好きと嫌いの狭間で
僕、何してんだろう。
「はぁ……」
「どうかしたの、ロイス君。ため息なんかついて」
「何でもないよ」
そう言いながら心配してくれた女の子……名前なんて知らない、にウィンクをつけて返す。ああ、これが僕の悪いクセ。今は、昼食中なんだけど、僕のまわりにはたくさんの女の子。女の子は嫌いじゃないけど、嬉しくない。なんてったて、この中には、僕の望む子はいないから。僕はあの子に嫌われたのかも知れない。
それは魔法学の後のことだった。授業後、いつも通り女の子たちにつかまらないように、と素早く移動。それでもつかまってしまうことはあるもので、大きな柱の影にいた子につかまってしまった。またか、と思いつつ。お決まりのセリフは真面目に聞いていやなんかしない。ここまではいつも通りだったのに、思いもよらないアクシデント。抱きしめられてしまったのだ。おいおい、まだ返事してないよ、とか思いながら。
とりあえず、抱きしめかえせば良いのかな。
そんなことを思った。そしていつものセリフを耳元で囁く。言葉はいつも通りだけど、いつもは耳元でなんかしない。
「君はいいいけど、君にはもっと似合う人がいるはずだよ。僕なんかよりもずっと、ね」
そこまでして、視線を感じた。あの子だった。一瞬しか見えなかったけれど、心を読まずともその表情だけで、何も思っているかがよくわかった気がした。
「ロイス、急用! 昼休みメリクリウスさんの所!」
一瞬ビクッとした。その聞き覚えのある声に。
「なんだ、アリアか。オーケー、分かった」
「ちゃんと来てよね」
「ごめん皆。じゃ、またね」
何人もの女の子たちからの反応は様々だ。「え~ロイスいっちゃうの~」「あの子たち誰~」「何か、感じわる~い」何がだ。君たちの方がよっぽど感じ悪い。これだから計算づくの子は嫌いなんだ。女の子は好きだけど、あの子のことを悪く言う子は大嫌いだ。




