74.ヒロインは今日も誘惑します
「ねぇ、お兄ちゃん本当にやるの?」
「ああ」
『さぁ、私を思う存分使うのだ!』
シズカさん……流石にその言い方だと誤解を招くだろう。
スキルの確認を終えた僕達はシズカにあることを試そうとしていた。
それにはあるスキルが関係していた。
♢
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[スキル] 合成
[ランク] UR ★☆☆☆☆
説明 装備、アイテム、素材、魔物を合成することができる。値は張るが合成素材を両手で持ち願うことで合成される。出来る物はDEX、LUKに影響される。
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初めはURと言えば、CMでもやっている賃貸住宅かと思ったがスキルにレア度が存在していた。
Rスキルは本当にレアスキルだった。得られるスキルがランダムなのは、僕の固有スキルが関係しているらしい。
ここまできたらランダムとレア両方の意味合いがあるのだろう。
香里奈にスキルについて確認すると、基本的に使い続けていると☆が★になることで、色々効果が増えていくらしい。
他にもスキルの習得条件として、同じ行動を続けると体が覚えていく。いわゆる慣れみたいなものでスキル化していくことがある。
スキル:逃走がその結果らしい。ちなみに香里奈が習得しているスキル:大逃走は逃走の上位スキルで、敵がいなくても早く逃げられるようになる便利スキルだ。
あとは他のRスキルである"反映"も思ったより有能なスキルだった。
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[スキル] 反映
[ランク] SR ★☆☆☆☆
説明 ステータスを様々なものに反映できるようになる。適当されるのは、スキルとテイムした魔物のステータスのみ。
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このスキルのおかげで、現実世界でもスキル:逃走の恩恵を受けていたことが分かった。シズカのステータスの一部が僕に足されていたのもこのスキルの影響だ。
"様々なもの"ってところが引っかかるが、それはレベルが上がるまでの楽しみにしておこう。
♢
早速ビッグホーンラビットを倒しに行こうと、装備を準備していたら、近くにあったゴブリンの耳を香里奈はスマホで撮影していた。
今まで勝手に増えたゴブリンの耳などの素材は魔物を強化する素材や武器を作る素材になることが、香里奈のスマホ鑑定で発覚した。
ひょっとしたらと思い、玄関の前でニヤリと待機していたシズカに触れると、合成をするかどうかの声が聞こえてきたのだ。
合成対象に魔物と書いてあったが、やはり強化という形で合成ができることがわかった。
もし、これで本当にシズカを強化できれば戦力アップとともに僕も相対的に強くなることができる。
「私の時はこんな素材がなかったから、どうなるかわからないよ」
「そうだよな。やっぱりやめた方が――」
『私は別に嫌って言ってないんだからね!』
ツンデレ要素を発揮する場所を間違えてる気もするが、本人が良いって言うなら気にしない。
僕はシズカにそっと触れる。
『あん♡』
「あっ、ごめん!」
急いで手を離すとジト目でシズカは僕を見ていた。そんな声を出されるとは思いもしなかったのだ。
「ほら、お兄ちゃんがやるって言ったんでしょ!」
香里奈は僕の手を掴むとシズカの上に置く。妹は僕と違い容赦ない。
『んっ♡』
だからその声はどうして出るんだ。
頭の中がシズカの声で惑わされてしまう。
【変態な主様。1万円で合成しますか?】
どこかデジタル音声も僕を馬鹿にしている気がする。そんなことは忘れて勢いよく頷いた。
【合成開始します!】
手元にあるゴブリンの耳とシズカが輝き出す。
『ああああああん♡』
シズカの口からは「グキャアアアア」としか聞こえないが、香里奈のスマホからはなんとも言えない声が聞こえてきた。
それと同時に香里奈はスマホを見てシズカのステータスを確認する。
香里奈は特に気にならないのだろうか。それともテイムしている僕だけが聞こえている声なんだろうか。
【合成失敗しました】
「えっ?」
僕と香里奈は同時に声を発する。あれだけ艶めいた声を聞かされたのに、シズカの合成はまさか失敗に終わった。
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