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142.我が家へようこそ!

お待たせしました。

ではどうぞ。



「――新海君、お風呂、どうすればいい?」


 

 ヒョコっと客間から顔を出し、赤星が尋ねてくる。

 そこは家でまだ使われていない畳の部屋だった。

 

 今日はそこに泊まってもらうことになっている。

 


「え? ああ、そうか……ええっと――」  


 

 どうすべきかを一瞬では判断できず、考え込む。

 いつもなら俺が一番風呂を貰っているが、今日はそうもいくまい。

 

 以前ラティアとリヴィルが泊めてもらったお礼に、今日客として迎えたのだ。

 なのに、いつものように俺が赤星より先に入るのは色々とマズかろう。



「好きに入ってくれていいから。勿論、最初に入ってくれても大丈夫だ」



 それじゃあ折角招待したリヴィルの顔も立たないと、遠回しに先に入ってくれと促す。

 が、その提案を受け、赤星はほんのりと顔を赤らめ。

 恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべた。



「あ、あはは……うん。分かった」


「? ……何か、マズかったか?」 

  

「いや、えーっと……その、それだと、私が入った後に、新海君が入ることになるんだ、よね?」


「あ……」



 そうか。

 今までも俺が一番風呂の機会が圧倒的に多かった。

 それで、ラティア達の後に入るとか、殆どなかったし。

 

 だから、それはちょっと気づかなかったな……。

  


「大丈夫だ。ちょっと散歩がてら銭湯にでも行ってくる。久々だし、楽しんでくるわ」


 客の赤星を置いて主人が出かけるというのもどうかとは思うが。

 多分天秤にかけたらこっちの方が俺的にも、赤星的にもマシだろう。



「あ、えと……うん。ごめんね、ありがとう」



 赤星も察してくれたのか、多くは語らず。

 着替えなどを抱えて2階にあるリヴィルの部屋へと向かっていった。



 ……ふぅぅ。

 



「じゃあ、俺も準備しますかね……」



 銭湯……どこにあったっけ。




□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆




「うぃぃぃ……流石に冷えたな」



 銭湯をスマホで検索し、入ってゆっくり体を温めた。


 風呂から上がった後はかなり体も火照っていたが……。

 帰路につき、20分も歩いていたらすっかり寒さを感じ始めた。


 

 家に戻ってきて、玄関から上がる。



「ただいま~……あれ?」



 リビングに入ると、3人しかいない。

 ラティアとリヴィル、そしてお客さんである赤星が振り返った。



「あ、お帰り、新海君」


 

 赤星は持参したパジャマに袖を通し、ソファーに腰を下ろしている。

 意外にもモコフワした衣服で、更にレッグウォーマーも装着。

 

 可愛らしい寝間着に、やっぱり赤星も女子なんだな、と改めて実感する。

 ……というか、赤星って現役のアイドルなんだよな……。


 そう思うと、何か、不思議な気分だ。



「おう……あれ、二人は? もう寝ちゃったのか?」


 

 この場にいないルオとレイネの行方を尋ねる。

 靴はあったから、家にはいるはず。

 

 そうして2階へと視線を向けると、ラティアも同じく顔を上げた。



「はい。ルオが疲れちゃったようで……昼間からはしゃいでましたから」


「レイネはルオを寝かせについてって……多分一緒に寝ちゃったんじゃない?」


 

 リヴィルの言葉に、有りそうなことだと納得する。

 


 一度リビングを離れ、着替えやシャンプーなどのセットを片付けに向かう。

 足音をできるだけ出さず、2階へ上がる。


 自分の部屋へと入る前、廊下で耳を澄ました。

 


 …………。




「寝てる……っぽいな」



 それを確認して、必要なものを自分の部屋から取り、また下へ。

 リビングに戻る。



「どうだった?」


「多分寝てるな、二人とも」



 リヴィルに返事をしながら、キッチンから椅子を一脚持ってくる。

 そしてテーブルの近くに置き、腰を下ろした。



「レイネちゃん、良い子だね。ちょっとぶっきら棒かな、と思ったら、凄いツンデレさんだった。うん、仲良くなれそう」

 

 

 赤星が目を細めながらレイネをそう褒める。

 俺がいない間に自己紹介とか、色々済ませておいたのだろう。



「そか、そう言ってくれると助かるよ」



 

 そうしてしばらく、他愛無い話をして時間を潰した。







「――おっ、始まるぞ」



 もう少しで日もまたぐ位の時間帯。

 学校はもう長期休みだし、更に言うと明日は土曜日。

 

 時間を気にせずの夜更かしタイムに突入だ。



 テレビのCMが終わり、番組が始まる。



 今回、赤星も一緒にいることだし、是非見ておこうということになった番組だった。



『“〇〇の、それはもうダンジョン一択しかないやろ~!”――さあ、今週も始まりました……』



 タイトルコールと共に、出演者が映し出される。

 昨年、大きな漫才大会で優勝し、今乗りに乗っているコンビ芸人が司会を務めていた。



『どうも!! 最近休みなさ過ぎて今日の収録サボろうか本気で迷ってました! 逆井梨愛でーっす、よろしく!』


『あの、どうも。学園の試験日程が近くて、私も今日の収録、何かいい休む口実がないか、半分冗談で考えてました。皇律氷です、よろしくお願いします』



 探索士の制服姿の逆井と皇さんが紹介される。

 彼女らの名前と共に“月替わりお手伝いMC”と付されていた。



「フフッ……リア様。本当にお忙しいんですね」 


「だね。リツヒも多忙だろうに。っていうか、案外ボケても面白いよね」  

  

  

 リヴィルの言う通り、司会のボケの芸人さんからすかさずツッコミが入る。



『じゃあ半分本気だったの!? 勘弁してよ、皇さんいないと、逆井さん一人じゃ回らないんだから!』


『あっ、それひっどーい! アタシだってマジで話を聴くの上手いし!』


「……確かに、梨愛は話を聴くのは上手いかもだけど、偶に何言ってるか分からない時あるからなぁぁ……」


「ああ、それは分かる」


 

 赤星の呟きに激しく同意する。

 逆井はもう少し言葉を上手に使ってほしい。



 そうして極々簡単なやり取りの後。

 この番組の制作意図が読み上げられる。



 毎回毎回で、これは予め決められた文章だった。



『この番組は、昨年に世界で話題・問題となったダンジョンに関する情報を発信するための番組です!』


『毎回楽しく笑いを交えながらも、分かりやすくダンジョンについての知識を広めていこう。それを趣旨としたダンジョン情報バラエティー番組となっております』



 当初は司会の芸人さんが交代で読んでいたが、回を重ねる毎に逆井達お手伝いへとその役目が移っていったそうだ。

 というか、一番の出資者、スポンサーが普通に“皇グループ”だからな……。



「結構これ視聴率あるんですよね? 深夜帯なのに人気だって記事で読みました」



 ラティアがネットで見かけたという情報を、赤星に尋ねてみた。

 赤星も頷き返し、何かを思い出すように宙を仰ぐ。



「そうだね。んーっと……聞いた話だと、他国もダンジョンに関する情報収集のために、わざわざ日本に人を送って、これを録画させて、データを国に送らせてるって」


 

 へぇぇ。

 


 まあ確かに。

 今ここにいる赤星だけでなく。

 

 ここにいない志木や桜田、それに逸見さんや白瀬達も出る。


 ダンジョンを初めて攻略したメンバーも混じっているシーク・ラヴがレギュラー出演だ。

 そりゃちょっとでも参考にできる情報はないかと期待するだろう。



『――さて、本日のメインテーマ……に、入る前に! 今日は素敵なスペシャルゲストの方々に来ていただいています!』



 多彩な語彙を操り、キレのあるツッコミで定評のある男性が番組を進める。

 事前のCMでもちょろっと出ていたし、そう引っ張られてもまあ意外性はない。




『では早速登場いただきましょう――男性探索士アイドルグループ“Rays”の方々です! どうぞ!!』




  

感想の返し……多分明日の午後に時間を取れると思うので、その際に行おうと思います。

もう少しだけお待ちください!

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― 新着の感想 ―
[一言] >可愛らしい寝間着に、やっぱり赤星も女子なんだな、と改めて実感する。 >……というか、赤星って現役のアイドルなんだよな……。 >そう思うと、何か、不思議な気分だ。  湯上りアイドル少女にドギ…
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