83.情報量が多くて追いつけません
その後も会話には入れない僕は静かに座っていた。撮影スタジオはすぐ近くにあるらしく、今回撮ってくれるカメラマンはアンジェリーナの友達らしい。
アンジェリーナの友達と言われたら嫌な予感しかしないが、それは見事に的中していた。
「あらー、ガッバガバ久しぶりね」
「なによ! この間バーにお会いしたわよ」
ええ、なぜか僕の前には何ともいえない空気感が漂っている。香里奈も僕と同じで戸惑っているようだ。
「あらー、あなたが今回のモデルね。私はカメラマンの大口・アナコンダよ。気軽にアナコンダって呼んでちょうだい」
まさかの大口さんではなく、アナコンダさんらしい。キャラの濃い人物に僕は固まってしまう。
「ふふふ、そんなに固まっていると私のアナコンダが食べてしまうわよ」
そんな僕に彼女?は抱きついてきた。足元に当たる何かに僕は身の危険を感じる。
「あんたそうやってモデルをいじめるのやめなさい! ただでさえあなたに付いているのはアナコンダなんだから引くわよ!」
アンジェリーナはアナコンダの頭を叩くと、二人で大声で笑っていた。それよりも僕の中で気になったのは彼女の股間に付いているアナコンダだ。
「これから師匠と呼ばせてください!」
僕は彼女に頭を下げた。鏡の中に行っても大きくならない[◯長]を彼女なら解決できるのかもしれない。
「いいわよ! 私に付いて――」
「ちょっと私の大事なお客さんでモデルに何やってくれてるのよ! 香里奈ちゃん、お兄さんの躾を頼んだわよ!」
アンジェリーナはアナコンダを連れてどこかへ行ってしまった。せっかくサイズアップについてアドバイスをもらうチャンスを逃してしまった。
「お兄ちゃん大丈夫? 今日頭おかしいよ?」
どうやら香里奈からは頭がおかしいと思われているらしい。流石に妹の前でコンプレックスの話はできないから仕方ない。
妹の前では頼れる兄のままでいたいのが本音だ。僕達は二人が帰ってくるまで、近くの椅子に座って待つことにした。
「もう! みんなどこに行ってるのよ!」
そんな中、奥の部屋から下着姿の女性が歩いてきた。高い身長にすらっと伸びた手足。顔立ちはどちらかといえば綺麗と言われるような人だ。
ショートカットのため、尚更顔が小さく小顔に見える。
生きていた中で、人生で一番綺麗な人に僕は目を奪われてしまった。
「お兄ちゃん見たらダメ!」
そんな僕の目を必死に香里奈は塞ごうとするが、すでに彼女の姿は見えている。
「あっ、あなたが私のモデル相手ね! 何時間遅刻しているのよ! しかも、撮影現場に女連れってモデルとしての仕事を舐めているわけ?」
何を言っているのか僕と香里奈は困惑していた。それでも彼女はどんどんと近づいてくる。
「お兄ちゃん絶対見ちゃダメ!」
「見たらダメってどういうことよ! モデルは体を見せる仕事なのよ。あなたもそんな惨めな嫉妬せずに退きなさい」
彼女は香里奈を退かすと僕の顔を見て、目を何度もパチパチとしていた。
初めて見た女性の下着姿に僕は急いで視線を逸らした。だが、彼女はそれよりも上手だった。
「やっと会えた!」
いつのまにか僕は彼女に抱きつかれていた。椅子から立てない状況でも、僕の体の一部は立ち上がっていた。
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