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77.やつはどこだ!?

 必死な顔で治療している香里奈の顔につい笑ってしまう。


「お兄ちゃん笑わないでよ! 変に皮膚がくっついたらどうするのよ」


「ああ、それは申し訳ない」


 流石に元に戻らないと言われれば真顔になるしかない。せっかく痩せたのに、顔に大きな傷ができれば、今度はそれが原因でいじめられるだろう。


「ぷっ! お兄ちゃん今のは嘘だよ?」


 そんな僕の顔を見て、香里奈は笑っている。そんな中僕にしか見えないように、香里奈の後ろにいるシズカも真顔で対抗してくるのはやめてほしい。


 ゴブリンって笑わないとただの顔が怖い人だ。


「終わったから手裏剣取りに行ってくるね」


 治療を終えた香里奈は家の扉に刺さっている手裏剣を抜くと、意外と重たいことに驚いている。


 ゴブリンの棍棒やシズカが持っている金棒を基準にしていたが、手裏剣も割りかし重い方なのだ。


 手裏剣が勢いよく戻ってくると、簡単に穴が空いてしまう。すでに玄関の扉に大きな空いていた。


「お兄ちゃんお金使うね!」


 香里奈は軽く穴を撫でると、逆再生するように穴が徐々に塞がれていく。


 魔法で直しているのかと思ったが、建造物を損害させた時はお金を支払うことで元に戻るらしい。


 今頃になって知らないシステムに気づいていく。


 手裏剣を回収すると、ビッグホーンラビットの討伐に向けて歩き始めた。ちゃんと隊列を崩さないように移動するが、僕の出番は無さそうだ。


 シズカが金棒を振り回せば一撃だし、香里奈の簡単な魔法でも当たれば一瞬で魔物は消えてしまう。


 唯一の出番は空中に浮いている、イーヴィルアイを撃ち落とすぐらいだ。そのイーヴィルアイもシズカがトドメを刺してしまう。


 俺は戦っている二人を横目に警戒しながら、ビッグホーンラビットを探した。


 名前にビッグが付くぐらいだから大きいと思ったが、全く見つからないのだ。


「二人ともビッグホーンラビットはいたか?」


 僕は戦い終えた二人に声をかけるが首を横に振っていた。どうやら戦っている最中に襲ってくることもなかったようだ。


 ホーンラビットは雑食で見た瞬間に襲ってくるような魔物のはずが、新しい魔物は違うのだろう。


 僕はそんなことを思いながら壁に寄りかかると、体が少しずつ埋まっていくような感覚がした。


「お兄ちゃん!?」


 咄嗟に僕の腕を香里奈とシズカが掴み引っ張ろうとするが、体に力が入らずどんどん沈んでいく。


「お兄ちゃん頑張って!」


 踏ん張ろうとしても力が入らない。疲れた時に布団の中にダイブした時の感覚に似ている。


『あんた、早く力を入れなさいよ!』


 シズカも必死に声をかけてくれるが、瞼が勝手に閉じていく。


「二人ともおやすみ」


 僕は謎のもふもふに埋もれるまま目を閉じた。

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