なんでもない昼下がり
「次は昼食だね」
「幻覚かな? リリー。リリーが犬の尻尾を振っているように見えるよ?」
「くだらない」
昨日のあのホールに行くと、既にたくさんの生徒がいた。悪臭漂うじめじめした地下室から無事帰還した後のごはんの香りは最高の至福だ。
メニューは、パスタ、ポテトサラダ、魚のムニエル。好みで飲み物を選べる。パスタのソースも選ぶことができる。
昼休みには、ブルーストーンについての情報を集めるため図書室に行こう、ということになった。しかし、ルックは午前中の授業の復習、ロイスは、女の子たちの相手で、アリアと私の二人だけで行くことになった。
「随分と整った設備ね」
アリアの言うとおり、私が三人は並べられそうなほど高い棚がいくつもあり、部屋自体も広い。棚には、びっしりと本が並べられており、孤児院の小さな図書室とはくらぶべくもなかった。そんな図書室を一回りしていると、カウンターによく見たことのある人がいた。
「メリクリウスさん!」
「お久しぶりです、と言っても一日ぶりですが。おや、ロイス君はどうされたのですか?」
「かわいい女の子たちの相手に忙しいみたい。」
アリアが皮肉交じりに答えた。
「アリアとは同じ部屋になってね、もう一人ルックっていう人がいるんだけど、その子は授業の復習するって言ってた。」
「友達ができたのですか」
私たちはそろって首を横に振った。私たちは、親の名前が通り過ぎていて、人がよってこないのだ。先生は期待の目をむけてくるけど、あれはあれでかなりのプレッシャーだ。まぁ、ロイスには女の子たちが群がっているが。
「そうですか。それで二人はブルーストーンについて調べに来たのですね。多分、察するに。クラルス・コロナに魔界歴史学の授業は今日、なかったですから」
私たちは今度はそろって首を縦に振った。勢いがつきすぎたのか、頭はちょっと痛い。
「私が教えてもいいのですが、もし私から聞くなら……」
聞くなら?
「心の準備をしておいたほうがよろしいでしょう。あと、ロイス君も一緒に聞かなければいけないです」
大事な話なんだ、きっと。メリクリウスさんの雰囲気がいつもと違うもの。しかし、優等生のアリアが考えていたことは違った。
「私たちの両親の過去を知っているとは一体、メリクリウスさんは何者ですか?」
強いまなざしでアリアは長身のメリクリウスさんを見据えた。
「そのことについても、ブルーストーンについてのときの教えいたします。貴方達の両親についても、です。」
メリクリウスさんは、真剣なまなざしで答えた。




