凩(コガラシ)道場は今日も平穏
お久しぶりですみません。
しかも色物(´;ω;`)すみません。
世界は沢山ありいくえにも無限のようにある。
その一つとある世界に
『日の大王の本拠の下集ひし弓の形に連なる列島の親合国』
通称『日本』あるいは『弓状列島連合国』
という島国がある。
日の大王陛下と呼ばれる国主を中心にまとまる小国の連なる連合国家は日本親合国内はもちろんパスポートもいらない国である。
特徴は魔改造と小学校から行われる戦闘訓練であろう。
そう日本人は防衛型戦闘民族なのである。
防衛型戦闘民族な日本には実は沢山、戦闘技術を教える道場がある。
東西南北にある護りの要将軍府の一つ外国への窓口東府のある地方の小国にそこそこ有名な凩道場があった。
「広ポン、遺跡よ、遺跡〜」
タブレットに有名な古代の墳墓遺跡が写り可愛らしい黒髪の少女が琥珀の瞳を輝かせて隣の人物に叫んだ。
「落ち着け海里」
短い刈り込んだ黒髪のガタイのいい青年が両手を前に出した。
「エーリスの倫敦塔も行きたいよね」
小柄の黒髪をお下げにした緑銀色の目の愛らしい少女が青年の上着の裾をツンっと引っ張った。
「栗は無理だろう」
青年、広ポン……山本広和が栗、花川 栗を引き離した。
広ポンのケチー、ねぇ海里ちゃんと栗は凩海里の肩にてをおいた。
彼ら三人は公立耀学園高等部に通っている幼馴染の腐れ縁である。
広和は公務員を目指すエリート学生で海里は考古学者、栗は公務員を目指している。
彼らも来年卒業で卒業旅行に外国がいいなぁという話を神聖な道場の畳の片隅にタブレットを持ち込んで眺めていた海里と栗に捕まった広和が無理じゃないかと言っていたところであった。
無理の事情は旅行費用の問題ではない。
実は日本国が防衛型戦闘民族のせいで外国に行くにはある程度の戦闘能力がないとパスポートが発行されないのである。
「だからー広ポンに護衛してもらってー」
海里が広和に顔を近づけた。
実は他の護衛が確保できれば外国渡航が許されないわけではない。
民間企業でも守護戦士の派遣をしているところもたくさんある。
日本の守護戦士は海外でも礼儀正しく強く必ず任務遂行すると評判で信頼があつく人気がたかい。
しかし民間企業に頼むと当然それなりの料金がかかり学生の貧乏旅行に依頼するのは無理な話である。
「海里は……たとえ凩家最弱の女でもその逃亡能力を活かせば渡航資格を得られるんじゃねぇか? 」
彼女に誤解されるから俺は断ると広和が横を向いた。
そうかー逃亡資格取ろうかなと海里はニコニコして視線を外した。
凩道場の娘なのに海里は戦闘センス皆無なのである。
武器を使わせればすっぱ抜け体術は相手のヤバイところに入る彼女の得意技は力技と逃亡である。
やれやれと広和がホッとしたところでまた上着の裾を引かれた。
「私はどうするんですか? 広ポン見捨てるの? 」
栗の緑銀の瞳がうるうると広和をみた。
あざとさ満載のその眼差しに広和はたじろいだ。
栗は実はまったく戦闘能力がない。
武器はハリセンと腹黒いこと? のエゾ黒リスとあだ名される知性派小柄女子高生なのである。
「お、俺は春香に誤解されたくない〜」
広和の彼女、飯川春香は同じ武科の凛々しい同級生である。
余談だか実は広和より女性にモテる。
「彼女さん可愛いねぇ」
イカくんをモグモグしながら海里によく似た美丈夫が現れた。
「師範代」
「お兄ちゃん」
「優弥先生」
広和と海里と栗は美丈夫で師範代で兄で先生な凩 優弥な次代道場主を見た。
「そういや海里の彼氏はどうなったのさ」
「俺と遺跡とどっちが大事なんだと聞かれて遺跡って言ったら泣かれて別れたよ」
ポリポリと頬をかいて海里はえへへと笑った。
ブレねぇなぁと広和は関心した。
「次はかんばんなよ」
次々代道場主作んないとなんだしねと優弥はヒラヒラ手を振ってイカくんの袋に手を入れた。
お兄ちゃんが彼女作ればいいじゃんと騒ぐ海里に僕はモテないんだよとイカくんをかじる優弥である。
「師範代、天然だから気がついてないだけだよな」
「街を歩けばけっこう桃色の視線で男女問わず見られてるのです」
広和はため息をつき栗は小首をかしげた。
中途半端に長い黒髪を一つにまとめ、涼やかで切れ長の琥珀の目と引き締まった長身の美丈夫に外部の人間は目を奪われるのである。
中身の残念さを知る門下生たちに全く相手にされてないので優弥はきがついてないようである。
海里も付き合うところまで行くがいつも遺跡愛に相手が負けるのである。
残念兄妹ここにありである。
「さて、雑談は終わりっと鍛錬をはじめようか」
優弥はイカくんを飲み込んで袋を棚においた。
空気に緊張感が走る。
門下生たちは丁寧にお辞儀をして位置についた。
公立耀学園は保育園から大学院果ては研究所まで有する学園都市で東府でなく土地だけはたくさんある北東府地方の田舎国にある。
一応、日本最高学府である。
そんな学園には留学生もたくさん来ている。
金の髪に水色の瞳の長身の美青年もそんな留学生の一人であろう、小柄で愛らしい少女の愚痴を微笑みながら聞いている様子は少し不気味である。
二人は何ヶ所かある学生食堂ではなしているようだ。
「エリディスさん、広ポンたら酷いのです」
乳酸菌飲料のパックをドンと画一的な白いテーブルにおいて小柄で愛らしい少女、栗がぼやいた。
「広ポン殿も心が狭いですね」
カフェオレのパックを持ち上げて砂糖が入ってるか確認しながらエリディス・ラージャ……土耳古王国からの留学生は微笑んだ。
彼は実はドミミフル王国の武門の家の跡取りで将来的には王宮近衛武官長になる予定のエリートである。
武科に留学しているので広ポ……いや広和とは顔見知りである。
ちなみに栗とは図書館出会って日本語の難しい言い回しや古語を教えてもらう仲である。
エリディスとしてはこのかしこい小柄少女を囲い……いやいやつまりドミミフル王国のブレインとして公私共に迎えたい可愛いお友達なのである、とりあえずは。
「ドミミフルにも観光に行くのなら俺がいくらでも護衛しますよ」
そうすれば故国貢献もできますからとエリディスがカフェオレパックをポケットからだした小型ナイフで開けてやっぱりポケットからだしたガムシロップを3つ入れた。
「ありがとうなのです、ドミミフルって言えば奇石遺跡群があるのです、海里ちゃんがよだれ垂らしそうなのです」
「……海里殿も行かれるのですよね」
ハハハとエリディスは少しから笑いをした。
もちろん海里も行くのである。
恋人でもないエリディスと二人きりということはありえないことである。
「エリディスさんと一緒も楽しいのです」
可愛い笑みを浮かべて栗はエリディスの手の甲に指をのせて見上げた。
さすがエゾ黒リスである。
あざとさ満載でエリディスは真っ赤である。
卒業旅行楽しみですねとエリディスは甘くなったカフェオレを一気飲みした。
こうして純情な美青年がえげつないエゾ黒リスのワナ? にはまったのであった?
「わ~……国際問題にならないといいけどな」
「どうしたの? 広たん」
その様子を彼女と一緒におやつタイムに来た善良な幼馴染が見てしまったようである。
「み、みたらし団子セットでも食おうか」
無理矢理視線をそらして善良な幼馴染は彼女の肩に手をおいた。
「あら、エリディス君じゃない! 向かいは……小鳥ちゃんって上級生のお姉様たちが呼んでる子ね」
可愛いわねと微笑ましそうに春香は手をちょこんとエリディスの指にかけてるエセ小動物系少女を見た。
もちろん彼女は『小鳥ちゃん』なんていう可愛らしい生き物ではない、すべてを食べつくすエゾ黒リスである。
しかし、その愛らしいエセ小動物の容貌で上級生をはじめかなりの人々の庇護欲を煽っているのである。
留学生なドミミフル人もその最新の被害者である。
「そういえば、お母様がエーリス人だそうだわね」
だからあの不思議な緑銀の目なのねと春香は近づこうとして黒リスの善良な幼馴染にいこうと肩を抱かれて誘導された。
みたらし団子セットまだあるかなと白々しいことを言ってる彼氏な善良な幼馴染の邪魔にムカついた春香にチョップされるまであと何秒である。
耀学園は広い無数の廊下があり、ときに交通機関や自転車を利用しなければ教室移動できないこともある。
そんな廊下の一本を可愛らしい少女が放課後スキップせんばかりにルンルンと歩いていた。
胸に抱えるのは手に入れたばかりのドミミフル王国の奇岩遺跡群の写真である。
友達のエゾ黒リスからドミミフルを経由すれば墳墓遺跡もエーリスもあの金の髪の留学生が護衛してくれると聞いてさっそく行きたかったドミミフルの遺跡の写真集を図書館で借りてきたのである。
「海里……やっぱり、俺より遺跡がいいのか? 」
廊下の物陰から前髪の長いイケメンが出てきた。
「……えーと……? 」
海里は小首をかしげた。
その様子に男は鼻を押さえた。
可愛い、俺、やっぱり諦めきれないと男はつぶやいて海里に抱きつこうとして避けられた。
「元カレの純君、私は遺跡が一番友達二番……彼氏はえーと」
「うわぁぁぁん、ひどい、酷すぎるのに嫌いになれん、俺って」
元カレ純が再びせまってきたので海里は逃げようとして捕まった。
ハアハアと荒い息が海里の耳元で聴こえる。
ああ、柔らかい……海里の匂いだと首元に顔をうずめられ海里は寒気を覚えた。
もう、こいつに未練も情もないしと海里は思いっきりもがいた。
「誰か〜助けて〜」
「海里、ここはあまり人が通らないと教えてくれたのは君だよ」
余裕ぶった純の言葉が腹だたしい海里である。
しかし海里もこの裏道廊下の愛用者であまり人が通らないのは知っていた。
そう、考古学クラブの部室や園芸部の部室のあるこの廊下はいつでもカンコドリが鳴いているのである。
「いや~痴漢〜」
海里の叫びに無駄だよと余裕シャクシャクの純である。
海里大ピンチである。
海里はめちゃくちゃ暴れた。
数分後……
「大丈夫ですか? 」
床にうずくまり嘔気を我慢する純の背中をエリディスが撫でる。
「栗ちゃーん怖かったよ~」
海里は栗に抱きついた。
海里の特殊能力? 攻撃がやばいところに勝手に入って危ないである。
少し前、卒業旅行の件で通りかかったエリディスと栗は捕らわれて暴れる海里を発見した。
エリディスが助けに入ろうとした瞬間にバキバキとやばい音がして海里は開放されて純はうずくまった。
「……肋骨はやってないと思いますが……自業自得ですね」
「う〜」
エリディスの言葉に耐えきれなくなった純がやっと起き上り流しに駆け出した。
本当に自業自得である。
「海里ちゃんやばい伝説追加だね」
えぐえぐなく海里の頭を撫でながら栗がつぶやいた。
余計なお世話である。
その後、元カレ純は海里の3メートル以内に近づくことはなかった。
海里恐ろしいと震えてたとかなんとかである。
再び凩道場である。
まあ、家に帰っても共働きで忙しい両親がいなかったり姉は東府に仕えるエリート武官でうちを出ていて帰っても一人の栗や常に鍛錬をかかさない広和はほとんど放課後にいるのであるが。
「ええー、やばい伝説更新しちゃったの〜」
チーズタラを片手に優弥が嘆いた。
海里に彼氏出来なくて子供が出来なかったら凩道場途絶えちゃうよと優弥がチーズタラを噛み切った。
「私、遺跡が一番なのお兄ちゃんが頑張んなよ」
海里が膨れた。
確かに優弥も頑張ればいい話である。
「うん、卒業旅行行こうね」
栗が優弥のチーズタラの袋からごっそり抜き取った。
はい、海里ちゃんと栗がチーズタラを差し出した。
ありがとうと海里は何本か抜き取って口に運んだ。
それ僕のと優弥は言いかけてまあ、無事で良かったと微笑んだ。
「じゃあ、今日も鍛錬しようか」
チーズタラを置いてすっと立ちあがって優弥の雰囲気が鋭くなった。
門下生たちが深くお辞儀をして位置について海里と栗も慌ててチーズタラを口におしこんで道場に入って鍛錬の位置についた。
門下生たちの声がひびく。
今日も凩道場は平穏である。
海里と栗が無事に卒業旅行に行けたか……それはまだ先の話である。
遺跡マニアとエゾ黒リスが諦めたとは思えないのであるが、またの機会に語ろうと思う。
読んでいただきありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ
女王陛下(多分)と異世界人(確定)や万屋☆明正屋に出てくる人物の同位体……別世界のほぼ同じ人が出てきますが性格が違いすぎてすみませんm(_ _)m




