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転生悪役令嬢は物語の強制力に飲み込まれちゃったので無双する事にした。

あのねえー、マルタは可愛い顔をゆがめて私に言い放った。


王立ガーネット学園の中庭、いつも賑わっている中庭になぜか二人きりだ。


「あのねぇー、アンタも転生者でしょ?だったらわかっていると思うけど、物語の強制力があるんだからね。いくら頑張っても大きなストーリーは変らないのよ!」


「だから、もうあきらめて消えてくんないかな」マルタが私の右肩をドンと押す、思わずよろめく。

「だいたいアンタ、ブスだしね」続いて左肩を押された。

「日本人のままの顔じゃんハハハ、可笑しい」両手で両肩を押されて尻モチをつく。


ブスって言われた。ゆるさん。

それでもって強制力あるから消えれんのよ、バカだからわかんないのかな?



「ロベルトさまと結婚するのは私、あんたは何をしても強制力で3カ月後には国外追放だからね!」

マルタが指さして嘲笑う。


ここは、私が転生前、まだ中村ひろみだった時に大ヒットした。『聖少女マルタが星をつかむまで』の物語の世界、その物語のアイリーン・グーツァイト公爵令嬢に転生した。

『聖少女マルタが星をつかむまで』は、ネット小説から書籍化してコミカライズからのアニメ化と映画化、キャラのガチャもあった。買った。


ロベルト第一王子押しだった、二次創作にも課金した。


6歳の時に鏡見て、『あれ?私日本人やん』って思い出してはや10年、現在16歳。

アイリーン・グーツァイト公爵令嬢って悪役令嬢やんって思い出した時、かなーり修羅場やった。


今まで色々やったよ、色々やった。


わがままなんて一切言わない、勉強もした。

ストーリーから逃れるためにマジで頑張った。


でも、全然ダメ、ロベルト様と婚約する事になったし、王立ガーネット学園に通う事になったし、極めつけが、やってもない虐めをやってる事になってる。


「マルタ、マルタ、どこにいるんだい?」ロベルト様の声がする。

「アイリーン、何をやっているんだ」声が険しくなる。「またマルタを虐めているのか!」


「マルタ大丈夫かい」ロベルト様がマルタを優しく引き寄せる。

「ロベルトさまぁぁ怖かったですぅ~」マルタがにやりと笑う。


マルタ、目ぇ突いたろか思う、突かへんけどな。


どっから見てもこっちが虐められてるやん、尻モチついているやん私。

ロベルト、おまえの目は節穴か!

ずっと節穴かって思ってたし節穴なんだろーけど、これが強制力か、へぇー、ふーん。


マルタの腰、なに引き寄せてるねん、まだ私が婚約者やぞ、浮気やんそれ、とは、言わない。

言いたいけど、言うとね。

「嫉妬に駆られて言いがかりつけるとは何たること」とか言うねん節穴が

ロベルトめんどくさい。

何回も同じ事あってね、だからもう言わない。


「アイリーン様ぁ、あやまってくれたらぁゆるします」

「マルタ・・・君は優しいね。アイリーン!マルタを見習え!」


立ち上がってスカートパンパンする。

お尻のとこパンパンして、さっきまで尻もちついてましたよーって強調してみる。


「アイリーン、罰として明日から3日間の自宅謹慎を命じる」

「ロベルトさまぁぁ、アイリーン様がぁ可哀想ですわぁ」


スカートパンパン無駄だったな。


なるほど、やっぱり強制力か・・・、なるほど、なるほど、ふーん。


マルタの小さい「ぁ」はらたつ、女子に嫌われるん、そういうとこやぞ。


『聖少女マルタが星をつかむまで』で、私、アイリーン・フォン・グーツァイト公爵令嬢はマルタを虐める悪役令嬢で、ロベルト王子の婚約者だ。

嫉妬にかられてマルタを虐めまくって最後には暗殺しようとして国外追放を申しわたされる。


現実はね、マルタになーんもしてない、されている方なのに虐めてる事になってしまう。

『聖少女マルタが星をつかむまで』物語のマルタのサクセスストーリー通りに進んでいる。


途中でね、強制力だなーって気がついていたよ、私も、うん、でもあがいた。

やれる事、やれるだけやってみようと頑張ったけど。


このままだったらやっぱり強制力で3カ月後卒業パーティでの国外追放は逃れられないって事だね。


よし、わかった。



()()()()()()()()()()()()()()



何をしても3カ月後に国外追放、と、い・う・事・は。


3カ月間やりたい放題してもおとがめなく、3カ月後の国外追放で国外へ逃げちゃえるって事ですよね。


よし。





「パパ、ママ、ただいま帰りました。ミッションAを遂行でお願いします。」


6歳で転生を思い出した時にパパとママに相談した。

怖すぎて泣きながら相談した。

国外追放される悪役令嬢の記憶は6歳には厳しすぎる。普通泣くわ。


「ミッションAの準備は万端だアイリーンちゃん」パパがギュってしてくれる。

「私たちがついているわ」ママもギュってしてくれる。


振り向いて、第二王子のルドルフに微笑む

「ルルくん、私ブスって言われた。」これ忘れへんやつな


ルドルフが目を見開く「アイリーン嬢の夜の海のような黒髪としっかりした黒い眉は夜の女王のようで、三日月をより一層細めたような神秘的な目と控えめに鎮座するスミレのような鼻は雪空を舞う妖精のごとく美しく、控えめに言ってもこの世のものとは思えぬほどお綺麗でお可愛らしい」

ああ、気持ちいい。

気持ちええわ~。


なんでか転生前の容姿に生まれてしまってたけど、この世界観の中で日本人の容姿はこんな感じらしい

一重瞼の平たい顔族はこの世界観に転生したらモテモテやで。


ルドルフが剣の柄に触れる「誰がアイリーン嬢にそのような?」

「ルルくん、ミッションAスタートや」


公爵家総力をあげ、Xデー目がけて潜伏し、任務を粛々と遂行していく。


<通信局掌握完了です>

<王国陸軍掌握完了です>

<聖塔教会掌握完了です>


もう、国ごと乗っ取ったるねん。


国盗り物語や!



3か月後の王立ガーネット学園のパーティがやって来た。


ロベルト王子涙目で私を断罪している。

ああああ「アイリーンと婚約破棄を行う、そして新たな婚約者を紹介しよう」うううう

そりゃーそーだwww

第二王子のクーデターが起こっているのに、現在進行形で王位を乗っ取られているのに

強制力でパーティやめられないんだもん、泣くよな。


私を断罪している場合じゃないし新たな婚約者紹介している場合でも無いよね。面白いわ~。


マルタ顔面蒼白。

マルタの前に躍り出て「ねえ今どんなきもち? ねえねえ」ってやりたいわー。

やらないけど。


マルタがくがくぶるぶるしてる。


ほら、そこは、ロベルトにすがって「アイリーン様がぁかわいそうですぅ」言うとこやぞ、そこな。

マルタ震える声で言うた「あ・・・アイリーン様がかわいそうです・・・」強制力恐るべし。

てか、あんた小さい「あ」無しでも喋れるやん。


断罪劇は進む。

王位転覆も進む。

無事にクーデターが終了してミッションA大成功!


ロベルトがよろよろと手を挙げ私を指さす。

「そ、、、そして、アイリーン、、、、おまえは国外追放だ~」ゼイゼイ




王になったルドルフが私に手を差し伸べる。

「では、アイリーン嬢、新婚旅行と各国へお披露目という事で行きましょう、国外へ!」

「喜んでーぇ」手を取る私

「アイたん、とお呼びしても?」

「もちろんだよルルたん」

用意された馬車に乗り込みパパとママに手を振る。

「行ってきまーす」


幸福な王と王妃は末永く国を統治しました。

物語の最後はこう締めくくられていましたとさ。


この作品も書いてて楽しかったです。


たくさんの中から選んでいただき、最後まで読んで下さってありがとうございます。


とても嬉しいです。




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駆け出しのひよっこですが頑張ります!これからもよろしくお願いします。



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― 新着の感想 ―
[一言] 強制力のこういう使い方があったかと、目から鱗が落ちました。 素晴らしい。
[一言] 最後なんか……もはや、操り人形なんだが……
[良い点] やだ、強制力強すぎ……w そんな中これほどの事をやらかすとは、恐ろしい公爵家……! [気になる点] 強制力さんは何故嫌がらせは強要しなかったのか……? さてはこの乙女ゲー、ちゃんとバグ取り…
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