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第10話 母親

 次の日、俺は少し早めに仕事を終え、会社を後にした。

 仕事自体は際限なくある代わりに、今日しなくてはならない仕事もまた一つもない。

 連休前や、明け頃はそれなりに忙しくもなるのだが、それでも他の部署に比べればどうと言うことはない。

 各部署から上がってくるデータを、ただ、ただ統計していく単純な作業。膨大な数字の積み重ねが、この部署の全てだった。その課程で導き出される各部署の問題点が発覚したとしても、それを指摘し、何かしらの対応策を導き出すのは俺達ではない。

 俺達は、求められた時に求められたデータを時間を掛けずに正確に提出するだけである。そこに才能や特殊技能の介在する余地はない。

 誰かが置いたレンガの上に、またレンガを積む。そうやって積み重ねてきたデータというレンガを整理するのに、特別な才能など必要ない。

 そんな部署に回されてくる人間などを会社が重要視する訳もなく、他部署から回されてくる社員は大抵3ヶ月も経たずに退社していくのが常であって『精算系統管理室』なんて言うご大層な名前が付いてはいるが、体の良い左遷先と言った感じであった。

 しかし、俺は別段この部署が嫌ではなかった。この出世とは無縁の部署に配属が決まった時、むしろほっとしたと言っても良い。以前居た営業でもそれほど成績が良かった訳ではないし、上司や同僚、得意先といった煩わしい人間関係に翻弄されるのも好きではなかった。俺は此処で定年までの20年あまりの年月を、このデータの蓄積という職務と共にひっそりと過ごしていくのを望んでいるのである。


 俺は昨日交わしたミッキーの母親との約束のため、彼女がいつも乗り込んできた駅で電車を降りた。俺がホームに降り立つと、俺の背後で電車のドアが閉まり、やがて電車は次の駅に向かうべく動き出した。


『暗くなったから、気を付けてな』

『うん、じゃあまたね、俊介』


 彼女の最後の言葉が脳裏をよぎった。あの日、電車から見送った彼女の姿を思い浮かべながら、俺は改札へと向かって歩いていくと、改札の向こうにマクドナルドの看板が見える。

 あの日、俺は彼女と此処で朝マックを食べたのだ。まるで夢だったか、と感じるほど昔のことのように思える。そんなことを思いながら、俺は改札を抜けロータリーに出た。

 ポケットから、昨日電話で話した時のメモを取り出し住所を確認する。ローターリー横の交番の前にある地図を見ながらメモの住所を探すと、駅から結構離れていることがわかった。どうやらバスかタクシーで移動した方が良さそうである。俺はタクシー乗り場に向かいタクシーに乗り込んだ。

「どちらまで?」

 後部座席に腰を下ろすと同時にドアが閉まり、車を発進させながら運転手がそう聞いてきた。白髪交じりの年輩の運転手で、雰囲気からベテランのようだった。俺はメモの住所を運転手に告げた。

「わかりますか?」

「大丈夫、わかりますよ。私は此処で女房の手よりも長いことハンドル握ってタクシー転がしてますから、今じゃもう無い店や家だって案内できますよ」

 運転手は冗談交じりにそう答えた。俺はふと、ハンドルの横にあるモニターに目が行った。最近珍しく無くなったナビゲーションシステムだろう。しかし、電源が入っていないらしく、モニターには何も映し出されてはいなかった。

 近頃はタクシーにも付いているのか……

 そう言えば営業時代に比べ、めっきりタクシーに乗る機会も減ってしまった俺にとって、最近のタクシー事情など判るわけがない。そんなことを思いながら見ていると、俺の視線に気付いた運転手が照れくさそうに言った。

「コレね、先月会社から支給された、最近流行のナビって奴です。私ぁ機械がてんでダメなもんで、使えないから切っとるんです」

 世の中全てがデジタル化されるのではないか? と思える今の時代にこのような運転手が駆るタクシーに乗り合わせる自分に、少し口元をほころばせた。いや、決していやな意味ではない。

 そんな俺の反応をどうとらえたのか、運転手はにこやかに話を続ける。

「初めは珍しいから付けてみたんです。ところがコイツは大通りやバス通りなど、混む道ばっかり案内するんですよ。この町を初めて走るドライバーなら良いんでしょうが、私みたいに長年走ってる連中には必要ないですよ。逆にイライラしていけない……」

「でも、距離や時間が延びて儲かるんじゃないですか?」

「いやいや、大して変わりませんよ。こう言っちゃ何ですが、さっさと降ろして次のお客さん拾った方が効率がいいときもあるんですよ。それになんか機械に使われているみたいでどうも気持ちが悪いんですよ」

 なるほど、そんなものかもしれない。

 俺も会社ではパソコンを使い仕事をしているが、やはりペン片手に電卓の方が安心するときがある。電卓のボタンをせわしなく叩き、2度の検算で出た数字に安心感を覚えるのにどこか似ている感じがする。

 この数秒の会話で、俺はこの運転手に好感を持った。

 車はロータリーに面した大通りを走り、2度ほど曲がって坂を登っていく。窓の外を眺めるといつの間にか駅前のガヤガヤとした雰囲気は消え、閑静な住宅街といった様相を呈した町並みが広がっていた。

 この町並みを見ながら、ミッキーは毎朝駅に向かっていたのだろうか……

 そんなことを考えつつ車に揺られていると、不意に運転手から声が掛かった。

「この辺りですかね……」

 どうやら先ほど指定した住所に着いたらしく、タクシーは左の歩道側に寄せてハザードを炊いて停まろうとしているところだった。

 俺はメーターを確認しつつ財布を取りだし金額を払いつつタクシーを降りた。たいした時間ではなかったが、俺は愛すべき運転手と別れもそこそこに、周囲を見回し電柱に記載されている番地とメモの住所を確認した。

 確かに住所を確認するとこの辺りのようだ。俺はとりあえず通り沿いに並んだ一軒家の表札と、電柱の番地を一つ一つ確認しながら坂を登っていった。

 坂を振り返ると先ほどタクシーを拾った駅前が下の方に見える、なかなかいい感じの眺めだった。この眺めをミッキーも毎朝眺めながら登校していたのかと、少々感慨深くなってしまった。どことなく、今の妻の家を初めて訪問したときの心境に似ている。あのときは緊張して周りの風景など見る余裕さえなかったのだけれど……

 タクシーを降りてちょうど3件目の家に『板垣』と書かれた表札が掲げられた家を発見した。その下の住居表示プレートとメモ書きの住所を確認したが間違いはない。

 俺はとうとうミッキーの家までやってきたのだった。

 表札が掲げられた化粧ブロックの下にあるインターホンのボタンを押す際、ふと『手土産』が何もないことに気が付いた。

 学生が友人宅を訪れる訳ではない。れっきとした社会人が手ぶらで訪問するなど、少し考えればおかしいと思うはずなのに、俺は今まで気が付かずにここまで着てしまったわけである。つくづく自分の迂闊さを呪った。

 しかし、今更どうすることも出来ない。ここまで着てしまった以上手ぶらだろうが呼び鈴を鳴らす他に選択肢は無い。俺は意を決し、インターホンのボタンを慎重に2度押した。

 少々高鳴る鼓動に反して、その音は澄んだ音を響かせながら家の住人に訪問者を告げる。程なくして『はい』というあの電話で聞いた声が応答した。

「恐れ入ります、鈴木と申します」

 俺は極力自分の高鳴った感情を隠すべく昔営業時代に培った『営業ボイス』でそう告げた。『少々お待ちください』という声とともにカチッと切断音がし、辺りに静寂が戻る。

 少しして2段ほどのタイル敷きのたたき上に備え付けられた玄関ドアがガチャガチャと音を鳴らしつつ開いた。

「ようこそおいでくださいました」

 俺の顔を見るなり、出てきたその女性は深々とお辞儀をした。俺もつられて頭を下げて応じる。

 少し線の細い、優しそうな、それでいて芯の強そうな印象を受けるのは、ミッキーに似たあのネコのような瞳のせいかもしれない。やはり彼女とは親子なのだと納得できる雰囲気を醸し出すその女性は、さもほっとした表情の笑顔で俺を迎えてくれたのだった。

「会社を出てすぐに直行したものですから、失礼と思いましたが手ぶら出来てしまいました。すいません」

 と社交辞令の謝罪の言葉を並べる俺に、彼女は優しく微笑みながら俺を案内する。

「いえいえ、どうぞお構いなく。本日は私が無理言ってお越し頂いたのですから……」

 そう言って玄関のドアを開き俺を家に招き入れた。

 やはり親子だからなのだろうか…… ミッキーとは雰囲気はまるで違うのに、どこか初めて遭った気がしないのは―――

 俺は玄関を上がり、ちょっとした廊下を行き過ぎてちょうど6畳間を2つ繋いだほどの和室に通された。彼女がお茶を用意するといって部屋を出ていったのを確認すると、俺はぐるりと周囲を見回した。

 一般的などこの家にでもあるだろう和室だったが、二間続きというのが少々意外な気がした。しかし当たり前だがこれといって変わったところは無い。少し線香の香りがするのはどこかに仏壇でもあるのだろうが、ここからは確認できなかった。

 そのうちに先ほど入ってきた戸襖が開き、彼女がお茶の入った湯飲みと茶菓子を乗せた盆を持ちながら入ってきた。

「あ、どうぞ、お構いなく」

 俺は恐縮しつつそう言って鼻の頭を擦っていた。

 俺の前にお茶と茶菓子を置きつつ、彼女は俺のそんな姿を眺めながら少し笑った。

 俺はその微笑に照れながら、また鼻の頭を擦る。

「失礼しました。娘から聞いていましたもので……少し懐かしく思ってしまって……」

 彼女はそう言いながら俺の向かいに腰を下ろした。

 娘から聞いていた……か。いったいどんな話をしていたのだろう、ミッキーは。しかし懐かしいとは……?

「鈴木さんのその鼻を擦る仕草…… 前の主人にそっくりなんですよ」

 その言葉を聞いて俺はどんな顔をしていたんだろう。

「前の…… ご主人ですか?」

 言葉を選ぶつもりだったのだが、口を付いて出てきたのは何とも陳腐な質問口調だった。

「ええ、未来の実の父親です。4年前に他界しまして…… 今の主人とは去年再婚したんです」

「そうだったんですか……」

 俺はこの告白は正直ショックだった。未来ちゃん、いや俺にとってミッキーは、俺に亡き父親を重ねていたのだと言うことだったのだ。

 いや、しかしそれは当たり前か…… そう考えた方が自然だと言うことは俺も判っている。5年前となると中学生だ。俺も娘がいるから何となく想像できる。一番多感な時季に父親を亡くした少女。行きずりで見かけた親父に亡き父親の面影を見るという感情はない話ではない。

 所詮そんなものさ……

「ちょっと失礼します」

 不意に彼女が席を立ち、俺の横を通り過ぎて続きの間に行き、何かを持って戻ってきた。

 そしてまた俺の前に座り、持ってきた物をテーブルの上に静かに置いた。

 それは1台の1眼レフカメラだった。

 よく見ると少し汚れており、所々に傷があるように見える。そしてカメラの命とも言えるレンズには大きなひびが入っていた。

「前の主人の形見です。彼、カメラマンだったんです」

「事故…… か何かですか?」

 我ながらぶしつけな質問だったと後悔した。形見、それも壊れたカメラなど、恐らく遺品に違いない。嫌な思い出をよみがえらせるだけではないか……

「事故というか…… 爆発に巻き込まれたと聞いています。かなり大きな爆発だったみたいで遺体は見付かりませんでした」

 彼女はカメラを手に取り、歪んだシャッターにそっと指を添え、こう続けた。

「フリーの戦場カメラマンだったんです」

「戦場カメラマン……」

「ええ、世界中の戦地に行ってはそこの様子なんかを写していたんです。たまに帰ってきては写真集を出したり個展なんかを開いたりして…… その業界では割と有名だったんですよ」

 そこまで話して、彼女はカメラを両手で抱えながら、愛おしそうなまなざしを投げかけていた。

「元々私は彼の作品のファンでした。殺伐とした戦争という状況の中で、あの人のどこか暖かみを感じられる風景や写っている人の笑顔がとても素敵でした。どうやったらこんな表情が撮れるんだろうって思って…… 私からモーレツにアプローチして一緒に住むようになって…… 半年後に未来を身籠もりました」

 目を細める彼女の瞼には、恐らく亡くなった前のご主人の姿が見えているのだろう。それは同時にまだ愛していることを確かめるための儀式のように思えた。

「テニスが好きで、学生時代は全国大会にも出場したそうです。ほとんど家には居なかったけれど未来は良く懐いていました。家に居るときは未来に良くテニスを教えてやってました」

 なるほど、ミッキーのテニスは父親の影響だったのか。大切な亡き父の思い出もあってあれほどテニスにこだわっていたわけだ。

「その影響もあってか、未来は中学に入ってからテニスを本格的に始めるようになりました」

「ミッキー…… あ、いや、未来さんから聞きました。全国大会で優勝するほどの腕前だったんですよね」

「ああ、そうでしたね。もうあの時は私もびっくりで、応援席で思わず涙が出てきてしまって……『何でお母さんが泣くの?』って未来に笑われちゃいました」

 そう言って彼女は恥ずかしそうに笑った。

「主人が亡くなって半年ぐらいでしたから、そのこともあって一気に感情がこみ上げて来ちゃったんですよね」

 そう言いながら彼女はカメラをまたテーブルの上に置いた。そしてテーブルの下からもう一つ品物を取り出し、カメラの横に添えるように置いた。

 それは、俺が学校に届けたあのペンダントだった。

「学校まで届けて頂いたそうで、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました」

 そう言いながら彼女は深々と頭を下げた。

「あっ、いえいえ、わ、私の方こそどうやって返したらいいか判らずに、学校を訪ねてしまって返ってご迷惑をお掛けしたのかと心配してまして……」

 不意を付かれて俺は慌ててそう返した。迷惑を掛けたというより、『不審がられるのではないかと心配した』と言った方が正しいが、さすがにそれは言えなかった。

 思えばミッキーとの妙な関係はこのペンダントから始まったのだ。何か特別な物を感じずにはいられなかった。

「これは元々私の物だったんです」

 不意に彼女がそう言った。

「鈴木さん、このペンダントの裏にある名前を見て、あの子の名前だと思ったんですよね」

 そう言いながら彼女はペンダントを裏返す。そこにはあの時に見たアルファベットの名前と、あの暗号のような番号が刻まれている。

「ええ、するとこのアンドウ・ミキコさんというのは……」

「私の名前です。そしてこのマスザキ・トオルというのは前の主人です。まだ結婚する前に、お互いの写真を入れて持っていようって…… それでこの上の数字は籍を入れたときにあの人が自分で掘ったんです。1985年5月1日、その日の日付を記念にって。あの人、自分のはちゃんと掘ったのに、私のだけ間違って反対に掘っちゃって……」


 I,S, S861―――1985,5,1


 なるほど、アレは日付だったのか…… 暗号でも何でもないじゃないか……

「あの子が妙に欲しがってて…… あの子父親が大好きでしたから。高校に進学した記念にあの子に譲ったんです。」


 写真の青年を『彼氏かい?』と聞いた時の反応

 ミッキーをアンドウミキコさんと呼んだときの彼女の表情

 『コレはね、秘密の暗号だよ』と言ったときの悪戯っぽい笑顔


 全部納得がいった。そう、全ては俺の勘違いだったのだ。

 勘違いから始まり、その間違いを伝えぬままつき合ってきたミッキー。それに気が付かずに変な期待を抱いたまま、こんな場所にいる今の俺。俺の心の中にぽっかりと穴があいた気分だった。

 なにをやっているんだ、俺は……

 何もかもがただ虚しく、情けなかった。さらに恥ずかしくさえある。

 まさに道化。

 いや、そもそもそんなことを感じることすら馬鹿馬鹿しい。考えても見ろ、相手は17歳の少女だ。俺はそんな年頃の彼女たちが避けたがる中年親父サラリーマンだ。そこに接点などあろうハズがない。ましてや嫌がられることはあっても好意を寄せるはずが無いではないか……

 そんなことを考えていると、俺は早々にこの場違いな状況から一刻も早く脱したい心境に駆られた。

「あの…… 鈴木さん、あの子に会って行ってくださいませんか?」

「えっ?」

 唐突に彼女が俺にそう言った。

 会う? 今更会って何を話すというのだ?

 ミッキーと会わなくなってもう一ヶ月以上になる。会う必要が無いと判断したから会わなくなったのだろう。俺に父親を見ていたのは今の話からいって間違いない。それがもう必要ないから会わなくなったと考える方が自然だ。そんな相手が、わざわざ自分の家にまで会いに来るなんて嫌に決まっている。普通そうだ。

 しかし、では何故この母親は俺のような中年親父に娘と会うことを勧めるのだろう。

「でも、未来さんは会いたくないんじゃないですか?」

 俺は帰りたい一心でそう答えた。

「いえ、それはないでしょう。あの子はあなたに会いたかったんですよ…… だから、会ってやってってください」

 そう言って彼女はまた頭を下げた。

 そんな姿をした女性のお願いを退ける度胸なんて、俺は持ち合わせては居ない。俺はもうどうにでもなれという半ば自棄のような心境で答えた。

「……判りました。それで、未来さんはどちらですか?」

 確か外から見たときは2階建てだった。この和室の大きさから考えて子供部屋は2階だろう。

「後ろです」

 彼女の答えに俺は度肝を抜かれ、慌てて振り向いた。

 しかし、そこにミッキーの姿は無かった。俺は深く息を吐きながら振り向いて彼女を見た。そんな俺の姿を見ながら彼女は立ち上がり、俺の横を通り過ぎて先ほどカメラを持ってきた続きの間に向かった。

「どうぞ、こちらです」

 俺は疑問を感じつつ立ち上がり、彼女の後について隣の部屋に入った。

 先ほどの部屋と同じくらいの広さで、西側に配された窓から茜雲が見える。先ほどからする線香の香りがその強さを増したの感じ、仏壇があるのがわかった。

 丁度隣の部屋の俺が座っていた場所から戸襖の影になったところにそれはあった。

 数本立つ線香の煙の向こうにある白い布にくるまれた四角い物体と

 揺らぐ煙の向こうで笑う色のない写真―――


『あははっ 驚いた? 俊介!』


 あの5月の美空のような澄んだ笑顔で、モノトーンのミッキーはそう言ったような気がした。


 ああ、驚いたさ…… なあ、俺、今どんな顔してるんだ?


 さっきから接地感の無い足の膝が揺れるのをどうにかこらえながら、俺は心の中でそう答えていた。


どうも、鋏屋でございます。

初めて読んでくださった方、ありがとうございます。

毎度読んでくださる方、大変感謝しております。

年末が慌ただしく、もう私のキャパは遙かに通り越した忙しさで死にかけております。更新できなくて申し訳在りません。

さて、今回でミッキーが会わなくなった理由が明らかになりました。まあ、薄々はばれていた感がありますが……

この物語もいよいよ次回最終話を経て、エピローグとなり完結します。

最後までおつき合いくだされば幸いです。

鋏屋でした。

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