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リリー・ルーニャとブルーストーン  作者: 乃石 詩音
capter7 動き出すかもしれない物語
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気付かずにいた優しさ

線をひかれた気がした。私たち二人とあなたは違うんだよ。一位とか二位取れる人と二十七位は違うんだよって。もちろん、アリアとルックがそんなこと思うわけが無い。そんなことは分かっている。そう理解していても、溢れてくる涙を止めることはできない。


 このまま行っても、メリクリウスさんを困らせるだけだなぁ。そう思って、寮の塔を出て、扉の前に座った。一人でいたい、そんな気分。一人で居るのは昔を思い出して嫌なはずなのに。


 もう、心の中がぐちゃぐちゃだ。自分が誰なのか忘れてしまいそうになる。

「……リー……」

幻聴? 声が聴こえた気がした。

「リリー」

幻聴じゃなかった。肩を叩かれた。見上げると……。

「ロイス?」

どうしているの? と聞きたかったけど、上手く声を出せそうにない。名前を呼んだのも上手く伝わっていないかもしれない。


 ロイスがしゃがんで、座っている私と同じ高さになった。いや、ロイスのほうが高い。いつの間にこんなに背が伸びたんだろう。前までは私の方が大きかったのに。

 ロイスが軽く手を握って言った。

「リリーは一人じゃない。僕がいる」

前にもあった、テスト前にも。

「ねぇ、リリー。昔の約束覚えてる?」

約束なんてしたっけ? 全く覚えてない私は首を横に振る。

「あの時のリリーも泣いていた。寂しさで君は消えたしまいそうだった。それで僕は君に『寂しかったら僕を呼んで。すぐに行くから。約束だよ』って。まぁ、完全に忘れられていたみたいだけど」

思い出した。孤児院でく暮らし始めてすぐのことだ。私は顔を上げた。

「思い出した?」

ロイスなんかに……、ロイスに私はこんなにも助けられていた。ずっと傍にいた優しさに気付かずにいた。そう思うと、また涙が零れてきた。

「うん、気の済むまで泣きな」

私は決して、たった一人きりの力で生きていた訳じゃなかった。


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