第2部?
朝起きるとアホ毛が光り輝いていた。
いったい何のことかわからないと思うが、今の状況を一番わかりやすく説明している。
アートはひとまず頭の中を整理させるため、父親と話をすることにした。
「それで、なんでこんなことになってるのか原因は分かっているのか?」
「うーんそれなんだがな……大体の見当はついているらしいが詳しいことまでは調査中だそうだ」
「そうか……」
本人たちはいたって真面目に会話をしているが、傍から見れば相当おかしな図になっている。
息子の頭にあるアホ毛はまぶしく光り、その父親は上半身裸で乳首はアホ毛の光をキラキラと反射している。
少しの間を置き、アートは自分のアホ毛について話をする。
「はぁ、それにしてもなんで髪の毛が光ってんだよ」
「……この光……やはり」
意味ありげに呟く父親に聞き返す。
「なんだ? なにか知ってるのか親父」
「あぁ、俺も一度しか目にしたことはないがこの輝きは……」
「この輝きは?」
父親は言葉をためながらゆっくりとアートのアホ毛を指さしながら
「悪しき魔を断つ聖なる剣の輝きだ!」
と声高らかに断言する
「はあ!? 聖なる剣!?」
「そうだ! 俺がまだ小さかった頃、王国に行った時に見たことがある!」
「なるほど、だてにこの町で唯一の鍛冶屋って名乗るほどの事はあったってわけか」
「……かもしれない」
「一瞬でも感心して損したわ!」
しかし手がかりであることに変わりはないので、もう一度鏡で確認をする。
やはり何度見てもおかしい、当然と言えば当然だ自分のアホ毛が光っているなんてこれまでもこの先も絶対に経験しないはずだ。
そう思いながらアホ毛に手をかざしてみたら事態がまた急変する。
アホ毛が取れた。
またしても突然のことで驚愕を隠せない、しかも頭についていた時より少しだけ大きくなっている。
先程親父が言っていた聖剣という説が現実味を増してくる。
「ハハ……ハハハ」
この短時間で様々なことが起こりすぎたせいか、乾いた笑いしか出てこないアート。
顔を引きつらせながら窓の外に目をやると、雲一つない晴天だった。