29.マッチョになりたいやつは集合せよ!
合成を手に入れたことで合計で7ポイントも引かれてしまった。
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《ユーザー》
[名前] 駒田健
[種族] 人間/男/童貞
[年齢] 17歳
[身長] 165cm
[体重] 65kg
[◯長] 最大5cm
《ステータス》
駒田 健 Lv.10
[能力値] ポイント3
HP 18 (-2)
MP 17
STR 16 (-2)
INT 0
DEF 10
RES 0
DEX 13
AGI 14 (-1)
LUK 1 (-2)
[固有スキル] キャラクタークリエイト
[スキル] 逃走、急所突き、合成
[称号] ホーンラビットの殺戮者
幸運の持ち主
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「どれに振ろうか迷うな」
HP、STR、AGIは現実世界の身長と体重にも関わってくるため、きっと現実世界に戻ったら、変化も出てくるのだろう。
いつもならある程度適当に振っても構わないが、元々ステータスが低いところからさらに下がったことで、躊躇して決めることができない。
スキル"急所突き"を手に入れたことで、クリティカルヒットが出る確率が高くなるかもしれない。そうなると、LUKは後回しでも問題はないだろう。
「あのゲームでも"いのちだいじに"って作戦があるぐらいだしな」
ここは逃げることを優先にHPとAGIの数値を元に戻した。
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《ステータス》
駒田 健 Lv.10
[能力値] ポイント0
HP 20
MP 17
STR 16 (-2)
INT 0
DEF 10
RES 0
DEX 13
AGI 15
LUK 1 (-2)
[固有スキル] キャラクタークリエイト
[スキル] 逃走、急所突き、合成
[称号] ホーンラビットの殺戮者
幸運の持ち主
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ステータスを振り終わったら確認するのは、やはり新しい武器である"ゴブリンの棍棒"だ。下駄箱の上に堂々と置かれた棍棒。
隣にあるゴブリンの首飾りも楽しそうに見ている。なぜ楽しそうに見ているって感じたのかはわからない。直感でなぜか浮かれているように感じたのだ。
詳細情報を見るために棍棒を持ち上げる。
「重っ!?」
あまりの重たさに床に棍棒を落とした。玄関にできた凹んだ穴を見て絶叫する母親の顔が思い浮かぶ。
転がる棍棒の手持ち部分にQRコードを発見した。スマホのカメラ機能を使い情報を読み取る。
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[装備品] ゴブリンの棍棒(武器)
効果 STR +8
説明 ゴブリンが持っている棍棒。重さはゴブリンの体格に合わせたサイズで約35kg。この棍棒を振り回せるようになったら、立派なゴブリンになった証だ。
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説明文を読むとなぜゴブリンの首飾りが楽しそうにしているのかわかってきた。それは最後の一文にある"立派なゴブリンになった証"ってところだろう。
「おい、お前僕を見て笑っていたんだろ!」
首飾りに怒って声を上げる僕。それでも連なる赤い瞳は一つも僕の方を見ようとはしなかった。
確かに35kgもある棍棒を振り回せたら、あれだけ小さな体でもマッチョになるのだろう。
ただ、戦うことに適していないのは誰から見てもわかる。これだけ重くてもSTR が+8しか上がらない。
トングと重さを比べなくてもその差は歴然。トングは簡単に持ち上がるのに、棍棒は踏ん張らないと持ち上がらない。
【武器を合成しますか?】
脳内に聞こえるデジタル音に再び驚かされる。今日は一日に何回驚けば良いのだろうか。
左手にホーンラビットのトング、右手にはゴブリンの棍棒。まさか武器を両手に持つことで"合成"が発動するとは思いもしなかった。
「ぜひ、合成をよろしくお願いします」
せっかくだからとデジタル音に向かって合成をお願いした。重くても強い武器が出来れば問題はない。
そう思った僕の考えが甘かった。
【合成には10万円必要です】
「……」
【合成には10万円必要です】
前回得た大金は現実世界に持って帰るのではなく、本来はここで使うものだったらしい。結果、合成はお預けとなった。
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