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引き込まれる
カランコロン。カランコロン。
私が入ったのは、小さな喫茶店だった。
「おや?いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
口髭の似合う、渋いマスター。
柔らかな笑みを浮かべながら、こちらへ言葉を投げかける。
オレンジのランプの明かり。少しの煙草の匂い。
暖炉の炎の煌めき。木材の床が軋む音。
たくさんの、珈琲の匂い。
とても穏やかで、落ち着いた空間。
私の全てが溶け出してしまいそうな、空気。
まるで、異世界みたいだ。
珈琲を通して、アナタの全てを溶かしてみませんか?