視界はいまだ不透明のさなか
平坂 桜はただの人だ。昔から困っている人を助けるのが好きだったけれど、それはきっと、誰かに求められたいという、僕の身勝手で気持ちの悪い願望でしかない。それが嫌で、いつしか自分から手を差し伸べることはしなくなった。誰かの救いになりたい。自分のおぞましい欲を他人に押し付けたくない。混同する心は、僕をただの人にした。
そうして生まれたただの人は、救われたいと望むのだった。
そうして生まれたただの人は、救われたいと望むのだった。
白と黒のない世界
2023/08/18 04:44