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僕のクラス全員厨二病だけど、ただの訳あり人だった件について

作者: 干芋

ノリと勢いで書いた小説です。

厨二病が出てきます。苦手な人はここでやめましょう。温かい目で読んでくれると嬉しいです!


「おい、てめぇ…何者だ」

「えっ…あぇ…」


放課後の人がいない教室。

その中で僕は片目を前髪で隠し、片手に包帯を巻いたクラスメイトの男に詰め寄られている…


(どうしてこうなったのぉ!?)

     ︙︙











僕の名前は麻村瑠衣(あさむらるい)

今年から中学1年生になる普通の男。

親の事情で引っ越すことになり、このコトメ街にやってきた。


今日から新学校で新しいクラス……

なるべく何事もないといいけど……


少しの不安も抱えながら、僕が通う新しい学校についた。作りは古く、昔ながらの昭和を感じさせる学校である。


校門をくぐり、校舎に入る。

廊下には紙が貼られており、名前とクラスが書かれていた。


えっと…1年2組…5番か

1年生の教室は二階なため、階段で上がる。

にしても…


周りを見渡す。


人が全くいないな……もうみんな教室にいるのかな…

だとしたら僕目立っちゃう!?最後に来た人ってなんか目立たないかな……


そんな不安を抱えて教室の扉までつく。

ここが僕のクラス……大丈夫…大丈夫…


意を決して教室に入る。


ガラガラガラ……ギロッ


(ひっ!)


少し悲鳴を上げてしまったが仕方ないと思う…

だって教室に入ったら、クラスの人全員いるんだよ!さらにはみんな僕の方見てくるし…!

全員話をしていたのに止めてまでだし


周りの視線にビクビクしながら、自分の席に座る。

僕は目立たないように本を出して読むフリをする。


「でさ〜!」「あははは!なんだよそれ〜」

「またそうなの〜?」「そうそうでねでね!」


(よかった…)


すぐに僕が入る前の空気感に戻った…

怖かったぁ……!


入学したばかりなのにもう帰りたい…


(にしても…)  チラ…チラ… 

なんか……なんか…癖強そう!?


周りを見てみたら、誰も癖が強そうである。

不良感がいたたまれない。


それに… チラ…


「すぴ〜すぴ〜」


隣を見てみたら、腕を枕にして寝ている黒と紫髪の人…入学初日によく寝れるね!!?


ダンッッ!!


突然、扉が開く。入ってきたのは教師であろう。


いや、そんなに扉勢い良く開けないで!!?


「ええ、皆さん進学おめでとうございます。

ここ2組の担任をさせてもらう杉原悠だ」


意外と優しそうな見た目の先生が来た!

僕は心のなかでガッツポーズをする。


「じゃあはじめに自己紹介から始めようか!

順番は…まあ適当でいいぞ」


自己紹介…!!それは、クラス全員の前でどんな人間なのかを暴露する大会のことである。


自己紹介…少しでも間違えたら、浮いてしまう…

なるべく最後らへんに軽く挨拶する感じでやろう…


ガタンッ


左斜め前の席の茶髪の男子が最初に立った。

どんな自己紹介するのかな…


「先に言っとく。お前らと馴れ合うつもりはない」

「?????」

 


…………………えっ?急な拒絶から入る人いる!?

まだ始まったばかりなのにもう孤立しようとしてる!?自ら!?


「名だけは名乗っておく、吉田だ。以上」


ガタンッ


えっ…えええええぇぇぇーー!?!?

うっそでしょ!?それだけ!?

名前言っただけじゃん!?

いいの!?君本当にそれでいいの!?

てか名字しか言ってない!名前まで言わないの!?


最初からヤバい人が来て、困惑しまくりである。


「じゃっ、次俺でいいっすか?」

ガタンッ


次の人が立った……


「ちょっと急用ができちまって…名前は酒守って言います」


へらへらした、柔らかい笑顔を浮かべている。


あぁよかった…普通?そうな人だ…


「皆さんを巻き込まないように気を付けるんで

これからよろしくお願いします」



……巻き込まない!?何に!?!?



僕はこの時点で嫌な予感がした………



あれ…もしかして……このクラス……


「我が名はグレア…いや…これは暗黒世界の名か…

この世界では…清水だ」


清水!?さっき暗黒とかどす黒そうなこと言ってたのに、名前に清らしいが入るの!?


「よかった、僕の席後ろらへんで。

いやぁ~背後取られたら間違えて…やっちゃうかもしれないからね。杉原です」


やっちゃう!?なにを!?!?

なんでそんな不敵な笑み浮かべてんの!?

いやだから名前言おうよ!?


「魔導士レルー…おっと、これは別でしたね。

そうですね…では沢田とお呼びください」


魔導士!?どこのゲーム世界の住民!?

てか、青髪!?ここ染めていいの!?校則は?!


「剣咲桜と申します。あっ、この怪我は気にしないでください。たまたま転んでしまっただけなので」


耳にタッセル付けた、絹のような長い白髪。いやモデルか!?てか転んだだけって!?腕や頭に包帯巻いてますが、どんな転び方したらそうなるんだよ!?大丈夫なの!??


「こんにちは!千佳って言います!あっ、

けど本体の方は怖がって眠ってるんだよね!

今は私!千古が代わりに出ています!!」


代わり!?眠ってる!?なに多重人格なの⁉

君それ素なの!?!?

設定の大渋滞だよ!!

こうして、半数の自己紹介が終わった


あかん…これ…()()()()()()()


厨二病、それは中学生がよく発症しやすい

普通の人とは違う行動や言動をして、

自分が特別だと思い生活したくなることである。


よくある例は、右腕が疼くや邪眼が…!!とか言って包帯や眼帯をつける。あとは自分には特別な力を持っていると思って生活するなどである。


あ゙あ゙ぁ゙ァ゙…終わったぁ……


ガタン

絶望していると隣の席の男子が立った。


ああもうだめ!見るからにヤバい!

片目前髪で隠して、片腕は包帯巻いてる!!

典型的な厨二病こじらせた人だよぉぉ!


「俺は…滴流希(てきりゅうのぞみ)って…っぁ…!」


自己紹介していたら急に顔をしかめ腕を押さえだした。


「くっそ…今じゃなくてもいいだろ……!!」


あぁ……ちゃんとした…ヤバいほうだ……

遠い目をしてしまう。


「ふぅ〜……すまない。改めて、俺は滴流希。邪神と共存してる人だ。片目を隠してるのは、邪眼が発動しないようにするためだ。以上」


わぁ〜……よくそんなことサラサラと言えるなぁ

入学初日でっっ!!!


僕は苦虫に渋柿を入れ混ぜたゲテモノを噛み潰したような表情になる。

苦しすぎて!!!


「おーい、あと残ってるのお前だけだぞー」

「えっ…」


自己紹介が終わったようだ、僕だけを除いて…

そう…最後になってしまったぁぁぁ!!!


いやいや…いいんだ…僕は普通で……

よし……


ガタン

覚悟を決めて席を立つ。


「えっと……麻村瑠衣って言います。1年間よろしくお願いします……」


「「「………」」」


ガタン…


僕が自己紹介をした瞬間、辺りに音が消えたんじゃないかってくらい、静かになった。


「んじゃ!今日のやることは終わり!帰っていいぞー!」


こうして、スタートダッシュ最悪な学園生活が始まった……



「あっ!麻村、ちょっと職員室まで来てくれないか?住所に間違えがないか確認してもらわないといけなくてな」

「あぁ、なるほど」


引っ越したばかりで、学校への手続きがまだ終わってなかったらしい。

僕は先生と一緒に職員室まで向かった。


「うわぁ…結構時間かかっちゃったな……」

廊下で独り言を呟いてしまう。


時計の針は2時を指している。


教室に道具置きっぱにしちゃったから取りに行かないと…


ガラガラガラ…


「!?」


驚いてしまったがこれは仕方ないと思う。

教室には窓から下を覗いている滴流希さんがいたからだ。


なんで帰ってないのぉ…?

早く物取って帰ろ…


ガサガサ……


ものをまとめて、空気のように流れて帰ろうとするが…


「なあ、お前さ」

「ひっ…!なんですか…」


突然僕の方を向いて話しかけてきた。

やめてくださいぃ、なにもしてないんですぅぅ

僕はすぐにへっぴり腰になってしまう。


「いや、これs…っ!!」

「えっ…?」


急に怖い顔をして、僕の方に迫ってきた。

慌てて逃げようとするが、壁に追い込まれる。

えっ?なになに、ほんとになに!?


ダンッッ!


ヒィッッッッ…!


「おい…てめぇ…何者だ…!」

「えっ…あぇ…」


僕の側の壁を蹴り、凄い剣幕で見つめてくる。

これが世にいう壁ドンなのだろうか…?

本当に怖い…!!

今すぐにでもここから逃げ出したい。

心がキュン!じゃなくて、心臓がギュッン!だよ!!


「おい…聞いてんだろ…!」


そんな事を考えていたら、さっきよりも強い圧で聞いてきた。警察の尋問よりも怖い気がする。

警察の尋問受けたことないけど……!!


「ひっ…!ごめんなさいごめんなさいっ!!」

「っ!?あっ!おい!!」


ダッッ!!


「おい!待てよ!!」


僕は教室から抜け出し、全力ダッシュで学校から離れる。普段全力で走らないため肺が破れるくらいに痛い……


「はぁはぁはぁ…げほっ…げほっ…!」


どこまで走ったのかはわからない。

急に息が苦しくなり、咳き込んでしまった。


結構離れられたかな……僕……なにかした…?

急にあんなに怒るなんて……


思い出して、すこし体が震える…

急に感情で動いてしまう人ほど怖い人は居ない気がする……

少し休もうと、物陰によっかかる。


(もう…なんで……)


「君、大丈夫?」

「えっ」


少し目をつぶっていたら、急に話しかけられる。

視界には50代くらいのスーツ姿のおじさんが立っていた。


「体調が悪そうだね、こっちに休める場所があるから、行こうか」


おじさんは笑みを浮かべて、僕に手を差し伸べてきてくれた。


「えっ…いや、大丈夫ですよ。少し休んでいただけなので。ありがとうございます。もう行きますね」


流石に知らない人についていくのは怖かったので、心遣いに感謝しながらその場を離れようとする。が…



   パシッ!!


「え……」


腕を掴まれた。目の前の人に


「あの…離してm「だめじゃないか…休まなくちゃ……」ヒュッ…!」



得体のしれない感情で、喉が震えたのがわかった。

全身から嫌な汗をどっと流れる。

気持ち悪い嫌な目線に、胃袋を握られたように吐き気が強くなる。酸素が回らなくなる。

これは……恐怖だ…


あっ……だめだ……これ…逃げなくちゃ……


ギュュュ……!!


「痛っ……」


逃げようとするが、男性が腕に込める力を強めてきた。掴まれている腕に爪が食い込み、血が流れる。

痛い………やばいやばいやばい……!!


「さぁ、行こうか」

無理矢理力で僕を狭い裏路地に連れ込もうとする。


「やめっ…!」

抵抗しようとしたが、大人と子供。

差は歴然である。


あぁ…本当に……なんで……


僕は得体のしれない恐怖に消えたくなる。

目の前がなぜか歪んでいく。

息を吸えているのか吐いているのかわからない。



バシッッ!!



「おい、そいつの手離せよ」




視界が歪み消えかかる寸前、僕を掴んでいる腕を誰かが掴む。視界がハッキリと、酸素が回る。


「あぅ……」



視界に映るのは、僕が逃げ出した滴流希さんだった…

どうしてここに……?



「なんだ君は、彼はt「おい、俺は手を離せっていってんだよ」っ!!」


バッ!


男性の掴む腕に、滴流さんは力を込める。男性は痛みに顔を歪め、僕の掴む腕を離す。

僕がどれだけ抵抗しても外すことができなかった鎖を。

解放された瞬間、すぐに男性から離れる。この時、滴流さんが僕の前に庇うように出てきてくれた。


「こいつのことを()()()()()だったのか?」


喰う…?なんのことだろ?

えっ?カニバリズムされかけた?もしかして。

僕は滴流さんの発言が全くわからなかった。

目の前の男性を除いては




「あぁ……そうだ…そうだ…そうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだ」


「ひっ…!」


さっきまで冷静そうな男性が、壊れたおもちゃのように僕達を見てくる。低い声が僕の心を蝕むような気がした。


「はぁ〜……たくよっ……」


滴流さんがとても面倒いオーラを出したがら男性に近づく。こんな時まで厨二病特有の俺すごい人間アピールしなくていいから!?


「!危ないよ滴流さんっ!早く逃げないと…「おい」っ!…なんですか……?」


滴流さんがふと、僕の方をまっすぐ見つめた。


「そこ、動くなよ」


僕はそう言われた瞬間、金縛りにあったように動けなくなった。


滴流さんが男性の前に行くと、前髪で隠して片目を出す。


「おい、おっさん。クラスのやつに手ぇ出したお前が悪いんだからな?地獄で懺悔しとけよ?あぁ…懺悔じゃなくて後悔の方がいいかもな?」


「餓鬼が!お前を喰った後、後ろのやつも喰ってやる!!!」


やばい…!!どう考えてもヤバい!!警察呼ばないと

即発一歩手前みたいな緊迫感が漂う空間。


「はぁ…、我が邪眼よ!目の前にいる人間の皮を被りし悪魔の姿をこの世に現せ!!

        真理!!!」


キュッピンッ!!

ギュアアアア!!


急に男性が、いや…男性だった何かが金切り声をあげ逃げようとしたが、それは叶わなかった。



えっ?なに??急に厨二病詠唱始まったと思ったら、男性?が急に黒い鞭に縛られた!?



男性?の体を黒い鞭で縛りあげ、動けなくさせていた。

滴流さんが、動けなくなった男性?に向けて、包帯を巻いた腕をのばす。


「我が依代に宿りし、邪神よ!目の前にいる混沌を虚空の彼方に消し去れ!!闇の深淵(ダークホール)!」


「ぐああああぁぁぁ!!」


技名を唱えた瞬間、目の前に闇が現れ男性を…いや、男性についていた何かを引きずり込んだ。




いや、自分で言っててわけわからないんだけど!?

急に異世界転生してきたような展開!?!

えっっ!?なにこれ?どゆこと!?



何かをされた男性はその場に倒れ、滴流さんは僕の方を向いた。


「あっ……」


前髪で隠されていた片目、赤いサファイヤのような瞳がまっすぐ僕のことを見ていた。


厨二病だと思ってた人が変な力を使った?

もう…なにがなんなのか…

「わからないや……」 


バタッ……


「っ!おい!」


もう…初日からなんだったんだろ…

変な厨二病ばっかり…

おまけに魔法のようなのを使う人も現れて…

全く…変な夢を見たな……



「っぅ……あぇ…」

「おっ、起きたか」


目をうっすらと開いたら、滴流さんの瞳が映り込んだ。体が重いが、ゆっくりと体を起こした。

体を起こす時、滴流さんが支えてくれた。


「大丈夫か?もうソウル・イーターで憑いてたやつは無くしといたけど」

「えっ……?ここでも厨二病…?」


またも厨二病発言…

ソウル・イーター?えっ?なにまた厨二病なの…

僕そっち系まだ興味ないよ…??

………いや……


「違う……全部本当なの………?」

「本当?なんのことだ?」

滴流さんは、わけがわからないといった表情である





あるわけない…けどもしそうなら……




「ねぇ、滴流さん…あのさ…邪眼も邪神も…全部本当なの?」




自分で聞いててすごく馬鹿らしいと感じた。

けど…目の前にいる彼が、そして、自分で見たものが夢とは思えなかった…




「ん?ああ、そうだぞ?」



カッコも付けず、ただ普通に。まるでいちごは野菜だよなと言うように。当たり前に言ってきた。


「証拠とも言えねぇかもしれないが、ほら」


ブァッン!


「うわっっ!?」


急に僕の方に手を差し出したと思ったら、手のひらから黒い鞭のような物が出てくる。


「ははは……本物だぁ………」


僕はあまりのことに体が震えた。CGなんかじゃない。そんなへっぴり腰な僕を滴流さんは何も言わず眺めていた。


「あっ…」


そんな時、自分の腕が映った。

男性にアザになるくらい強く握られた腕には包帯が巻かれていた。それも、とても綺麗に


「これ…」

「あぁ…、痛そうだったから勝手にやらせてもらったよ。邪神を使ってもいいんだが、お前は慣れてなさそうだからな…」


包帯を指させば、恥ずかしげに答えてくれた。

もしかしたら…いい人なのでは…?

僕はだんだんそう感じてきた。感覚が麻痺してきただけかもしれないが…


「あっ、そうだ…」


ズン…!!


滴流さんが僕の方に近づいてくる。

前言撤回、やっぱり怖i「これ!渡せなくてごめん!」

「へっ…?」


殴られるか、ナイフで刺されるのではと思っていたが滴流さんが出してきたのは、小さな藤色のお守りだった。

僕はそれを見て、はっとした。そのお守りは僕に馴染みのあるものだから。


「あっ…これ僕の…」

「あっ!やっぱりか!お前が職員室行くとき落としたんだよ。渡さないとかなって思って待ってたんだ」


僕はおどおどとしながら、渡されたお守りを手に受け取る。

拾ってくれたお礼を言えば明るい笑顔で返してくれた。


「いやぁ…ごめんな。ほんとは返すだけだったんだが、お前に忌が憑いてたから…」


「忌?」


滴流さんが申し訳なさそうに僕に話しかけてくれる。教室の時の圧力はどこえやらと思えるほどに…


「忌はこの世界に蔓延ってる…いわば飛んだ油だ」

「え、油??」


例えが斜め上なの来て、困惑する。


「油を使う料理とかでさ、油飛ぶだろ?飛んだ油はくっつきやすいし、さらに付いたら落ちにくい&気づきにくい。」

「はぁ…」


急に家庭的な話を出されたな…

厨二病感が薄れて主婦感が強くなったかな?


「けど、それは油を使わない人たちだ。よく使う人は油が跳ねるってわかってる。すぐに気づくことができるんだ。けど油を使わない人が多いだろ?だから気づかないまま付けっぱにしてしまうんだ」


確かに?…油って使わない人多そうだよな…

今揚げ物高いし……


「けど、汚れをそのままにするのは衛生的によくないだろ?だから洗う。その洗うのが俺の使命だ」


「わぁ……何言ってるのかよく分からないのに、なんとなく理解できちゃう……!」


もう厨二病感がほとんどなくなっていた。もっと変な言い方してくると思っていたから意外である。

結構わかりやすい説明だなと思った……


「えっと……つまり僕にその油が憑いてたから洗おうとしてくれたってこと?」

「そう!!けど……かえって怖がらせちまったな……悪い……」




あっ……




この時、僕はわかった。彼は、他人のために周りを気にせず行動できる人なんだと。

じゃないと…こんな自分が傷ついたような苦しい顔…演技でできるようなものじゃないから……


「ごめん……俺…人と付き合うの下手くそでさ……もとからこんな見た目と話し方とかで…変だってのはわかってんだけどさ……本当にごめんな」



彼の話し方を聞いていて自己紹介の時を思い出した。そういえば…話した内容に目がいってしまったけど……他の人よりも柔らかい言葉遣いだった……


僕は……偏見だけで彼を見てしまっていたんだ…

いや、しょうがないと思う…言い訳になるけど…普通、厨二病だと思うでしょ…まさか本当に力があるなんて思わないじゃん……


僕は自分の惨めさにお守りの温かさが心に刺さる。


「………じゃっ、もう変なやつは寄ってこないから。帰り道は流石にわかるだろ?」


滴流さんはそう言って、夕日の影の中に消えようとする。


あっ……違っ…


「待って!!……………ください……」


「うぇっ?!」


僕は、ここ一番の大声を出した気がした。


「えぇっと……僕!ここに来たの最近でっ!全くわからないことばかっで……さっき、僕はあなたを傷つけたぁ……だから……えぇっと……」


どうしよう…!!今まで面と向かって話すことなんてしたことなかったから上手く話せない!!


「え、あぁ…おう?一旦落ち着こうぜ?なんか息乱れてるぞ?まだ体調悪いんだよ、立たなくていいから座ろう?なっ?」


「あなたのことが知りたいんですっ!!!!」


「…………………えっ??」


時が、止まった気がした。


「僕!!嬉しかったんですっ!お守り拾ってくれたこと!これから、同じ学校で…しかも隣の席だし……ちゃんと!話してみたいです………」


最後の方は怖くて下を向いて惨めな自分になってしまった。


「…………いいのか?…俺、邪神いるぞ?」

「…はい…よくわからないけど…話してみたいです…」

「俺、邪眼持ってるけど?」

「はい……」


またも少しの沈黙。聞こえてくるのは烏の羽ばたく音だけ。


「っ…くはっ、あははは!」


沈黙を破ったのは、普通の笑い声だった。


「俺も、お前と話してみたい。」

「!!」

「俺は滴流希。邪眼を持ち、邪神と共存する者だ」

「えぇっと…僕は、麻村瑠衣…最近引っ越してきた人です…」

「麻村瑠衣か…いい名前だな!よろしくな麻村!」


明るい笑顔で僕の名前を呼んでくれる。


「えっと…よろしくね、滴流さん」



引っ越して、初めてできた話せる人は

厨二病(訳あり)の人でした。

︙ ︙









「いやぁ…けどまさか、滴流さんが本当にすごい力持ってるなんてびっくりだよ…みんなも驚くだろうね」


帰り道、僕たちは一緒に歩幅を合わせて道を歩く。


「んあ?いや、驚かねーだろ?俺がクラスにいる時点で気づいてただろうし、別に普通だろ?」

「………えっ?なにが…?」

「いや、邪神と邪眼あること。」

「………そうなの……?」


僕は、声を細くして滴流さんを見つめる。


「なあ麻村、お前クラスの奴らについてどう思ってるんだ?」

滴流さんが僕への疑問点を聞いてきた。


クラスの人たち……えっと……

「…みんな厨二病こじらせてるな…かなぁ…?」

「……麻村、少しは警戒くらいしとけよ?」

「えっ??」


滴流さんが僕の顔を見て、少し困ったようにしかめた。




「クラスの奴ら、能力隠してるの多いからリサーチくらいはちゃんとしとけよ?」




「えっ???」



滴流さんの行ったセリフに思考が固まる。

ノウリョクカクシテル?

つまりそれって……




「クラス全員厨二病(本当)ってこと!!!??」


「おぉう、びっくりした。さっきからそう言ってるだろ?」





そんなことあるぅ……???

息抜きで書いた小説。

書く気が出たらシリーズ化するかも…?しれません

追記

シリーズ化しました。短編版から連載版になりました。タイトルは変わりません。興味のある方は読んでくださると嬉しいです。

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