二匹目~素直になれない幼なじみ~
理事長に連れられて、ある教室の前まで来た。
1ーA
そう書かれたプレート。
「よし、入れ歩くん!」
「うぇ…今すぐか?」
「wwおいおいw緊張しているの?まぁ、大丈夫だってwみんな仲良くしてくれるから。」
「だと、いいんだけど…」
オレは覚悟を決め、ドアを開けた。
「え……………?」
そこは、普通じゃなかった。
頭はパニック状態。
なんでコスプレしてるやつがいるんだ?
しかも、熊のキグルミのやつまでいるし…
制服ちゃんと着てるやつが1/3ぐらいしかいないじゃねぇか!!
制服の着用率低っ!!
おわ……フリフリのやつとか、ピエロみたいなやつとかいるし…
まともなやつ少なっ!!
「あ、あの…理事長、これって…」
「ん?……ああ!なんで制服着てない人がいるかって?ウチは自由な校風を目指してるからなww」
さすがお金持ちの作った私立校…
恐るべし…
とりあえず、教室の中に入る。
さっきのハゲの先生が、オレを教卓の前に立たせた。
「え~玉木は両親の仕事の関係で、今日からここで一緒に学ぶことになった。みんな、仲良くしてやれよ。」
「た、たたたた玉木、あ、歩です……みんな、よ、ろしくお願いします………」
うぉぉぉ!!!!
か、噛みまくってしまった……
「じゃあ、玉木の席は……」
「先生!あたしの隣空いてます。」
…懐かしい…声がした。
声のほうを見上げると……
すごい美少女。
腰に届くほど長いストレートの茶髪。
制服のリボンと同じ、赤いリボンをつけている。
エメラルドみたいな大きなつり目。
整いまくりのキレイな顔。
高1の平均値を上回る豊富な胸。
制服はきちんと着こなしているが、靴下は男の夢であるニーソ。
オレはこの美少女のことをよく知っている。
だって、オレの幼なじみなんだから。
そして、この美少女が、非常に残念であることも知っている。
全く素直になれない、そんな子だ。
「おぉ。じゃ、玉木は黒川の隣ってことで。」
オレは、幼なじみの黒川萌の隣の席、一番後ろの窓際の席に座った。
「久しぶりだな、萌。」
「フンッ………まぁ、そうかもね…」
「ありがとうな。知らないやつばっかだし、お前が隣だと心強いや。」
「か、勘違いしないでよね?あんたのためじゃないんだから!た、たまたまあたしの隣の席が空いてて……本当にそれだけなんだから!!」
ったく、どこまでも素直じゃねぇやつだ。
こうしてオレは、幼なじみの一人と二年ぶりに再会したのだった。