月みたいな人
テスト一週間後。各学年一位からなんとビリまでもが書かれた紙が、大会議室に貼りだされた。何これ、公開処刑じゃん。全校生徒約千二百人分の名前が一つ一つ小さな名前で書かれた紙が壁をうめつくしている様子はまるで、呪文の書かれた札が壁をうめつくしているようで、異様な光景だ。
紙には、教科ごとの点数、合計点、順位が書かれている。一学年は全部で二百十三人。
「うわあ! やったね、アリア! 一位だよ! ルックも二位! おめでとう!」
「ありがとう、リリー。あなた、自分のは見たの?」
一位取ったってのに普通のテンションだな、アリア。自分の? まだ、見てない。三位は知らない人だ。
「よっしゃ!」
声が聞こえた私の右隣を見てみると、顔立ちの整った、黒髪で黒縁眼鏡の男子がちいさくガッツポーズをしていた。おとなしそうな雰囲気ではあるけれど、決して暗い雰囲気なわけでもない。
「あ、見られてしまいましたか」
「あ、いえ、こちらこそじろじろ見てて、すみません」
彼は顔を赤らめて恥ずかしそうに言った。気になったら見続けてしまう自分の癖どうにかしないとな。ロイスにも悪いことしたし。
「僕、三位を取って嬉しくて、つい……」
「三位!? すごい、頭いいんだね! あ、でも私の友達のほうがもっとすごいよ。ルックは二位で、アリアは一位だからね」
この人が、アルス・ザクセス君か。人当たりの良さそうな人だな。まるで、夜空に浮かぶ月みたい。
「君は太陽みたいな人だね。雰囲気からしてケルタ・ミネルバ寮の子かな?」
今、もしかして心を読まれた? いや、まさかね。
「違うよ、私はクラルス・コロナ寮のリリー・ルーニャ。アルス君はどこの寮なの?」
「僕は、コンコルディア・ルーナ寮のアルス・ザクセス。よろしく」
アルスは手を差し出した。私もそれに合わせててを伸ばす。
「こちらこそ」
コンコルディア・ルーナ寮か。月みたいなアルス君には、ピッタリだ。




