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85.見せつけろ! 僕の〇〇! ※一部杏奈視点

「ちょ、あんた何しているのよ! そんなお粗末のものいらないわよ」


 ズボンを脱いだらアンジェリーナが急いで僕のズボンを持ち上げた。何が起きたのか戸惑う僕と目を逸らす香里奈。


 そして、彼女は大きな声を出して笑っていた。


「さっき脱げって言ったのは上よ! 服のこと!」


 僕はあまりの恥ずかしさに顔が熱くなる。どうやら勘違いしていたらしい。脱げと言われたら普通はズボンを脱ぐだろう。


「この子は将来トップモデルになれるわ。初めてで潔く脱げるなんてそうそういないわよ。それよりも問題なのはあなたの言い方よ」


「師匠……」


 アナコンダ……いや、師匠のフォローに心が暖かくなる。この人ならなぜか信頼できると思ってしまう。


 三人で話していたのは、連絡が取れないモデルの代役を僕が代わりにやるという話だった。


 今回の撮影は彼女が広告モデルを務める有名下着メーカーの撮影らしい。


 "脱がせたくない下着"がテーマになっているため、絶対に相手役の人が必要という企業側の意向があった。


 彼女の希望で男性の見学を禁止しており、代役をすぐに決めることはできない中、タイミング良く来たのが僕達だった。


 確かにこの中で()は僕しかいない。


 すぐに企業側に僕のことを伝えると、なぜか下着メーカーは香里奈と僕の存在を知っていた。


 それだけ香里奈の影響もSNS上で広がっているのだろう。


 彼女と撮る写真はそこまで僕にピントが合うわけではないため、多少体型が悪くてもどうにかなるらしい。


 それだけ彼女が忙しく、予定を変えられないということだ。


 僕はズボンをしっかり履くと、今度は服を脱いだ。水泳の授業を受けたこともない僕にとっては人前で脱ぐ経験がない。


 もちろん女性経験もないため、女性達に見られることすらない。


 キャラクタークリエイトの影響もあるが、筋トレもしているため少しは見れる体になってきていると思っている。


「本当にあなたのお兄さんって隠し玉ね」


「私もあそこまでスタイル良くなっているとは思いませんでした」


「あのー、これで良いですか」


 僕は師匠に確認すると親指を上げていた。企業側のスタッフもなぜか興奮してスマホで写真を撮っていた。


 僕はアンジェリーナに最後の調整をしてもらうことになった。体にもメイクを施すことで体が綺麗に見えるらしい。


「メイクってすごいですね」


 筋肉もメイクマジックでいつもよりはっきりとわかる。


「これで筋肉がより綺麗に映るわ。本当のあなたを見せてちょうだい」


 アンジェリーナに背中を押された僕は新たな一歩を進み始めた。





 一向に男役が来なかった私は嫌気が差していた。そんな中突如現れたあの人に私の心は奪われた。


 あの時と同じ感覚。


 成長していても一目見ただけで、あの時の彼だと分かった。あんなに誰も寄って来なかった私に唯一優しくしてくれたのは彼しかいなかった。


 企業側の許可も得て、彼と撮影することが決まった。


 正直に言ってそんなに期待はしていなかった。一般人の体なんて何も管理されていないだらしない体がほとんどだ。


 彼の体を見た瞬間に今までにないぐらい胸が熱くなった。海外で見てきたモデルはどんな男性よりも輝いている。


 ただ、彼の体はモデルにしては少し筋肉は足りないが、裸で戦えるだけの体をしていた。


 それでも彼に惹かれている自分がいた。


「そっちの準備はいいかしら」


「大丈夫です」


 私は胸の高鳴りを抑えながら、撮影する場所に向かう。


「モデル杏奈さんが入ります」


 ここからはモデル杏奈としての戦いだ。


「お願いします!」


 そう意気込んだ私だが、彼の姿を見てその気持ちはすぐに折れてしまった。


「やっぱりいつになってもカッコいいよ」


 アンジェリーナの手によって施された彼はどこから見てもモデルにしか見えなかった。

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