平凡な男
何も特筆することの無い平凡な人生。
田舎に生まれ、田舎で育ち、小・中学と田んぼと山と川しかない道を延々と往復して平凡な田舎ライフを過ごす。
そんな特筆することがない人生を送ってきた男、それが俺、佐竹貢だ。
顔は悪くはないと思うがイケメンという程でもない、いわゆるフツメンで、性格は明るく、口が堅いが割と適当に事を済ますという残念な部分もある普通の男子だ。
また好きな子がいても告白できずに友達止まり、周りからの女子からの評価も良い奴で、友達から進むことが出来ない残念系。
「佐竹君?いい人だよね!」
こういう反応が大半で心が折れそうになる。
もう少しデレてもいいんじゃないかと思うけど世界は俺に冷たく接することがデフォルトみたいだ。
だがそんな俺に転機が訪れようとしている。
高校入学だ。
俺が受験した高校は私立光海高校。
この学校が出来たのは今年、つまり出来立ての新設校で私立の割にお金があまりかからない。
あとこの学校は少し特殊で元々女子高にしようとしていたみたいで、何やら学校側が揉めに揉めて共学になったらしい。
まあおそらくそれで男子の募集を制限して受験者を募ると言う形になった珍しい学校なのだ。
受験の制限も特殊で各校男子は三名以下で、それぞれの学校で受験させる選定基準が違うらしい。
しかも受けていいのは県内の中学校のみなのでおのずと数も限られてくる。総募集人数は240人なので多くても男子は100人以下になるだろう。
(ちなみに女子は国内外問わないらしい
たぶん女子校派閥の人達と譲歩したからだと思う)
ちなみに俺の母校での選定基準は最低限の学校に相応しい知識と教養、口が堅いことと読書を嗜んでいることだった。
なんとも後半の二つは曖昧な選定基準だがこれが大切だったと担任が受かったあと苦笑しながらいっていた。
なんともおかしな学校である。
そんなおかしな学校を進学先に選んだ理由は1つしかない。俺は全寮制に憧れているから。
この学校は山奥にある。
山奥にあるのも理由があるらしい。
しかも生徒全員が学生寮に入らないと通学できないくらいのところに建っているそうで、町まで学校のバスで1時間かかる。
しかもその町も山奥なので本当の大きい街に行くには4時間はかかるだろう。
まあ俺はあまり気にしないんだが。
話が逸れたがつまり、寮生活に憧れてこの学校に決めたのだ。(他の学校よりも入りやすかったのもあるが)
ちなみにこの学校の偏差値は58くらい。
あと俺は光海高校、つまり自分の行きたい高校のオープンハイスクールに実は行っていない。
親友で光海に受ける玲が一緒に行こうと言ったのだが、
「あそこ山奥だろ?やだよ、めんどくさい」
と言ってからだ。
正直全寮制で入れるならどこでも良かったからな。
家から離れることが出来るならそれでいいし。
なので本当の意味でどれくらい山奥なのか理解していない。
つまり受験する学校を最低限(つまりパンフレットと玲から聞いた話)しか知らずに入学するのだ。
お前はある意味大物なのかも知れないと父親に言われたのを覚えている。
あとは受験受けて
親友の玲と共に合格。
無事に中学を卒業して
この春から入学することになったのだ。