弱い自分と
気付くと、リリーは寝ていた。
「これはないでしょ」
幼馴染とは言え、無防備に寝ているリリー。僕は手を伸ばして、リリーのフワフワのクリーム色の髪に触れた。
「どうしようか」
ここで朝まで寝させる訳にはいかないし、起こすか。
「リリー、起きて。ここで寝ていると風邪をひいてしまうよ」
リリーは目覚めが良い。軽くゆすれば、すぐ起きた。
「……寝てた? 大変、早く部屋に戻らなきゃ」
そう言いながら目をこする仕草の可愛さ。僕は良く耐えたと思う。でも、このチャンスを逃すわけにはいかない。これは神様が与えてくれたチャンスだ。弱い自分との勝負。
「ねぇ、リリー。ダンスパーティーは僕と踊ってくれない? もちろん、違う人に申しこまれているのも知っている」
そういうと、リリーは少し困ったような顔をしてから、すぐになにか思いついたような表情になった。リリーは表情がコロコロ変わるから、見ていて楽しいし、可愛い。
「ああ、そうか! 冗談だよね。ロイスにはあの子がいるし」
いやいや本気だし、あの子って誰。……ああ、思い当たるのが一つある。
「あの子は違う。告白されて、断っていただけだよ」
「あんなの普通の断り方じゃない。普通に興味無いって言えばいいだけでしょ」
「僕は、本当は人とのかかわり方がよく分からないんだ」
優しくしないと嫌われてしまう。できる人じゃないと嫌われる、と、付け足して言った。
「完璧じゃなくても嫌われたりしないよ? そうじゃないと、私なんかとっくの昔にアリアに嫌われてる」
僕は馬鹿か。そんな簡単なことにも気付かすにいた。
「そうだね、ありがとうリリー。気付かせてくれて。あと、僕は本気だ。君が僕以外の踊っているところを想像するのも嫌だし、もちろん見るのも嫌だ」
「あぁ、そういうとこだよ、女子に対して甘すぎるところ」
「そんなに疑うなら、心を読めば良い」
リリーは半ば諦めたように言った。
「本気だということは良くわかったわ」
リリーはもういつものテンションだ。どんなリリーも可愛いけど、泣いているよりは、笑っていてほしい。
「私もあまり親しくない人と踊るのは気が引けるし、ロイスと踊ることにする」
今リリーはなんて言った? 僕と踊りたい? とび跳ねながら、そこ等じゅうを走り回りたい気分だ。そんなはやる気持ちを抑えて言った。
「そう、それは良かった。じゃ、そろそろ寝ようか」
「うん、お休み」
「お休み、リリー」




