ思考の空白が生まれた。 


 そんな、呻き声のようなものだった。





「――ラティアッ!!」



 俺はそれを気にせず、叫ぶ。


 いつも通り頼む――そんな声。



「はい!! ≪闇の門は、堅牢なりて、全ての者を、等しく拒む――≫」



 ラティアも力強くそれに応えてくれ、即座に詠唱へと入った。

 魔法がバレることは、ここでは無視していい。

 何よりもまずは、脅威を取り去ること。




「――うぉぉらぁぁぁぁぁあ!! 他所へ行け、ここはR18お断りだぁぁぁ!!」 



 このダンジョン内に響き渡るくらいに大きな声で叫びながら、走り出す。

 肺にある空気を、全て使い潰すつもりで、全力で。


 ラティアや志木達とは離れるようにして駆ける。




「――ギギィィ!?」



 真っ先に、皇さんを攻め立てていたゴブリンが、俺の方を向く。


 一瞬にして関心が移った。

 それはあえて出した大声だけが原因ではないだろう。



「おらっ、お前ら繁殖力が売りなんだろう!? お前らなんか俺の足元にも及ばねえよ!! 今すぐ子孫残せねぇようにしてやる!!」


 

 挑発の内容はもう何でもよかった。

 兎に角ヘイトを溜める、溜める、溜める!!


 それのみに集中する。



 2度3度それを繰り返すと――



「――ギギッ、ギギ!!」  


「――ギィ!!」



 おそらく獲物であろう女生徒を、押さえつけることができているはずなのに。

 残りの2体も、サッと立ち上がり、俺を見た。

 

 明らかにその醜い顔を、怒り一色で満たして。


 ――よし!!



「志木っ!!」



 俺の声に、既に動き始めていた志木は頷いて返し。

 そして――



「――大丈夫!? 助けに来たわ!!」 


「あっ、御姉様……ぅぅ」



 解放された少女は、志木が来たことを知り、安心したのか、気を失う。

 俺はそれを横目に、ラティアの詠唱具合を確認。


「≪…………――≫」


 もう少しか。


「――あ、あ、ああ……っ!!」


 皇さんも、自分と戦っていたゴブリンの関心全てが俺に向いたことを理解し。

 一瞬気が抜けてペタンと、地に崩れ落ちて。

 

 だがまだ全てが終わったわけではないと思いなおし立ち上がる。

 そしてラティアの護衛のようにカバンを盾にしていた。




「へへっ、来いよ。相手してやるよ」



 あえてヘラヘラと軽薄そうな雰囲気で、誘い込む。

 ゴブリン達は、3匹が揃って俺の方へと近づいてきた。


 ハハッ、モテモテだぜ。

 


 ……どうせモテるなら可愛い女の子にモテたかった。



「うらぁぁぁ!! ヤケクソだ、らぁッ!!!!」


「ギィイ!!」


 棍棒片手に躍り出たゴブリンと、対峙する。

 左腕をガードするように立てて、右の拳で殴りつける。


 俺の拳の方が先に、相手に辿り着く。


「ギブィ――」


 顔面へとめり込み、後方へと吹き飛ばす。

 棍棒は振り下ろす前に、その手を離れた。

 

 その攻防の間に、他2体が迫っていた。


「チッ――」


 流石に避けられない。


 刃物ではないので、攻撃後の両腕を直ぐに引き寄せ、盾とする。

 そして、できる限りで、足を広げ、踏ん張る。


「ガッ――」


 1度に二撃を入れられ、肘から上がミシッと言う。

 激痛が走った。


  

 だが、何とか足に力を入れ、踏みとどまった。

 後ろへと吹き飛ばされて追撃されるのを防ぐ。



 そして――



「痛ってぇぇな、この!!」



 燃えるような熱を帯び、痛みを訴える腕ではなく。

 右足で、横から渾身の蹴りを入れた。

 

 攻撃を決めて、無防備となっているゴブリンに。



「ギィ――」


 モロにスッカスカの脇下あたりに蹴りを受けたゴブリン。

 そのまま隣のゴブリンにまで吹っ飛び、ぶつかる。


「グゴッ――」


 衝突した2匹は、先ほど殴ってぶっ飛ばしたゴブリンのように、転がっていった。


 だが、仕留めたわけではない。

 3匹とも、ダメージを与えたはずだが、何とか立ち上がろうとする。




 そこへ――







「――【ブラック・ゲート】!!」」


 


 ラティアの魔法が、完成した。


 

 黒々とした闇で塗り固められた二つの閉じられた門。


 ゴブリン達の目の前に現れるが、しかし、動かない。


 一瞬警戒したゴブリン達も、それを解こうとした。




「ギギッ――」



 ――そのゴブリン達が、門へと、引きずり込まれていく。


 闇が生む引力が、一切の抵抗を許さない。


 巨大な竜巻に飲まれたように、ゴブリン達は一匹、また一匹と地面を離れた。


 そして、門へと触れた瞬間、その体が跡形もなく崩れ去る。

 目に見えない粒子レベルに分解されたように。



 一度として開かなかった門は、役割を終えて、姿を消した。




度たび感想にてご指摘いただいた点について、今日明日が忙しく、今ここで回答等を一括して行います。

個人で感想を送っていただいた方には申し訳ありませんが、これで回答とさせてください。


頂いた趣旨は、私としては。

①ランキングが上がったことでテンションが上がり、特に長くなった2話分の前書きを、後書きにするか、もしくは活動報告に移すなどしてほしい、という風に受け取りました。

②ただ、ちょっと混乱してますのは、読み方によっては頂いた感想の中に、前書きがそもそも不要だという風にも読めるご指摘・ご意見もありまして。


→これらの点、私の回答:①は私としては譲歩可能な範囲です。コピー&ペーストして、少々修正すればいいだけですし。ただ渋っているのは、その時々の自分の思ったことを書いた表現した、それを大事にしたいと思っているので消極的なだけです。


→②これは申し訳ないですが、受け入れることはできません。だってそれだと前書きという項目を私は使えなくなります。それは流石に無茶です。


以上を一応ご指摘・ご質問に対する回答とさせていただきます。

ですので、早くとも明後日ですね、後書き等への移行は。


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― 新着の感想 ―
[一言] 前書きくらい好きに書きなよ。邪魔なら読まなければいいだけだ。 私としてはハイテンション振りに笑って読んでるけど、あそこまで長くなると本編を書く体力を食われないのかなとちょっと心配。
[一言] あれだ夏休み前の校長先生の長い話みたいなものだね。 早く話の続きを読みたい(夏休みに入りたい)のに、 校長先生の話が長い(前書きが長い)から イライラいちゃうんじゃないかと。 =====…
[良い点] テンションが上がり過ぎたんですねw 笑いましたw この調子で頑張って下さい。 ストーリーは充分面白いですよ。
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