言伝偽りなし
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
そういえば、龍繋がりでしたね。
私はそうではありませんが、我が家は雨降らしが多いんですよ。
――この破魔矢は生涯買い換える事があませんから!!
そんな通販サイトの様な謳い文句に乗せられて買った金の破魔矢がある。
この家は生まれてから一度も離れた事が無いが、親に聞かねば分からない様な不思議な事がいくつかある。龍の置物もその一つであるが、今回は破魔矢だった。その破魔矢との出会いは、母が数ヶ月前にテレビを見ていたところまで遡る。
パワースポットを巡ろう。という特別編で、某所の破魔矢が紹介されていた。
――此処の破魔矢は特別なんですよ!! なんと、此処は馬摩勒伽を祀るお寺なんです。つまり、破魔矢の由来となった仏様を祀っているお寺の破魔矢なので、買い換える必要が、御座いません!!
なんかの通販の様だな……と思っていたこも束の間。奉納の必要がない。由来となった破魔矢、買い手の心理を擽る言い回しに惹かれ、母はその破魔矢に興味を持った様だった。
――通販するわ。
まあ、きっかけなんて物は、何処に転がっているか分からない物である。
届けられた金の破魔矢は教えの通り、箱に入れたまま玄関に向けて置かれる事となった。
朝出掛ける時も、帰って来た時も、必然的に目に入る黄金の光。幾ら強力な厄祓いの力を持っていたとしても、金造りの為に素手で触る事はなく、何時もただ視線を注ぐだけに留めていた。
その破魔矢に異変があったのは、良からぬ訪問販売に目を付けれた時の事だった。最初は警戒して出なかったのだが、その日は宅急便の予定があり、うっかり母が玄関の戸を開けてしまったのだ。
――結構です。
――今すぐお帰り下さい。
――警察呼びますよ。
そう、どうにか追い払ったその翌日、破魔矢に異変があった。
矢の尻の方。正確には羽の更に後ろ側が盛り上がっていた。別に折れ曲がったという訳ではなく、矢筈を箱の縁に引っ掛けて、さも出たそうにしていた。
母が触ったのかも知れない。その時はそう思っていた。
数週間後、何とも間の悪い事に、次は私が帰宅する時に鉢合わせをした。その上、両親は今、遠出をしている最中だった。
結局、この間と同様、此方がどれだけど言っても立ち退くことは無かったので、警察を呼んで対応して貰った。
そうして全てが終わってヘトヘトのまま、またなんの気なしに破魔矢を見ると、また異変があった。
なんと矢の先端を止めていた留め具が、ぶちりと切れていた。恐る恐る矢筈の方まで視線を走らせると、今度こそ飛び出さんと言わんばかりに、羽を箱の縁までのしたげていた。
その上、矢の方向も、明確に玄関の中心部を狙っていた。今までは落ちないよう、切っ先が壁に当たるようにしていたのに。
この不思議な話を不思議なままに留める為に、私は両親に金の破魔矢の話をしていない。ただこの破魔矢を購入した土地と、縁のある大太刀の名前を浮かべた。
「祢々切丸の様ですねぇ。何時か飛び出して、全ての厄を撃ち抜いてしまいそう」
まだここに来て僅かですが、これからも宜しくお願い申し上げます。
ある日突然、物見台を掌握し、ある日突然、消えてった龍の置物も、我が家の不思議の一つ。
これもその一つ。
破魔矢は玄関に置いて、玄関の戸に向けるのが良いです。
と言われて、その通りにしているので、大抵、行き帰りに眺めてます。
だから小さな変化も分かります。(ストーカーみたいだね)
で、最近あったこと。
矢筈が箱の縁に乗り上げてました。
もしかしたら誰が上げたのかも知れないけれども、する必要はない。
でもまあ、大したことはない。
そう思っていたら、今度は鏃を押さえていた留め具が千切れてました。
で、矢筈は羽まで乗り上げるくらい飛び出してました。
そして普段は落ちないように壁に切っ先が壁に押し付けてあるんですが、何故か今は玄関の方向いてる。
私の最近の不思議の一つです。
祢々切丸って知ってます?
祢々っていう化け物を退治した大太刀。
独りでに抜け出して、退治した大太刀。
その日本刀の様に、何時か飛び出して退治してしまいそう。という話。
厄が来る前と、来た後だから、つい、想像したんですよ。