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27.秘密の共有

 鏡の世界から戻ると身長+1cm、体重-1kg変化していた。ゴブリンをたくさん討伐したからなのか、クリティカルヒットを狙っていたからなのか、条件はわからないが新しいスキルを手に入れた。


――スキル"急所突き"


 他にも装備品として"ゴブリンの棍棒"を手に入れた。これでどう変わるのか次回行った時が楽しみだ。


 またあいつら(・・・・)を殺すことができる。


「お風呂場にお金を持ってきてどうしたの?」


 突然の声に僕はびっくりしてしまう。戻ってきたばかりの僕の右手には大金が握られていた。その額は合計13万円だ。起きて顔を洗いに来た香里奈は僕を怪しい目でみつめる。


 装備品かアイテムを狙っていたが、特別報酬としてお金をたくさんもらった。高校生が持ち歩く額じゃないため、どうしたら良いのかもわからない。


「あー、へそくりを隠す場所を探していてね。これは言ったらだめだからな」


「ふふ、お母さん達には内緒の秘密だね」


 咄嗟に出た嘘も香里奈は笑って流してしまう。ゴブリンの首飾りを装備していないのに、ゴブリンを駆り続けていて少し疲れていたのだろう。どこか心の奥にあった本来の僕が引き戻されるような感覚がした。


「実は私もお兄ちゃんに秘密があるんだ」


 嬉しそうに話す香里奈につい笑ってしまう。この年になって秘密の暴露大会でもするのだろうか。


「彼氏でもできたのか?」


「はは、そっちの方が恥ずかしくて言えないよ」


 別に家族に恋人ができたって言えないのだろうか。一生独り身を覚悟している僕からしたら、彼女ができたらすぐに報告しているだろう。


 きっとあの母親ならお赤飯を炊くとか言いそうだ。


「実はね……第一志望校に合格しました!」


 香里奈は一度第一志望校に落ちたことを知っていた。どこを受験していたのかまでは聞いていなかったが、まだチャンスがあると言っていた。


 きっと二次募集で合格したのだろう。


 僕が鏡の中に行っている時も、いつも遅くまで電気がついているのを知っていた。家族が寝静まるのを待つと、どうしても夜中から朝方にしかあっちには行けないのだ。


「それでどこの高校に行くんだ?」


「ふふふ、それは秘密!」


「えっ?」


「だからそれが私の秘密なんだよ」


 僕の顔を見て香里奈は笑っていた。相当間抜けな顔をしているのだろう。教えてもらえると思ったが、そこを秘密にされるとは思いもしなかった。


「だって今教えたら私の可愛い制服姿のお披露目が楽しみじゃなくなるでしょ?」


 きっと制服を着た姿を見て驚かしたいのだろう。実際に中学生の中でもスタイルは良いし、その辺の芸能人にも負けてないレベルだ。


 香里奈は昔から可愛いからな。兄として誇りに思う。


「ああ、そうだな。香里奈が着たら何でも似合うと思うぞ」


「またそうやって適当なことを言う! お兄ちゃんの馬鹿!」


 顔を洗い終わった香里奈は恥ずかしそうに洗面脱衣所から出て行った。顔を洗い終わった後の顔はどこか赤く染まっていた。


「何か間違ったことを言ったのか?」


 僕も鏡の中で疲れた体を癒すために服を脱ぎ、浴室に向かった。

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