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9.ご主人様は告られたい。――うん、幻想だよね。分かってる!!

※以下、お話には関係ない作者の言葉が続きます。興味のある方だけご覧になってください。それ以外の方はどうぞ、サッとスクロールしてお話へとお入りください。



ハ、ハハ……日間ランキング10位、だってさ。

評価してくださった人は18人になってる。

ブックマークは、え? 175人?


……フ、フフフ。




――フハハハハハハ!!



我はとうとう十星書(※)に名を連ねたぞ!! 


※なんか幹部のそれっぽい別名。上位10人だけがそう呼ばれる的なもの。深い意味はない。


クククッ、これでなろうのローファンタジーは支配したも同然!!

この我が、全てを手中に収めるときが来たのだぁぁぁぁ!!

主人公的作品「お前の好きにはさせない!! このなろうのローファンタジーの世界は俺が守る!!」


歩谷健介「な!? き、貴様!? 何だその技は!?」


主人公的作品「皆の評価とブックマークが、お前を倒す力をくれる!! 必殺『日間ランキング50人抜き』!!」


歩谷健介「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」



残り9人の十星書A「歩谷健介がやられたようだぞ」

残り9人の十星書B「ふん、だが奴は十星書の中でも最弱」

残り9人の十星書C「十星書の面汚しよ」



こうして調子に乗った作者は退治されたのでした。



――こんな展開になるに決まってる!!


でも今までブックマークしてくださった方、評価をわざわざしてくださった方。

そしてご愛読くださった読者の皆さん!!

本当にありがとうございます!!


作者という悪は消え去りますが、本当の悪がこの世からなくなることはありません。

ですので、さらなる皆さんのご声援、ご評価、ブックマークをよろしくお願いします!!



……すいません、意味わかりませんね。

ではお話をどうぞ、お楽しみください。 


 あの後、念のため外に出てみたが、やはりあの廃れた神社の境内に出た。

 織部と出会った後、俺が一番初めに来た場所(ダンジョン)


 

 流石にこれからまた電車へ乗って街へ戻るというのも、しんどいだろうということで。



「――はぁぁぁ……疲れたな」


「お疲れ様です、ご主人様はお休みください」


 家に戻ってきて早々。


 ドサッと体重を全て預けるようにしてソファに体を投げた。

 ラティアはそんな俺を見て、率先してコップに水を入れて持ってきてくれる。


「ああ、ありがとう――悪いな、こんなことになって」


 折角服などを買いに行こうと街に出かけたのに。

 ただ散策して帰ってきただけになってしまった。



「いえ!! あんな大きな街を歩けたのも初めてで凄く楽しかったです!! それに――」



 ラティアは少し頬を赤く染める。

 そして自分の気持ちを確かめるように、一つ一つ、言葉を紡いでいく。



「初めて……この、芽生えた、気持ち……」 



 顔を上げる。

 ラティアは照れながら、はにかんで見せた。



「――ご主人様に、いつかお伝えできる日が、くれば、嬉しいです」



 俺は、その言葉に、何も言えなかった。

 ただ、そのあまりにも可愛らしい表情に見惚れながらも。















 ――え、それって俺があまりに使えないってこと!?












 いや、ラティアは優しい子だ!

 そこまで直接的な言葉で思っているわけじゃないかもしれない。 




“今回の戦い、私が殆ど片付けたのに、真っ先にソファにダイブして……このお方は色々とダメかもしれない――お可愛いこと……”



 ――みたいに思ってるんじゃないだろうか!?




“あれ、何だろうこの気持ち……こんな胸の奥から沸き立つようにして生まれる――そうか、これが他者への諦めという気持ちなんですね!”



 ――うわぁぁぁぁ!! 使えない主人でゴメンよ!!

 

 

“でも、直接言うのは流石に憚られます……「いつか、ご主人様にこの気持ちをお伝えできる日が来れば……嬉しいです!」――うん、これなら”



 ――ぎゃぁぁぁぁ!! 純真なラティアに、そんな建前と本音のドロドロさを教えることになってスマン!!




「――あの、ご主人様?」


 頭を抱えて自分の無能さを呪っていた俺を心配してか。

 俺の顔を覗き込むようにして眉を下げているラティア。


「お、おおそうだ!! テレビ見ようテレビ!!」


“まだこのお方は自分の愚を放置するという救いようのない愚を犯すのですね”

 俺の脳内にいる黒ラティアがそんな言葉を吐いて憐れんでくる。


 急いで俺はその空気を吹き飛ばすべくリモコンを手に取った。


 









『――緊急会見 世界で初!! 日本がダンジョンを攻略!!』









 右上にデカデカと現れたその文字。


 今丁度、官房長官がしゃべり終え、記者達との質疑応答に移るところだった。



「……さっきの、あのダンジョンのことでしょうか?」



 促した後、隣に座ったラティアがそう告げた。

 ……何か微妙に距離が近いような気がするが、まあいいや。

 


「多分な……」



 記者の一人が当てられて、所属、名前などを名乗った後。

 簡潔に、どのような経緯で攻略にいたったかのかと質問した。


『えー。今回○○××に出現したダンジョン付近に、ダンジョン探索士の候補生が、偶然4名居合わせ――』


 へー。

 ということは、逆井の他にもあと3人、あの場にいたということか。


 回答では、負傷者数なども含めた数字は具体的に話すものの。



『――避難誘導も適切に行い、ダンジョン内で、その場で臨機応変に行動し、今回の攻略に至ったと聞いております』



 どうやって攻略したのか、そのHowの部分はぼかして、あるいは曖昧に答えていた。

 ……まあそりゃそうだ。

 


「あの、宜しいんですか? ご主人様が攻略されたのに……」


 ラティアの窺うような表情に、俺は頷く。


「一番の功労者のラティアには申し訳ないが、目立ち過ぎると色々と面倒なことが多いから」


 そういうとラティアは「私のことは良いのですが……」と引いてくれる。

 と言っても、一番ツッコまれると厄介なのはラティアの存在。



 だって、国籍のない異国人、異世界人だ。

 そこに焦点が行くのはマズイ。



『――他国から情報開示を求められている、との報道も一部、出ているようですが』


 テレビでは、別の質問に移っていた。

 

 世界から、同盟国・その他別なく。

 ひっきりなしに情報提供をしてほしいという要請が来ている。



 中には『ダンジョン攻略は一国にとどまる問題ではなく、全世界共通の対処課題』とまで言って、情報提供を迫っている国もあるという。

 ……一番最初に攻略したと見得を張っちゃって、やらかした国だ。



『――未だ調査中のことも多く、今後、居合わせた候補生達などから事情を聞きつつ、解明を進め、適切に対処したいと思います』



 官房長官は流石、のらりくらりと肝心のことをぼかしながら答えていた。


「――とりあえず、お腹が減った。ご飯にでもするか」

 

 質疑応答の途中だったが、ごたごたのせいで昼食を逃していたのだ。

 俺はラティアを促し、遅い昼食兼早めの晩飯を食べることにした。 








□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆  







「――ふぃぃぃ……」



 簡単に作った卵と野菜の炒め物。

 それと白ごはん、インスタント味噌汁をかき込んで。

「うん、いいぞ~! 野菜のシャキシャキ感を残したまま、卵の甘さが、それを炒めることによる相乗効果でファーストタッチが全然違う――」みたいな意味不明、適当食レポごっこを終え。



 風呂にさっと入りさっと上がる。




 ゆっくりとまたソファに腰かけてくつろいでいた。

 今ラティアは風呂に入っており、一人だ。


 ……いや、別に変な意味はない。



 だってラティアが先だと色々問題あるだろ? 

 ラティア本人も俺に申し訳ないって渋るし。

 あとラティアが浸かった湯に俺が入るのも……なぁ?




 明日、また改めて買い物に行くことにした。

 なので今日は早く休もうかと考えていると――






 ――ブブッ




「織部か――いや、これは……」



 違った。

 普通にスマホの方が振動した。

 誰だろう……――って!!



「うっわ……逆井の奴か」



 件名から何から、ハートや矢印など色んな絵文字を使った、目がチカチカする超頭の悪そうなメールが届いた。


 一例として、『マジ疲れた~!!』の前後を挟むようにして、可愛い熊が何故か逆立ちしている絵文字が。 

 ……疲れたとの関連性が行方不明なんだが。



『偉いおじ様方の話ちょー長い!! 途中何言ってるか分かんなくなって、“ですね”で乗り越えた!!』


 この文章の中だけでも。


 人の体をした魚が共食いしてる絵文字や。

 畳が怒り心頭でソファを持ち上げてる絵文字などを多用していた。


 ……俺はお前の言ってることが分んねえよ。



 途中、逆井のメアドを俺のに登録しといて、という趣旨の文章がいきなり挟まり。


 そこからまた話が戻って。

 また今度は、短いメッセージを送れる有名なアプリを俺が入れてないことに不満を漏らし。

 

 そしてまた戻りと、飛び飛びになる。



「コイツ……伝えたいことがさっぱり分からん――ん?」



 添付ファイルがついていることに気づいた。

 2つある。


 1つ目を開くと――



「あ、この子、あの無鉄砲な……」 



 恐らく書いてある文章と対比すると、あの場にいた4人のダンジョン探索士候補生の皆で写真を撮った、ということらしい。

 逆井もそうだが、皆それぞれ写真写りがいい。


 そして、右から二番目に、あの寝たふりをしてアーマーアントに攻撃を仕掛けた女の子もいた。



『ムッチャ交渉上手いの!! かおりん!! 何か、ちょー大きな会社?国?のごれいじょうで、コーター? なんだって!!』



 あの腹黒そうな女の子は通称かおりんらしい。

 いや知らんがな。

 

 それと多分“クォーター”って言いたいのかな。

 ……なんで俺が母国語を翻訳しながら読んでんだよ。




「もう一つは……――ブフッ!?」



 

 吹いてしまった。

 


『アタシらで、何かアイドルグループ作るんだって!! かおりんが偉い人と話して決めてた!! ダンジョン探索士で組むんだって!!』


 最初、日本もとうとう頭がおかしくなったか……と思ったが。

 


 ――これは案外、彼女らのために決めたのかもしれない。



 今後世界の注目を嫌でも集めることになる。

 彼女らの安全を考えると、あえて目立つ地位につかせて安全を確保しようということ、だといいな……。 


 その仮衣装も急ピッチで作ることになったと。

 そして今は探索士の制服の完成版を一番に着せてもらったと書いてある。   


 その添付ファイルが、その制服を着た写真だったのだが――



『新海、ラティアちゃんとずっといてムラってるでしょ!! アタシをオカズにしていいよ~!』


 との文が添えてあった。



 逆井があのこっ恥ずかしい制服を着ている。

 だが写真の逆井は、上のノースリーブのアンダーやシャツだけ何故か装着していない。

 上半身の肌が露出した状態で、自撮りしているのだ。 



「何やってんだコイツ……」



 右手でスマホを持って、左のアームカバーを纏った腕で上手く胸部を隠している。

 それがかえって卑猥になっていて……。




 コイツは分かってやってるんだろうな……。






「――あの、ご主人様?」



「うぉっ!? ――お、おお、ラティア。上がったんだな?」


 風呂から上がって、髪がまだ半乾きのラティアが後ろに立っていた。


「あの、何をご覧に?」


「い、いや何でもない――」



 俺は慌ててそのメールを閉じる。



「き、今日は疲れたから早めに休もう――明日こそ、買い物行こうな!」


「そう、ですね……はい!」



 ちょっと返事に間があったが、ラティアは笑顔で頷いてくれた。



 ふぅぅぅ。

 危ない危ない。



 あれは流石にラティアには見せられないからな。




 その後は疲れていたこともあって、2時間くらいゆっくりして、早めに眠ることにした。





□◆□◆ □◆□◆ □◆□◆





「――あの!! もっと過激なものか、サキュバスの衣装みたいなのはありますか!?」





 次の日。 

 改めて訪れた駅付近のビルの女性モノ衣装売り場で。

 

 パブリックスペースの巨大ディスプレイですらも昨日のダンジョン攻略の特番が流されている中。

 


 ……俺は今、織部の下着や衣服を買うこと以上に、顔から火が出る思いでいた。



「あ、あの……コスプレのこと、でしょうか……サキュバスとはまた――」


 女性店員さんが、後ろに控えていた俺に視線を向ける。



「……彼女さん、大胆ですね!」


 彼女じゃないんだが。


 もう色々と間違っている。


 

「あの、ラティアちょっと……」


「はい? 何でしょう……」



 先の発言が問題だとは全く思っていないラティア。

 俺は店員さんに断りを入れて、空いているフードコートスペースへ連れていく。



「えっと、な? サキュバスの衣装が着たいっていう気持ちは今ので十分伝わった」


 

 だが他の気持ちは一切分からなかったが。

 なので変な地雷というか別のやる気スイッチを押してしまわないために、慎重に話す。



「でもな、サキュバスの衣装はちょっと特殊で……多分ここら辺じゃ売ってない」


「え!? そ、そんな……」


 ラティアはまるでこの世の終わりみたいな落ち込み方をする。

 ……そんなに着たいのか。



 何だか今朝から張り切っていたが、やっぱりその種族の正装をするっていうのは大事らしい。

 その人の根幹にかかわるものだしな。




「でも、通販とか、オーダーメイドならいけると思うから、そっちにしてくれ」


「“おーだーめいど”、ですか?」



 俺がスマホを貸して、基本的な使い方、検索をどうやってするか、オーダーメイドの意味などを伝えて。



「自分で探して見た方が、合うものも見つかるだろう」


「はい!! ありがとうございます、ご主人様!!」



 店の入り口まで二人で戻る。

 そして今回はそこでラティアを置いて、俺一人で店に入った。



 ……恥ずかしいが、仕方あるまい。

 それに、一応入口にはいるし。















「ふぅぅ……」



 何とか、織部の注文の品と、ラティア用のものを購入する。

 レジでは、先ほどの店員から話が通っていたのか、俺が「あの子用です」的な雰囲気を出すと、普通に購入できた。


 ただ財布が結構軽くなってしまったな。

 毎月親父やついていった母さんがまとまった金を入れてくれるが。

 今後、自分でも何か考えないとな……。




「――おおい、ラティア!!」



「あっ! ご主人様! 合うの、見つけました!!」


 俺の姿を認めると、ラティアはスマホから顔を上げ。

 パタパタと嬉しそうに駆け寄って来た。


「お、どんなだ?」


 俺が促すと、ラティアはその画面を俺に向ける。


「これと、これです!! この二つが、一番私の着てた服に近いです!!」


「どれどれ……――え゛ッ」



 ラティアが見せてくれた画像は、確かにサキュバスの絵だった。

 ただ、二つとも……。



「? ご主人様?」


「えっと……」


 俺は、首を傾げるラティアに、どう伝えればいいか、言葉に詰まった。






 


 ――両方とも、“服”と表現していいのか迷う程に、着ているものが過激なのだ。

 



 しかも、これ、よくよく見てみると。

 

 どっちも開かれてるの、18禁ゲーのキャラクター欄やん!

 それで、そのヒロインのサキュバスやん!











 俺はその場で、買った商品の袋を手に持ったまま、頭を抱えた。 

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[気になる点] 前書きが鬱陶しすぎて読む気が失せる [一言] 後書きと違って前書きは飛ばせば良いからってもんじゃ無いんですよねぇ 後書きは本文読み終わったってわかったあとに出てくるのでささっとスクロー…
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