三匹目~無口な幼なじみ~
一時間目は英語。
オレは英語が苦手だ。
第一、英語を学ぶ意味が分からん。
英語なんか話せなくても、日本にずっといればいい話だ。
外国人に道を聞かれたら…ってよく言うけど、そんなに出会うことはないと思う。
あ~退屈。
って考えてると、
「んーと、ここの問題を……玉木歩!」
「うぇ!あ、は、はい。え~っとですね…」
やべぇ…全然聞いてなかった。
困り果てていると…
スッ
前から答えの書かれたメモ。
え?
「使って。」
メモを差し出したオレの前の席のその子は美少女。
ぱっつんの前髪に、ストレートのセミロングの桃色の髪をハーフアップにしている。
不思議な赤い大きな瞳。
胸は高校生の平均ぐらいだが、腰はかなりの細さ。
全体的に、きゃしゃな体型だ。
メモを差し出した手の反対の手には、なぜか食べかけのクリームパン。
和……中学のときと全然変わってねー…
授業中だろうと、いつも何かを食べていた。
おっとりのんびりマイペースで、無口。
そう、それがオレの幼なじみ二人目、白井和だ。
オレはメモを受け取った。
「えっと……………わかりません。」
確かに答えは書かれていた。
が、オレは読めなかった。
始めから知らない単語が使われていた……
すまん……和!
「えっと、それじゃあ…寅沢要!」
「はい。答えは……………」
立ち上がって、すらすらと答えを言った男子は、かなりのイケメンだった。
ダークブラウンの髪。
澄んだ青いつり上がった目。
キレイすぎる顔。
細い身体。
身長はオレより5㎝は高そうだ。
「よし、性格だ。」
ちっ…頭もいいのかよ…こいつ……と、
「ふっ!当然だ。オレ様は天才だからな!」
どや顔で言った……
あ、ドンマイ。
ナルシストだったか。
オレはこうして無事、英語の時間を終えた。