一匹目~猫の楽園~
オレ、玉木歩は高1年の5月という、なんとも微妙な時期に転校した。
もちろんオレの意志でではない。
親の都合だ。
せっかく頑張って入った高校。
やっと仲良くなれた友達。
正直離れたくなかった。
……まぁ、ぐちぐち言ったって仕方ないか。
って訳でオレがやってきたのは猫見学園。
ここは、オレの幼なじみ二人が通ってるところだ。
全寮制で、校舎はその、思わず来るとこ間違ったかなぁ…と思ってしまうほど豪華。
真っ白い壁、金の装飾、赤いじゅうたん。
なんでもこの学園、超セレブな家柄の娘がわがまま言って作らせたものらしい。
おかげで学費とかほとんどただ。
金持ちはのんきなもんだ……
ハゲの先生に学園案内された後、理事長にあいさつしてこいと言われ、今オレは理事長室の前にいる。
赤い大きな扉、縦長の金の取って。
オレはかなり緊張していた。
とりあえず、ノックしてみる。
コンコンッ
「入って。」
女の人の声………だが、少し幼いような気がした。
20歳ぐらいの若い人なんだろうか…
「失礼します。」
中に入った瞬間、オレは凍りついた。
そこにいたのは……………ギャル?
いやいや、それよりも年齢のほうがヤバいな。
たぶん、小学生であろう女の子が、デコってるスマホを片手に机の上に足を組んで座っていた。
クリクリの大きな目、頭のてっぺんのお団子ヘア、
細い体。
これはいわゆる幼女というやつだろうか……
あ、言っておくが、オレは幼女萌えの人じゃない。
「えーっと…これはつまり、小学生が理事長だってことか?」
あ、声に出てしまった。
「は?もしかしてウチのことか?……ふざけんな!ウチはこの学園の理事長であり、小学校から大学に飛び級した天才、猫見璃夜様なんだから!」
……おいおい、なんの冗談だよ。
小学校から大学に飛び級…だと!?
「あと、ウチは小学生じゃないし!中学二年生だし!ったく、マジあり得ないんだけど~」
中学二年…生!?こんな小さいのに……
その時、
ニャアーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
!?なんだ?
驚いて振り返ると、そこには………猫。
猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫!
これでもかというぐらいの大量の猫が廊下を走っていた。
「え………」
理事長は全然驚いてなかった。
「な、なんなんだよ…今の!」
「ん?ウチのペットの猫達だけど?」
「学園に猫なんか持ち込んでいいのかよ!?」
「は?当たり前じゃん。この学園、ウチのだし。」
………ヤバいだろ。
非現実すぎるだろ。
「ところで、あんた、ウチにあいさつにきたんじゃない?」
「あ…忘れてた…オレの名前は玉木歩。よろしくお願いします……」
「あははwwタメでいいって。まぁ、小学生と間違ったことは許さないから♪」
「ごめん!悪かったって…」
「wwいいよ。よし、んじゃあ、教室に行こうか!」