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寄港地 その7(4)

続きです。

くーっ・・・長編病が出てきたぞー(笑)


さて、それからの話。


麓から中腹まで登ると、やはり周辺見回りのミ・ゴが出てきた。

護符のおかげか、それほど凶悪化してないし、有無を言わさず遅いかかってくるようなこともないが、それでもコミュニケーションは無理。

テケリ・リ、テケリ・リ、という声か鳴き声なのかよく分からない音を発しながら、俺達の退路を断ってくる。

仕方がないので、俺達は後ろのミ・ゴに追われながらも、先頭にいる案内役(?)のミ・ゴについてくように低速ながらも山を登っていく。


数時間後、俺達は山の八合目くらいの地点にいた。

多分、九合目から頂上部は古のもの・旧支配者のおわすところなのだろう。

ミ・ゴや、多分だがショゴスは、この八合目にいるに違いない。

そして、今現在は、攫われたツアー客とガイドも、ここに囚われているのだろうと俺の勘が告げる。

古のもの・旧支配者は、旧神たちの力で、その力の大半を奪われた状態で永久氷の中に閉じ込められているだろうから。


「皆さん、劣化ウラン弾を銃に装填しておいてください。くれぐれも、通常弾やマグナム弾などは使わないように。劣化ウラン弾以外は、邪神の眷属には効きませんよ」


俺が周りに告げると、皆が劣化ウラン弾を銃に装填し始める。


「君は?もし撃てるのならハンドガンを貸すが?」


リーダーに聞かれたので、俺は、その申し出を断る。


「俺、もっと効果的なものを持ってるんでね。大体、日本人に銃は似合わんのよ」


自信アリげに答えると、そうか、と言ってハンドガンを引っ込める。

俺達は、先導役のミ・ゴが停止した地点で、いつ襲われても良いように準備を整える。

しばらくすると、ミ・ゴたちは何処かへ去っていく。

テケリ・リ、テケリ・リ、という声は、彼らが見えなくなっても、しばらく聞こえていた。


ミ・ゴたちが去ってから、さらに一時間ほど過ぎると、それこそ俺以外は見たこともない生物(?そもそも生物と言えるのか?)が一体、やってくる。

ご想像どおり、ショゴスだ。

俺もミ・ゴは昔(ミスカトニック大学院生時)はたくさん見たが、さすがにこの真っ黒な巨大スライムというか、日本のアニメ(**二世という題名だったと思う)に出てくる万能細胞静物ロ*ムというか、ショゴスは久々にお目にかかる。

ミ・ゴたちのような低い知能ではない、割と高い知能を持つ生物だと俺は知っているので、さて、どうやってショゴスとコミュニケーションをとろうかと考える(他のメンバーは、恐怖に震えつつ、銃を構えている)

こいつも、護符のせいか、俺達に襲いかかるような素振りは見せない。

テケリ・リ、テケリ・リ、という声はミ・ゴたちと同じだが、元々はショゴスの鳴き声だというのは、この中では俺しか知らないことだろう。

さて、まずは他のメンバーに正気を取り戻してもらおうか。


「皆さん、落ち着いて。こいつは、ショゴス。ミ・ゴとは違い、高い知能を持っています。ちなみに劣化ウラン弾はショゴスには有効ですが、手持ちを全て撃って一体のショゴスを倒せるくらいだと思ってください。つまり、攻撃は控えたほうが良いと言うことです」


俺の声で我に返った奴が多いようで、恐怖に震える奴はいなくなった。


「では、これから俺は、このショゴスとコミュニケーションをとってみます。今もショゴスは俺達を攻撃して来ませんので、これはチャンスなんです」


他のメンバーが頷いたので、俺はどっかりと雪の上に座った。

精神を研ぎ澄ませ、俺はゆっくりとショゴスへ手を伸ばす。


〈俺の思念が受け取れるか?ショゴスよ。受け取れるなら、思念で返してくれ〉


そう念じながら、俺の指(もちろん、手袋ははめている)はショゴスに軽く触れる。


〈おお、お前のテレパシーが聞こえるぞ。不思議だな、我々のテレパシーを受け取れるまで強い能力を持つ人間などめったにいないと聞いていたが〉


なんとか接触しての思念通話は成功したようだ。


「思念での会話は成功しました。どこまで会話ができるか不明ですが、このまま続けます」


周りのメンバーが不安そうに見つめているので、俺は安心させようと声をかける。


〈俺達は、先だってミ・ゴに襲われた人間たちを探しに来た。何か知らないか?〉


〈ミ・ゴが先に連れてきた人間たちは、上に棲む方々に引き渡した。死んではいないと思うが、お前のような頑強で高度な精神力を持つ者はいなかったため、精神が破壊されるか、それとも発狂する可能性は高いだろう〉


〈情報、ありがとう。これは少しだが、俺達の食料の一部だ。ショゴスが食事をするとは聞いてないが、その身体で溶かし・吸収することは可能ではないか?〉


〈奇妙な事をするもんだな、人間よ。まあ、もらっておこう。たまには現代の食料を味わうのも良いかもしれない〉


俺は糧食ビスケットを一袋取り出し、眼の前のショゴスへ。

ショゴスは、そのスライム状の体の一部を引き伸ばし、俺の持つビスケットを袋ごと持ち上げると、自分の体の中へ。


〈ん……初めての感触である。新鮮だ。仲間にも教えてやりたい〉


俺は黙って、ビスケットの袋を3つ取り出す。

ショゴスはそれを瞬時に取り、身体の中へ。


〈ついて来い。上に棲む方々のところまで案内しよう。しかし、上の方々には、その護符も通用しないだろうが〉


ゆっくりとショゴスが動き出す。

俺達は、今度は歩いてついていく。

スノーバイクは、ここへ置いていく(戻れたら運が良いと思わねば。それほど危険な相手である)

まあ、高度的にはずいぶんと高いが、邪神関係の住処のためか、ブリザードや酸素不足による高山病などは起きてない。

何かの結界か、あるいは古のもの・旧支配者の超古代技術力なのかもしれない……


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