11.俺はまだ進化を2回、変身を3回、そして異世界転生を5回残している!!……といいなぁ。
確認しましたところ、なんと7位!! 7位!! 7位!! に、ランクが上がっていました!!
大事なことなので3回言いました!!
評価していただいた方が、何と41人、41人、41人に増えたんです。
大事なことなので3回言いました!!
385、385、385はブックマークしてくださった方の数字なんですよ。
大事なことなので3回言いました!!
そして“大事なことなので3回言いました!!”を3回言いました!!
はい、今回は趣を変えた意味が分からないことを言いました!!
それほどおかしくなるくらい嬉しい、ということです!!
評価を付けてくださった方、ブックマークしてくださった方、そしてご愛読くださった方、皆さん!!
本当にありがとうございます!!
後もう少しで、5本の指に入ります!! 十星書や主人公的作品も活躍できる機会をうずうずしながら見守っています!!
更なるご声援、ご評価、ブックマークをよろしくお願いします!!
……今日は少し短めにしてみました。
どうぞ、お話をお楽しみください。
「薬草の過剰摂取って……そんなにマズいのか?」
恐る恐る、織部に尋ねて見る。
『マズいなんてものじゃないですよ!! 最悪体を壊します、死にます!!』
死ぬとか直球!!
「え゛」
マジで!?
薬草なんて名前なのに!?
『それで、本当に体は大丈夫なんですか!? 新海君、無理とか、してませんか!?』
今すぐに体を触診してでも無事を確かめたい。
だがそれが出来なくてもどかしい――そんな焦燥感が見て取れた。
俺はちょっと真剣に、自分の体の様子をあちこち見てみる。
・
・
・
・
・
・
・
「――一応、何ともない、な」
『本当に?』
「ああ」
俺の言葉を聞いて、織部はホッと息を吐き、胸を撫でた。
『今すぐにどうこうということは、なさそうですね――薬草はですね、本質は“毒”でもあるんです』
織部は頷いた後、薬草がどういうものかを語った。
「……なるほど、つまり、ポーションが異世界版の栄養ドリンクみたいなもん、と思えばいいんだな」
薬草の成分や少ないながらも存在する魔力を抽出して、液体としたものが一般的に“ポーション”と呼ばれるそうだ。
そして抽出されなかった部分には、微量だが、毒もある。
俺は織部の話を自分なりに噛み砕いて表現してみる。
『まあ、簡単に言うと、ですよ?』
肯定してくれたので、多分、頭の中の整理はこれでいいはずだ。
「じゃあ俺は、つまり――」
講義してくれた織部自身も、俺がきちんと理解できているか確かめるように耳を傾ける。
「微量ながらも、毒と魔力を超短期間で、多量に、一気に、摂取したわけか」
『そうです。本当なら体を壊していてもおかしくありません』
異世界人は生まれたころから薬草を摂取する機会がある。
だから年単位で、少しずつ、少しずつ。
魔力やその毒に慣れていく、慣らしていくのだ。
それを、俺は1か月もしない超短期間で、バクバクと口にしていたらしい。
織部もそんな俺に呆れたような半目をしている。
『体が疲れた、傷ついたここぞという時に使うんです。何も無いのに時間単位に食べるものじゃないです、普通は』
「…………」
織部だって異世界歴2か月も行ってないくせに。
『何ですか? 新海君、何か言いたい目をしてますが』
「いいや、何も?」
俺は口を閉じておく。
今回ばかりは何も言わないが吉だ。
「毒も使い方によっては薬になる――それが本来の薬草の認識、なんだな」
俺は空気を変えるため、また認識したことを言葉にする。
織部が頷くので、俺は続ける。
「それで、体力回復のために使ったら――」
『後に残るのは微量でも毒の部分、ですから……体外への排出器官を作るために、間隔を空けるんです』
引き継ぐようにして織部が要約してくれた。
そしてさらに俺がそれを纏める。
「……つまり、俺の体内には、毒や魔力が一切排出されず、残っている、と」
そりゃぁ織部が心配するわ。
要は、簡単に分けると、薬草の成分は大まかに①体力回復②魔力③毒の3つへと分けられる。
③はとても微量だから普通は気にされることはない。
抽出しきれなかった②も、まあ残るのはほんの極わずか。
ただ、今回俺は、老廃物を体外へと排出する機能を、体に作るために必要な間隔を空けなかった。
なので、体内に②と③が溜まりに溜まっちゃってる、と。
『はい。魔力は多ければ多いほど良さそうなイメージですが……』
「これも、同じか」
魔力を今まで持たなかった体には、微量なら問題ないが。
小さい風船にちょっとずつ空気を送り込むようなもの。
許容量以上はパンクの元なのだ。
「――ふぅぅぅ。いかに自分の体内がドロドロなのかが分かったよ」
『――はい。ただ、なのに新海君が無事、ということが不思議なんです』
……え、織部は俺に死んでいて欲しいの?
まあ、確かに、織部の恥部を知っている俺なんかは消えた方が安心だろうが。
『ご、誤解です!! た、確かに新海君の記憶を改ざんできたらと思ったことは一度や二度じゃ済みませんが――』
済まないのかよ。
『ちゃんと心配したじゃないですか!! 生きていて欲しいと思ってます!! ――って、恥ずかしいこと言わせないでください!! またからかってますか!?』
一人で何だかわたわたしているが。
その気持ちは一応伝わった。
「……そうか」
『そうではなくてですね――』
コホンッ、と空咳を挟んで、織部は真剣な表情になり――
『――新海君は、【ヘイトパフューム】という形で、昇華・消化、排出をしているのかもしれません』
――そう口にした。
□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆
あれから3日。
夏休みも後半へ差し掛かった中。
俺はまた、ダンジョンに潜っていた。
「――だらぁぁぁぁ!!」
俺の単なる重さの乗った拳。
『ひのきの棒』よりもこちらの方がダメージが通ると思い。
途中から素手になった。
それが、泥団子を生物化したモンスターに命中する。
顔面がかなり可愛らしいものとなっているが、関係ない。
「――ドリィッ!?」
一撃で砕け散る。
手に結構汚い泥が付着した。
鳴き声も若干可愛らしいが、気にしない。
「つぎぃぃ!!」
「――ドロリィ!!」
「――ドリィ!!」
別の泥団子が複数で襲い掛かってくる。
戯れたら、もしかしたら癒されるかもしれないが、容赦しない。
「ふんっ、おらっ!!」
相手の攻撃自体は単調で、迎撃は容易い。
拳骨で叩き落とし、次はビンタ。
涙目で、ウルウルと見上げられたら心揺らぐかもしれんが。
それでも――
「ドロロロッ!?」
「ドドドッ!?」
一撃でひび割れ、土の残骸となって地に落ちる。
だが、油断はできない。
「――ええい、やっぱり俺の方に群がってきやがる!! 俺はお前らのために良い匂いだしてんじゃねえんだよ!!」
泥団子のモンスターは軽く100はいる。
それでも先ほどのように1体1体が極めて軟弱。
そのため、脅威度はそこまでない。
でも――
「≪闇よ、その腕を持って、眠りへと誘え――≫」
詠唱を唱えていて、明らかに隙だらけのラティア。
にも関わらず――
「ドロリッ!!」
「ドロロロ!!」
「ドロドロッ!!」
まるで花の蜜に誘われるミツバチの如く、モンスター達は俺だけを目指して集まってくる。
そしてそれが凡そ100いるのだから。
たとえ雑魚の集まりであったとしても堪ったものじゃない。
「クソッ、あっ、イタッ――」
もうここまで来たら、ハエ叩きゲームである。
俺にぶつかっても、泥団子は水風船の如く弾けて死んでくれる。
ただ俺には殆どダメージは無いが。
「このっ、クソッ、おっと――」
下手くそなダンスを踊るようにして飛んでくる泥玉をかわす。
その一つが、石壁にぶつかると――
――ドスッ
「うっわ――」
物凄く鈍い音を立てる。
メディシンボールでも当たったみたいな鈍い鈍い音。
俺が食らった分にはそこまで痛くはないのだが。
「この音を聞いたら、積極的に当たりたいとは思わねえよ――っと!!」
時には叩き、時には同士討ちさせ、そして時にはその体で受け止め。
そうして時間を稼いでいると――
「――【デーモン・ハンド】!!」
――詠唱が完成した。
ラティアの右腕に、闇が渦を巻くように集まっていく。
そしてそれは、巨大な悪魔の腕を形作る。
真っ黒で、元のラティアの細腕など想像できないような、おぞましい腕。
「ふんっ!!」
その可愛らしい声とは裏腹に。
右腕を払うようにして移動させると。
――その線上にいた泥団子のモンスターは次々にその腕に飲み込まれていった。
「えいっ!!」
今度はそれを、来た道を戻るようにして、ラティアは動かす。
――そしてそれも、掠るだけで、相手の存在を消滅させる必殺の一撃になった。
「――ふぅぅぅ。終わりました、ご主人様!!」
辺り一帯を掃除し終え。
右腕に集まっていた闇が徐々に霧散していき。
そして元のラティアの綺麗な細い腕が、姿を見せる。
「あ、ああ……お疲れ」
泥だらけになっていた俺は、駆けてきたラティアを労う。
「やっぱりラティアは凄いな……一発で全部終わる」
昨日、一昨日も別のダンジョンに潜ったのだが。
その時も同じように俺が時間を稼いで。
そしてラティアが仕留める、というやり方で片付いた。
「いいえ、そんなことありません!! 私は、ご主人様がいてくださるから、詠唱できるんです!!」
ラティアは何の疑問もなくそう言ってくれる。
確かに、俺がその役割を担えている、という面もあるだろうが。
「うーん、時間稼ぎ役をできるのは嬉しいが、モンスターにモテモテは勘弁してほしいな」
先日の織部の話を思い出す。
俺が体内に膨大に溜まってしまった魔力と毒素をどう処理しているか。
【ヘイトパフューム】――織部はそう評した。
ゲームとかでよく“ヘイト管理”とか、“ヘイトを集める”とか、聞くだろう。
薬草はその成分を抽出してポーションなどを作る。
それとはまた別に、聖水とは反対の効果――魔物を惹きつける液体を作ることもできるらしい。
ゲームとかで言えば、レベリングのためにモンスターと頻繁に出会いたい時に使う、あれみたいな感じ。
そんな感じで、俺の体内の毒素を、体外に出している、かもしれないと。
「ご主人様は、モンスター以外にも、おモテになると、思いますが……」
ラティアはそう言ってくれるが、まあ社交辞令的にフォローしてくれてるんだろう。
俺はそれには答えず、今の戦闘を振り返る。
「……魔物を惹きつけるフェロモン、汗として体外に少しずつ出しているかもしれない、か」
普通にモンスターたちは俺を目指してきた。
ラティアもいるのに。
更に言うと、詠唱で完全に無防備なのに、だ。
「はぁぁぁ……まあ、考えようだな」
パッシブスキルみたいな形で、モンスターのヘイト値を徐々に高める、高めてしまう。
それはもう仕方ない。
ただ見方を変えれば、ラティアの詠唱中の安全は確保できるということ。
……まあ俺の怪我がその分増えるけれどね。
「――ご主人様、それで、お怪我は?」
俺の考え事が一通り終わった辺りを見極めて。
ラティアがそう問うてくる。
「ああ、いつも通り、小さい怪我はあるが、大丈夫だ」
以前のアーマーアントの噛み傷もそうだし。
昨日一昨日のダンジョンもそうだったが。
かすり傷とか打撲はかなり多いが。
目立った大怪我みたいなことには、今まで一度もなってない。
直撃や不意打ちを何度も受けたのに、だ。
「……ご主人様は体内の魔力保有量が随分豊富、ですからね」
「ああ、それで防御力・回復力もついたんだろう」
うん、やはり考えようだ。
何かタンクっぽい役割にはなるが。
薬草のバク食いは、俺へのヘイト誘導。
そして純粋な身体能力、主に体力面を強化してくれたらしい。
「さて――」
俺はDD――ダンジョンディスプレイを宙空から取り出す。
そして『ダンジョンテレポーター』の項目へ。
開かれた画面・マップの中には赤い点や青い点が散在している。
その中で一際大きな赤い点に触れる。
『※テレポートできません!! :“校舎裏 ダンジョン”は未だ攻略していません。』
と出る。
俺が最初にこの機能をゲットして転移した廃神社跡などのダンジョンは、青く光っている点だ。
逆に、転移はできなくても、そこは赤く光ってくれるので、ダンジョンがここにあるのか、ということが分かる。
そしてこの大きさからして、ダンジョンの強さ・ランクが上がるというのが、ラティアの言だ。
「ラティア。DPを回収したら、行くか!!」
「はい!! Lv.10以上――Fランクダンジョン、ですね!!」
ラティアを促して、奥へと進む。
〈Congratulations!!――ダンジョンLv.3を攻略しました!!〉
俺たちの気持ちに応えるように。
――Gランクダンジョン攻略を知らせる、声が鳴った。
今日のお話はちょっと修行回というか、主人公の成長回みたいなお話でした。
まだまだ主人公は強く、(いい意味で)ズルく、酷くなっていきます!!
お楽しみに!!
多分次回か、その次くらいには、主人公やラティアの新たな仲間の影が……。