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ホカク完了

 視界がぐわんぐわんして、あー倒れるなと思った途端に、強く床に頭を打ち付けた。受身もとれないまま、ジンジンと痛む頭を抑えることもなく、ぼくは静かにその場に倒れる。何かで後頭部を殴られたのはわかっているんだけどな。なにかを考えようとするけれど、それ以上に眠い。痛いのに眠いって変な感覚だ。


「逃げようとするからだよ」


 上から声がした。

 間違いなく、ぼくの後頭部を殴った相手である。そちらに目をやろうとしたけれど、諦めた。体が言うことを聞かない。ちくしょう、ねみい。

 逃げようとしたのはぼくのせいじゃない。全てコイツのせいだ。コイツがおかしなことを言い出すから……。まあ、おかしいのはぼくも同じなんだけど。


「星田くん、頭から血がでてるよ。だいじょうぶ?」


 殴った本人がよくもまあ白々と。

 まったく嫌になる。同じクラスの女子に殴られるなんて。さっきまでぼくはコイツと同じ教室で授業を受けていたんだぞ。ハリボテであったとしてもそんな平穏な時間が、今この瞬間ぼくの生死を左右している時間に変わるなんて。授業が終わって二時間しか経っていないのに。


「おーい。生きてますかー」

「生きてるよこのやろう」


 肩をツンツンされたので反応してやった。視界にそいつの顔が映る。ああ、なんだ。視界がぼんやりしていたのは、殴られた衝撃で眼鏡が吹っ飛んだからか。脳みそがぐらついてるせいだと思ってた。ひとまず安心。思っているよりぼくは元気だ。

 なにか冷たいものがぼくの頬に触れた。これは……手?やけに冷たい。人肌の温度じゃない。


「きみのほうが死んでるみたいだ」

「うるせえやーい」


 ぼくを撫でるこの手の持ち主は、昔、ぼくが壊してしまった人だ。

 だからこんなに冷たくて、こんなに変になったんだろうな。普通とかなりズレて誤作動起こしまくって、それでもまだ幸せそうに笑う彼女を、ぼくは避け続けてきたし無視もしてきた。そこにいるのにいないものとした。だから、バチが当たったのか。


「やっとつかまえた。つかまえたぞう」


 そう言いながら、ぼくを殴った当の本人は──

 愛崎佳乃は──

 まったく絶やすことのない笑みで、ぼくを見下ろして言った。


「5年前の続きをしようか」



 

 

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