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57.スポーツテスト

 ついにスポーツテストの日がやってきた。体操服がない僕は普通のジャージを着て参加している。体育の授業に少しずつ測定すればいいものの、この学校では全校生徒で一日かけて一気に測定するため、体育祭に近い雰囲気だ。


 しかも、競技ごとにこの学校のTOP3の順位が掲示される。そこに一つでも名前が記載されれば、学校の食券が一週間配られる。


 運動部や運動好きには良いが、僕みたいな運動もできずお弁当を食べている人にとっては何も魅力を感じない。


「おい、駒田!」


「ん?」


 僕は誰かに声をかけられ、振り返るとそこには体育教師の原田がいた。


「せめて長座体前屈だけでもいい。3位以内に入ってくれ! 俺の給料(・・)がかかっているんだ!」


「給料ですか?」


「ああ、俺の給料は全額お前に賭けたから、勝ってもらわないと――」


「はいはい、原田先生は測定の準備に行きましょうね」


「むむむ」


「あっ、ちなみに私も駒田くん推しだから頑張ってね」

 

 原田は他の体育教師に口を塞がれ連れていかれた。体育教師間でも何かしらの賭けをしているのだろう。


 今日は基本的に男女に分かれてクラス間で移動することになっている。そのためいつもベタベタくっついてくる優樹菜がいないのは、僕にとって至福のひとときだと思っていた。


 だが、世の中そう簡単にはいかない。


「スポーツ万能の俺がお前を惨めにさせてやる」


 なぜか隣には工藤がいた。朝からずっと対抗心を燃やしている。


「きっと遅いから大丈夫だよ」


「けっ! 勝負に乗らない男は漢じゃないな」


 そう言って彼は待機場所に向かう。その後ろを追うように僕もついていく。


 初めの競技はハンドボール投げだ。もちろん前までの僕なら10mぐらいしか飛ばなかった。だが、力が強くなった今はどうなるかわからない。


「48mです!」


「おー、さすが工藤だな」


 計測している先生の声に生徒達はざわつく。工藤は鼻高々に僕のところに戻ってきた。


「お前の投げるところ見ていてやるよ」


 なぜそんなに対抗心を燃やしているのかはわからないが、やはり彼女が関係しているのだろう。


 数人投げ終わると僕の名前が呼ばれた。ハンドボール投げなんてスポーツテストの時ぐらいしかやったことがない。


「お願いします」


 僕は近くにいる人に声をかけて円の中に入る。片手でボールを掴み大きく投げた。感触としては今までの中で一番良いだろう。


「きゃー!」


 ボールは遠くを目指して飛んでいく。なぜか投げた瞬間に女子生徒達の黄色い声援が聞こえてきた。遠くから他の生徒達が見ていたのだろう。


 変な方向に飛んでいったのかとびっくりしてしまった。


「23mです」


 結果としては大満足だった。僕の中で+13mはかなり伸びている方だ。


 僕が待機場所に向かうと工藤はニヤニヤとしていた。そんなに僕に勝って嬉しいのだろう。


「さすがだね」


「くっ、結果は勝ったけどどこか負けた気がするな」


 さっきまで喜んでいた工藤は、なぜかさらに燃え上がっていた。


 そのまま燃え尽きてくれればいいのに……。

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