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70.新たな方向性

 自分の気持ちを伝えると休み時間に毎回来ていた優樹菜は来なくなった。やっと平凡な毎日が送れると思ったが実際はそうはいかない。


「駒田って体弱かったから体育を休んでたんじゃなかったのか?」


「心臓の病気を持ってたんだけど、今は落ち着いているよ」


「それで久しぶりに走ったら持久走1位になるのか」


 教室で体操服に着替えていると、右隣の席にいる鎌田が声をかけてきた。前から話したかったと言っていた彼は剣道部の主将らしい。


 スポーツテストの時に持久走で抜かされたことが、きっかけで声をかけたいと思ったらしい。運動部として負けたのが悔しいのだろう。


「それにしても一段と廊下がうるさいよな」


「みんな前から騒がしいよ?」


 休みの時間の廊下は基本的にうるさいのは当たり前だ。隣のクラスに友達が居たりすると、みんな廊下で話しているのが当たり前だ。


「いや、駒田と比べたら誰だってうるさいけどさ」


 どこか失礼な気もするが、確かに静かなのは合っている。性格上あまり目立つことにも興味はない。ただ単に毎日が平凡に何事もなく終われば良いと思う。


 着替え終わった僕達は教室から出ようとすると、外にいる女子生徒達と目が合う。


「お前ら覗いてただろ!」


「減るもんじゃないから別にいいでしょ!」


 外が騒がしかったのは、僕達の着替えを覗いている人達が集まっていたかららしい。


「何々、俺の裸でも見に来たのか?」


 いつのまにか後ろには工藤が立っていた。関わることはなくても、前みたいなギスギスした感じは減った。


「工藤くんってモテるんだね」


 そんなに工藤が人気だとは僕は知らなかった。身長が僕とあまり変わらないし、筋肉質でスポーツもできれば好かれるのだろう。


 確か小学生の時に足が速い人が好きって言っていた女の子もいた。


 鏡の世界に行ったら足が速いだけで、生存確率も上がるため、足の速さは重要になってくる。


 そう思うと魅力の一つだろう。


「やっぱり駒田って抜けてるよな」


「俺はそういうところが気に食わない」


 別に工藤に好かれたいわけでもないため、気に食わないなら関わらなければいいだけだ。それなのになぜことあるごとに声をかけてくるのだろうか。


 そう言って工藤は運動場に向かった。


「なぁ、体育の前に連れション行こうぜ」


「連れション?」


 聞き慣れない言葉に僕は首を傾げていると鎌田は笑っていた。


「ははは、やっぱ駒田は面白いな。一緒にトイレに行こうってことだ」


 トイレに一緒に行ったことない僕にとっては、生まれて初めての連れション経験だ。そもそもトイレって一人で行くものだ。


 授業中にトイレに行きたくならないように、せっかくだから一緒にトイレに行くことにした。


 二人揃って便器の前に立つ僕達。自然と体の力が抜けてくる。


「それにしても着替えを見て楽しいのか?」


 僕の言葉に鎌田の目は点になっていた。そんなに驚かなくてもいいが……。


「本当に高校生なのか? 誰だって覗きたいだろ」


「いや?」


「かあー! それでも思春期の高校生か!? みんな駒田の腹筋が見たかったんだぞ」


 そう言って先にトイレを終えた鎌田は、僕の服を捲りお腹に触れる。


「おい、ちょっと待って――」


 あまりにも急に触れるためくすぐったい。それを見ていた鎌田はニヤリと笑っている。


 その姿がどこかシズカと似ていた。


 これって……。


「おりゃおりゃ!」


「あははは!」


 鎌田は僕をくすぐり出した。あまりにも急にくすぐるため、おしっこも止まってしまう。


「ちょっとやめてくださいよ!」


 僕が鎌田に怒ると彼は止まっていた。さすがにくすぐるのはダメだとは言わないが、タイミングがあるだろう。


 そんな彼は優しく僕の肩に手を置いた。


 その手はさっきまで自分の股間を触っていて、まだ洗っていない右手のはず……。


「駒田でも未熟なところがあったのか。大きさが全てじゃないしな」


 そう言って鎌田は手を洗いに行った。


 大きさが全てじゃない?


 何を見てその言葉が出たのだろうか。


 何を見て……ナニを見て……!?


「お前僕のチ○コのことを言っているのか!」


 今まで隠していた小ぶりな息子をクラスメイトに見られてしまった。僕は改めて鏡の中に行って、魔力にもステータスを振ってみようかと決意した。

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