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55.優樹菜の呼び出し ※優樹菜視点

 日向にリンチされると覚悟を決めて行ったが、話は嫌がらせに対してだった。彼女は自分のせいだと謝っていたが、ほとんどが僕のせいだと思っている。彼女がきっかけかもしれないが、あの二人が僕のことを気に食わないって思っているのは事実だ。


 自分でどうにかするしかないとわかっているが、どうしたらいいのかもわからない。どうすることもできないあの場に戸惑い、僕は逃げてきてしまった。


 教室に戻るとさっそく優樹菜に声をかけられる。


「あれ? 駒田くんと一緒に食べようと思ったのにどこに行ってたの?」


 そういえば、2年生の時は優樹菜と日向は常に一緒にいた。それなのに彼女は今日体育館裏で昼食を食べていた。


「佐々木さんとは食べなくていいんですか?」


「日向? ああ、私日向とは友達辞めたの。正直ギャルの私と、真面目な日向だと合わないでしょ?」


 何が理由で彼女と絶交したのかはわからない。ただ、そんなに簡単に友達を辞めるって言えるものなのか。


「それに日向は駒田くんに謝れば気が済むと思ってるんだよ? 私ならずっと一緒にいてあげられるし、あの二人には口を利かせられるしさ」


 優樹菜は奥にいた植村と工藤を指差していた。彼氏がいるのに、僕に話しかけるからまた工藤が睨んでいる。


 そもそも一緒にいてあげるって言われる筋合いもない。情けをかけられるぐらいなら、あと一年一人で生活すればいいだけだ。


「兵藤さんは――」


「なに?」


 優樹菜は僕の手を握り、胸を押し付けてくる。上目遣いで大きな胸を見せつけられても、僕の中で彼女は牛女にしか見えない。


 今にも殴りかかってきそうな工藤が少しかわいそうに見えてきた。


 彼女のどこが好きなのかと聞きたいぐらいだ。


 あっ、きっとゴリラもあの胸には勝てなかったのだろう。


「もっと友達と彼氏を大事にした方が良いよ」


 優樹菜の手を振り解き、僕は自分の席に座った。工藤になにかされると思ったが、植村とニヤニヤして特に何か起きたわけでもなかった。





 授業が終わり、私は植村と工藤を呼び出した。私は私なりに駒田のことを解決するつもりだ。工藤は私に呼ばれて嬉しそうだったが、植村がいることに気づき、自分だけではないことに気づく。


「ねぇ、駒田に対してのあれって何?」


「あれってなんだ? な?」


「特に俺達は何もしてないぞ?」


 昨日は髪の毛を掴み、今日に限っては机をどこかへ隠していた。この二人が駒田のことを気に食わないのは二年生の時に気づいていた。


 あれから駒田は不登校になったが、三年生になった頃には別人になっていた。


 いや、どちらかといえばほぼ他の人だ。今まで見てきた男の中で一番かっこいいと思うぐらいだ。


 初め見た時は全然気づかなかったが、日向が"駒田(・・)くん"と呼んでいる時に駒田だと気づいた。


 それからアピールしても全く気にする素振りもない。目の前にいる工藤なんて一回やっただけで私に付き合いたいっていうぐらいだ。


 工藤も学校の中ではかなりのイケメンに入る分類だ。ただ、脳筋だしとにかく性欲が強い。そんなやつと付き合える女子高校生なんて少ないだろう。


「何もしていないわけないでしょ! 私の邪魔はしないでくれる?」


 私は駒田を自分の物にすると決めている。あの時から私は駒田の見た目に魅了されていた。


「駒田に直接の何もしなければいいんだよな?」


「ええ、そうよ」


「わかった。約束する」


 工藤は脳筋だから信用できないが、植村なら大丈夫だろう。親も優秀な議員って聞くぐらいだから、変なこともしないはず。


 私はこれで駒田とずっと一緒にいられると思っていた。

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