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落ちこぼれ学生、異世界で最強になる-翼ある姉妹と挑む運命の戦い-  作者: NOVENG MUSiQ
翼なき少年と翼ある姉妹

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黒翼の少女と白翼の妹

異世界に召喚され、何もかもが新しくて予測できない現太の生活が、突然始まる。自分の力に驚きつつも、この世界に漂う異常なまでのファンタジー感に魅了されながらも、どこか不安を感じる現太。しかし、運命は予測を超えて進んでいく。

彼が出会ったのは、謎めいた黒い翼の少女ミレイ、そして人懐っこい白い翼の妹、パサラ。彼女たちの存在が、現太の異世界での生活を少しずつ明かしていく中、彼の心に芽生えるのは、異世界での新たな生活への希望や期待だろうか。それとも、未知の力に呑まれていくことになるのだろうか。

今後、異世界で現太がどんな冒険や成長を遂げるのか、彼と姉妹との関係がどう展開していくのか、物語の先を見逃すな。

 ミレイに連れられ、街の一角にある古めかしい宿屋へと足を運んだ。辺りを見回すと、やはり日本では考えられないほどのファンタジーな光景が広がっている。石畳の道、露店には奇妙な果物や小動物を売る露店主。そして通りを歩く人々の服装は中世ヨーロッパ風が多い。


「ここ、どこまで行っても異世界……だよな……」

 つぶやきながら通りを歩く俺の横で、ミレイは羽根飾りを微かに揺らしながら言う。

「あなた、思ったより動じてないのね。普通ならもっと取り乱しそうだけど」

「いや、内心は大パニックなんだけどさ……でも、何というか……こういうのにちょっと憧れがあったのかも」

 子供の頃からRPGやファンタジーは好きだったし、訳の分からない現実世界よりは、むしろここで“新しい自分”になれるかもしれない――そんな期待が心のどこかにあるのかもしれない。


 宿屋の階段を上がり、二階の一室に通される。ミレイが荷物を下ろしてソファに腰掛けたのを見計らい、俺も隣の椅子に座った。

「なあミレイ。あんたは……いや、“あなた”は、あの遺跡で何をしていたんだ? あの老人に追いかけてきた人たちも、何者かよく分からないし……」

 遠慮がちに尋ねると、ミレイは少し目を伏せる。


「詳しくは言えないの。私にもいろいろ事情があるのよ。あの老人があなたを召喚したのは確かだと思うけど、何の目的で、どんな対価を払ったのかはまだ不明。いずれ誰かが説明してくれるか、あなた自身が知ることになるでしょう」

 冷静に、でも少し苦しそうに言葉を選んでいる。どうも彼女自身がこの世界で特別な立場にあるような気がする。

「ねえ、一つ聞くけど……あなた、自分に特別な力があることに、気づいてるわよね?」

「まあ、さっきの乱闘であり得ない動きしてたし、普通じゃないんだろうなって……思うよ」


 俺は自慢じゃないが、運動テストの成績なんか常に下の方で、腕力も大してない。それがいきなり鎧の兵士を素手で倒すなんて、漫画やゲームじゃあるまいし。

「異世界から呼ばれる存在は、往々にして“破格の力”を授かるって話は聞いたことがある。でも、それがどれほどのものなのか、あなた自身ちゃんと把握してないでしょう?」

「うん……正直、どう扱えばいいのかも分からない」


 ミレイはソファから立ち上がり、窓際に歩み寄る。外の街並みを見下ろす彼女の背には、黒い翼が小さくたたまれていた。

「あれ……その翼、さっきチラッと見えたけど」

 思わず指摘すると、ミレイは少しだけ目をそらす。

「……変に思うかもしれないけど、私はこういう身体なの。あまり人前で見せないようにしてるけど」


 その翼はまるで鳥のような羽毛で覆われ、ただの飾りではないことが伝わってくる。俺は失礼を承知で訊ねた。

「えっと……飛べたりするのか?」

「小ジャンプ程度はね。でも、本格的に空を駆けるのは難しい。……それより、もう一人紹介しておきたい人がいるの」

 そう言うと、ミレイは部屋のドアを開け、廊下を振り返る。


「入っていいわよ、パサラ」

 すると、白銀の長い髪をツインテールに結った少女が、恥ずかしそうに顔を出した。白いローブをまとい、瞳は琥珀色。よく見ると背には白い翼がうっすらと見え、それがまた消えていく。

「こ、こんにちは……。えっと、私はパサラ・モントーヤ。ミレイの……妹、なんです」


 妹。二人並ぶと確かに似ている気がする。だけどミレイが黒い翼、パサラが白い翼。それに性格も随分違う雰囲気だ。

「新堂 現太です。よろしく……って、こっちの世界じゃ名前、変かもしれないけど」

「そんなことないよ。むしろ素敵だと思う。響きが異国っぽくて」

 パサラはニコッと笑う。その笑顔はミレイとは対照的に、柔らかく人懐っこい感じだ。


「あなたが異界から来た人なんだね。実は私、昔から“過去”を重んじる性質があって……あなたの世界や歴史の話を、いろいろ聞いてみたいな」

「過去を重んじる……?」

「うん。過去の記録や、残された文字を調べるのが好きなの。……あ、それと、こんなこと言うのも変だけど……私のこと、忘れないでね」

 パサラはそう呟くと、翼がほんの少し震えた気がした。何か大きな不安でも抱えているのだろうか。でも、俺が何か言う前に、彼女は「お茶でも入れてくるね」と部屋を出て行ってしまう。


「……変な子じゃないのよ。パサラは昔からちょっと“消える”ことを怖がってるだけ。翼を持つ者には、いろいろ面倒な事情があるの」

 ミレイはそう言いながら、テーブルの上に地図を広げる。そこには王都を中心にした大きな領地や、周辺の都市、さらに“危険地帯”らしき印がいくつも記されていた。

「あなたがこの世界にいる以上、何らかの形で関わらずにはいられないでしょう。……そうね、とりあえず明日から少し“力の使い方”を学んでみない?」

「力の……使い方?」


 彼女はまっすぐ俺の目を見る。コバルトブルーの瞳が揺らがずにこちらを捉えてくる。

「いきなり兵士相手に大立ち回りするような場面は、そうそう無いにしても……あなた自身、混乱しているでしょう。まずは、自分の身体に何が起きているかを知る必要があるわ。私やパサラも手伝う」

「そうだよな。じゃないと、また不意に襲われたらどうしようもないし……」


 正直、不安もある。でもここで逃げるわけにはいかない。元の世界に戻る方法だって知りたいし、いま得たこの力をうまく使えれば、何か変われるかもしれない。

 するとタイミングを見計らったようにパサラが戻ってきて、お茶を淹れた湯気の立つポットをテーブルに置いた。

「ごめん、お待たせ。現太さん、今日は疲れたと思うし、ゆっくり休んでね。明日から少しずつ頑張ろう」


 にこっと微笑むパサラの横顔を見ると、不意に胸が温かくなる。俺のためにこんなにも気遣ってくれる人がいるなんて、現実の世界じゃほとんど無かったから。

 こうして、ミレイとパサラ――黒い翼と白い翼を持つ姉妹との同居生活が始まった。戸惑いと期待を抱きながら、俺は異世界での最初の夜を迎える。

ここで描かれるのは、異世界に突然放り込まれた現太の驚きと戸惑い、そして新たな仲間たちとの出会いの物語です。異世界での冒険を予感させる中、ミレイとパサラという特異な能力を持つ姉妹と過ごすことで、現太は自分の力を自覚し、少しずつこの世界での立ち位置を見つけていくことになるのでしょう。

まだ謎が多く、力の使い方に関しても不安を抱える現太ですが、この物語は彼の成長とともに展開していきます。

これから、現太はどんな困難に直面し、どう乗り越えていくのでしょうか。そして、ミレイとパサラとの関係はどんな風に変わっていくのか?

これからの展開にどうぞご期待ください。

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