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とりあえず遠見の鏡を元の場所に戻そうして、ウェルカムはふと気が付いた。

「これの向こう側に連絡すれば、犯人を教えてくれるんじゃね?」

「………なるほど!! よし早速やってみよう!」

そう言ってえんたー☆ていなーはたかやから鏡を奪い取るように手を取って……急に固まる。

「どうしたんだよ。」

「……なあ、これどうやって使うんだ?」

「……わからん。」

たかやは断言する。

「コマンドから見ても使用の文字は無いし……。」

「真似したらどうだ?」

「真似?」

「使った場面を色々と見た事があるだろう? それを真似すれば使えるはずだ。」

「よぉし……とりあえず真似して……。」

たかやは鏡を適当な台に置くとその鏡を複雑に触りだす。

「………駄目だ反応ない……とりあえずほかのパターンもやってみるか……。」

そう言いながらもたかやはこうか?いやこうだったかな?と言いつつも鏡を何度も触りだす。

「………憶えていないの?」

ドラゴンナックルがそう言ってじと目でたかやを見る。

「……すまん。アイテムまでは覚えていたんだが、どうやって使っていたのかまでは……結構パターンがあったし全部は無理だ。」

「「………そりゃそうだな…。」」

えんたー☆ていなーとウェルカムがそう言って首をがくりと落とす。

「使えないなら使えないでいいさ。」

とんすとん店主がそう言ってたかやを止める。

「……使えないからこそ意義のあるアイテムもあるからな。」

「使えないからこそ意義がある?」

「例えば<ご禁制の薬>……密輸阻止イベントとかでよく見るだろ?」

「あっ!!」

「あれって、結構パターンありましたよね。薬を使ってパワーアップしてきたり、巻物からモンスターを出して阻止をしてきたり……。」

「もしも、冒険者がその手のアイテムを使ってきたらどうなる?」

「………<ご禁制の薬>の方は見た限りパーティーランクのモンスターに人を変身させたりしますし、巻物の方もノーマルランクのモンスターを結構な数呼び出せたりしますよね。」

「だが、その手のクエストにおいて<ご禁制の薬>が手に入ることは無いのはわかっているな。」

「……そうだなあ……盗賊をぶちのめして終わりって感じだからなあ。」

ウェルカムの答えにえんたー☆ていなーが更なる疑問を描く。

「……確か<詐欺師>とか<贋作師>だと手に入るかもしれないって2●●に書いてあったけど。」

「あるわけねーだろ……おそらくそれはペナルティクエストだ。」

「ペナルティクエスト? なんじゃそりゃ。」

「一部の職業に対して、やや不利になるような勧誘を行うクエストの事さ。

 ……判定範囲としては<詐欺師><贋作師>とかの相手を騙すことを優先する職業を狙うクエストの事だな。

 あとは『ケタケタ』ってクエストもあるけど……発生確率低いし、経験値的なペナルティはないからまっいいか。」

たかやの言葉にドラゴンナックルがフォローを行う。

「……でも私の知り合いもゲーム内詐欺にあってやる気をなくした人もいるからね……そう言う<詐欺師>を抑えるクエストがあるのは良いのかも。」

ドラゴンナックルがたかやの方をちらちらと見ながら言う。

「………ゲームだからこそ信頼が必要なんだけどな。手に入らないアイテムは手に入らないってな……」

たかやもため息をつく。

「……だが、この事件で大きく変わった。イベントアイテムを入手できるという事は、今まで手に入れられなかったアイテムを入手できる機会も増えるという事だ。」

「………手に入れられなかったアイテムを入手できるって、そんなにまずい事なのか?」

「<ご禁制の薬>や<魔物を召喚する巻物>………他に何があったかな?」

「俺も詳しくはしらん。がその2種類だけでも色々とまずいんじゃないのか?」

「……<ご禁制の薬>の方は詳しい内容が作られていないからまだ調べなきゃいけないんだろうけど。」

「内容がないよう。」

「茶々を入れるな。ウェルカム」

「すまん。」

えんたー☆ていなーの突込みに素直に答えるウェルカム。

「<魔物を召喚する巻物>は色々とまずいな……あれは確か悪徳商人がノーマルランクかパーティーランクのモンスターも呼ぶイベントがあったはずだ。」

「パーティーランクって……」

「……ゲームバランスとるとそうなるんだ。」

たかやがそう言って頭を抱える。

「……流石に密輸業者全員が普通の兵士より強いのは問題だから簡単に数を揃えられるその手モンスターを召喚するアイテムは色々と必要なんだ。

 ま、この指輪も似たようなもんだけどな。」

そう言ってたかやは支援者召喚の指輪を一同に見せる。

「しかしながら、再使用時間や使用条件は不明だ。もしもその手のアイテムが簡単に手に入るなら……。」

「……冒険者の力関係は全部変わってしまうか。」

たかやはそう言って、頭を抱えた。


ヒタチ……キリヴァ侯爵の屋敷。

「キリヴァ侯爵。今回はお時間を取っていただきまことにありがとうございます。」

「アキバの事件については重々聞いている。それがもたらしている弊害にもな。」

そう言って侯爵は目の前の男……ミズハラ=リョウマに言葉をかける。

「被害額が相当な物になっていると聞いているが、アキバを去る予定はないのか?」

「……我々には供贄一族との『盟約』もあります……ただその盟約から離れた商家ではアキバあるいはシブヤから離れる動きも出てきています。」

「止められんのか?」

「……彼らには『盟約』がございませんので。」

やれやれとリョウマはため息をついた。

「では聞くが『盟約』の代わりにお前は奴らから何を得ている?」

「金貨・あるいは冒険者が売りに出しているアイテムの優先的な入手権を得ていました。」

しかしながら、それもなくなりましたけどねとミズハラ=リョウマはため息をつく。

「それでも付き合う必要はあるのか?」

「……信用は商人の武器の一つです。簡単に裏切れば次なる商売の機会も失うでしょう。」

リョウマの言葉にキリヴァ侯はため息をつく。

「……ミズハラ=リョウマ。今度、イースタルの会議が行われる。その場でお前にアキバ代表して出てもらう。」

「お断りします。」

キリヴァ侯の言葉に、リョウマは即座に返事を返す。

その言葉の意味はつまりイースタルは供贄一族をアキバのリーダーとして認めないという事だ。

「私は一介の商人にすぎません。もしもアキバの代表を出すのならば私ではなく供贄一族が出るべきでしょう。」

あくまでも原則を通すリョウマにキリヴァ侯がさらに声をかける。

「奴らはすでに信頼を失っている。あのアキバの様子を見てもなんとも思わないのか?」

「………。」

「何らかの対処が必要になってくる可能性すらある。」

その言葉には、苦悩が浮かんでいる。当たり前だレベルが90と言う暴徒が暴れだせばイースタルの戦力など紙のように吹き飛ぶに違いないのだから仕方がないだろう。

「………すでに『悪徳ギルド』と言われるギルドに関しては監視と動きの調査を行っております。」

そう言ってリョウマはリストを取り出す。

「今回の盗賊事件の犯人である『ウルフ&フォックス』。詐欺事件を開始している『コンプリス』。そしてそれらを統括している『ハーメルン』……いずれに関しても、証拠並びに証人は揃えているしかし、圧倒的に解決をする手段がない。

 最悪何処かに出られないように閉じ込めておきたいという気持ちでいっぱいです。」

「………。」

「閉じ込められることのストレスはわかりますが、それは冒険者の理屈にすぎません。」

リョウマはキリヴァ侯にはっきりと伝える。

「『西風の旅団』はリストには載せませんでした。

 ………話を聞く限り、問題は被害者側にもあったと思われます。まあ、こんな事を処罰を下した菫星に言えば抗議を受けそうですが……

 彼らの行動には何ら問題が無いと思っています。」

「そうか。」

「……何か欲しい物は無いのか?」

「そうですね……せめて息子のタカヤには平和な世界が来てほしいと思っています。

 この暗黒と戦乱に満ち溢れたセルデシアでは難しいとは思いますが……。」

「……親バカか。」

侮蔑とも受け取れる言葉をリョウマは平然と受け取る。当たり前だ。リョウマは商人であり貴族であるキリヴァ侯よりもその地位は低い物だからだ。

トントンとドアが叩かれる。

「ミズハラ家より連絡が入っております。」

そう言ってキリヴァ侯の執事が手紙を持って入る。

「……キリヴァ侯。アキバで変な事態が起こっているようですよ。」

リョウマがわけの分からないといった雰囲気でその手紙を読む。

「変な事態だと??」

「……『特定の食料品』が飛ぶように売れているらしいですね。

 いやこんな事態は長年商人をしているが初めての事だ。」

リョウマが手紙を見ながら平然と答える。

「………『クレセントバーガー』という商品らしいですね。」

リョウマが聞いたことのないといった様子でそのアイテムの名前を呟いた。

今回のプロット変更


『それは冒険者の理屈にすぎません。』これは本来終盤で、ミナミの方の商人に言わせようと思ったセリフだったりしますが、話の展開的にこのタイミングでリョウマに言わせてます。


『遠見の鏡』の使い方

いきなり連絡が入って……とも考えたのですがもう少しゆっくりさせようとして没に。

あとたかやが変な踊りとかも考えたのですが、冗長になりそうだったので没に。


『コンプリス』

HoneyMoonLogsに出てきた詐欺ギルド。今回の話とはあまり関係のないギルドです。

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